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2018年10月

2018年10月31日 (水)

チリー・ゴンザレスってこんな人?

Solopiano
 チリー・ゴンザレスのSolo PianoⅡというアルバムが気に入ってよく聴いていた。とくにクルマの中で。6~7年前に家族が買ってきたCD。静謐な中に才気ほとばしる新しいフレーズや音に、すごいアーティストが現れたなぁと感心していた。そのチリー・ゴンザレスの半生を描くドキュメンタリーが、フィリップ・ジェディック監督の『黙ってピアノを弾いてくれ』Shut Up and Play the Pianoなのだ。

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 映画を見て驚いた。イメージしていた人とはまったく違うのだ。挑発的で狂乱のライブ!破天荒な奇人?天才? 繊細で感動的なピアノ音楽しか知らなかったものだから、型にはまらない音楽性に強烈なキャラクターや過激な言動が加わって、あっけにとられる事ばかり。穏やかな哲学者のような人、と勝手に思い込んでいただけにショックでした。

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 だけど、ヒップホップやラップからクラシックまで、ジャンルにとらわれない創造的な活動は観ていて気持ちいい。伝統や常識を破壊するパワーと、言いたい放題が許される人間的魅力。作曲家、ピアニスト、ラッパーとしてさまざまな超一流アーティストから熱狂的に支持される理由がわかる気がする。

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 ウイーン放送交響楽団や弦楽四重奏と共演しても、ハチャメチャぶりは変わらない。しかもしっかり自分の世界に引き込んで、新しいスリリングな音楽を紡ぎだす。ああ、この人にはウソがない。天才はこんなにも強いんだ。しみじみそう思ったところで、ふとグレン・グールドを思い出した。カナダは時々こんなとんでもない天才を生む国なのでしょうか。

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2018年10月28日 (日)

もし宝くじが当たったら?

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 誰もが夢見る宝くじの当選。でもホントに当たってしまったら? 親族の借金の返済に追われ、妻や娘に見放され、と不運続きの冴えない男にある日幸運が訪れる。でも3億円の当選は、ほんとうに望んでいた幸せをもたらせてくれるのだろうか。佐藤健、高橋一生、黒木華など芸達者がお金の正体を求めて冒険を始める。

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 この作品は「モテキ」や「君の名は。」などヒット映画のプロデューサーであり、「世界から猫が消えたなら」などのベストセラー作家でもある川村元気の原作『億男』を大友啓史監督が映画化したもの。ギャンブル、バブルパーティ、マネーセミナーなど世相も反映させ、古典落語の『芝浜』も効果的に使ってまとめている。

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 貨幣と神は人類の最大の発明だ。そして近代以降は圧倒的に貨幣の影響力が増したと思う。「カミよりカネ」だ。何事もお金に換算され、世の中にお金で買えないものはないという時代。その裏では格差社会が広がっている。アメリカも、日本も、世界も、ますますその方向に進んでいるように思う。

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 貨幣は大きさも重さも同じ。価値も同じ、ハズなんだけどじつは違う。同じ一万円札も使う人によってみんなその指し示す意味は違う。当たり前だけど、人は自分自身でお金=価値をしっかりわきまえて有効に使うことによってお金は生きる。そうじゃなきゃ単なる紙切れだ。まぁ一度くらいは、紙切れに一喜一憂してみたいけれど。

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2018年10月25日 (木)

秋の味覚イタリアーナ

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 フィレンツェのレストランでディナーの時。ビステッカは頼むとして、あとは何にするか?と考えていたその時。八百屋さんが立派なポルチーニとアーティチョークを運んできました。これだ! キノコの王さまポルチーニと、10月から4月の味覚アーティチョークを頼むことに。

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 アーティチョークはフライに。ポルチーニは1本まるごとグリルで。高級キノコなので下にびっしり生ハムが敷かれていました。この店は毎日手書きのメニューを作っているのだけれど、ポルチーニは書かれてなかった。残念だなぁと思っていたので、食べられてラッキーでした。

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 ポルチーニ茸はドライを使った料理もおいしいけれど、この時期だけの生を使った料理は最高です。なかでもステーキというかグリルしたものが絶品。数あるイタリア秋の味覚でも別格のもの。王さまの名に恥じない美味しさです。

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 オルヴィエートのレストランではイノシシ肉などジビエの炭焼きやトリュフをたっぷり削った地元特産のパスタも味わえた。この崖の上の街はトスカーナではなくてウンブリア州にありますが、ここもトスカーナに負けず劣らず食材の宝庫。

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 街には地元ワインや地元チーズの専門店、トリュフとその加工品の専門店やラベンダーを使った製品の専門店など豊かな味がいっぱいです。どの店も規模は小さいけれど、並べている製品は粒ぞろいで、中世の細い路地にふさわしい。

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2018年10月21日 (日)

オリーブオイルのヌーヴォー

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 10月20日、フィレンツェのCOOPさんでオリーブオイルのヌーヴォーが出ました。毎年10月下旬になると店内にコーナーが作られ、大きいのは3リットル入りから小さいのは250ミリリットル入りまで、ビン詰めや缶詰のオリーブオイルが並びます。どれもが今年収穫されたオリーブの搾りたて。

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 秋は収穫の季節。トスカーナ各地でワイン祭りやクリ祭りなどが開催され、実りの秋を祝う。日本でヌーヴォーと言えばワインだが、こちらではオリーブオイルも待ちわびる。グリーン色でフレッシュな香り、オリーブが果実なんだ、と再認識させられる。ちょっと舌先にピリッとする刺激がたまらない。

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 秋の味覚で気になるのが、柿。KAKIと書かれて、日本から入った果実だということががよくわかる。ただし完熟も完熟、柔らかくなってジュクジュクのものが店先に並ぶ。イタリアの人たちはこれを、デザートとしてスプーンですくって食べるそうだ。今回見つけたのは珍しく、硬い日本風の柿、カキ・メーラ。りんご柿あるいは柿りんごと言えばいいのか。リコッタチーズをからめて白和えのようにして食べたら、おいしかった。

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 リンゴもMELE FUJI と表記してあるのは、日本品種のフジに違いない。赤いリンゴ、黄色いリンゴ、緑のリンゴとさまざまな種類が並ぶ異国の地で、日本に関連したものを見つけるとなにか褒められたようでうれしいものです。豊かな食の宝庫イタリアで、気になった秋の話題でした。

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2018年10月18日 (木)

美味のプレゼンテーション

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 イタリアは美味しい。肉もプロシュートもサルシッチャもサラミも。野菜もキノコも卵も。パスタもピッツァもジェラートもケーキも。ワインもビールもコーヒーもフレッシュジュースも。

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 そのうえ見せ方がとてもオシャレだ。だからよけい食欲を刺激する。つまりそれは代謝が悪くなっている身には始末が悪い、ということだ。困ったことに。

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 トマト缶も種類がいっぱいあるし、こんなにきれいに並べられては一種類ずつ全部欲しくなる。とうぜん味はそれぞれちがうでしょうから、試してみたい。

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 ワインの種類の多さは信じられない。しかも驚くほど価格が安い。もしかしたらここは天国かしら、と思ってしまう。産地、ブドウの品種、収穫年、作り手。まぁ無数にあるということ。

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 チーズの種類の多さは信じられない。しかも驚くほど価格が安い。もしかしたらここは天国かしら、と思ってしまう。ヒツジ、ヤギ、牛はもちろん、カビや塩や風までいい仕事をしている。

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 ハム・ソーセージ類の種類の多さは信じられない。しかも驚くほど価格が安い。もしかしたらここは天国かしら、と思ってしまう。
 スローフード運動を始めた国。郷土の味に愛と誇りを持つ人々。イタリアではそれぞれの美味しさをどう見せるかについても、ハンパない情熱をかけています。
 

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2018年10月15日 (月)

ガウディが求める光

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 サグラダファミリアの生誕の門は朝日が当たる東に向いている。その東側の壁面は青を基調としたステンドグラスがはまっている。内部の壁や柱や床や天井が青い光に染まって、清新な気持ちに包まれる。

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 西側には受難の門。そちら側の壁面には夕日をイメージした赤を基調としたステンドグラス。十字架を背負い、ゴルゴだの丘へ向かい、磔刑にあうイエスの物語。一日の終わりと人生の終わりが重なる重厚な思いが満ちる。

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 コロニア・グエル教会のステンドグラスはシンプルな花。黄色は十字架を表しているのでしょう。小さな町の小さな礼拝堂にふさわしく、簡素でかわいらしい。半地下の薄暗いスペースにさす光がとても幻想的で、静かに祈りをささげる場を生み出している。

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 住宅建築でも、光に対するこだわりはとても強い。地中海の海をイメージしたとされるカサ・バトリョ。波打つ壁面には海の泡のようなパターンが濃いブルーや淡いブルーで表現されている。見物客は水の中を漂う魚の気分。

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 山の石切り場をイメージしたカサ・ミラには色ガラスは使われていない。でも曲面で構成された壁が彩色されたていたり、微妙なくぼみが作り出す光と影が深みを出したりで、光の効果を最大限に利用している。天才建築家ガウディは、光の扱いも天才でした。

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2018年10月12日 (金)

コロニア・グエル教会から始まった

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 バルセロナから電車で30分ぐらい郊外へ。コロニア・グエルという町がある。ガウディはここの教会の設計のために、あの有名な逆さ吊り実験をおこなった。それが後のサグラダファミリアにつながることになる。これがガウディの最高傑作!と言う人もいるそうだ。
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 コロニア・グエル教会。スケールや素材はまったく違うけれど、受ける印象がサグラダファミリアにとてもよく似ている。アーチ状の天井の梁、斜めに林立する柱。重量を支える構造がそのまま見えて、しかも美しい。

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 この建物は本来は二層構造になる予定が、ガウディがサグラダファミリアに専念することになり、上層部が作られなかった。礼拝堂として使われている部分は、半地下の穴倉のような空間。だから外観も建設途中の現場が廃墟になったのかのよう。

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 このコロニア・グエルの町はグエル氏が経営する繊維工場を中心として、働く人たちの住宅や商店、公園、そして教会などを整備したいわば理想都市。100年ほど前のモデルニスモの建物で統一されていて、そのまま時が止まったような、おだやかな美しさに満ちている。

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 使われている建築材も石やレンガ。外壁の色も茶色やベージュやレンガ色。装飾もモデルニスモの時代に使われたスタイル。小さな町だけれど、バルもあるし広場もあるし学校もあるし、住むには十分だ。通りすがりの私たちにとっても、ほんとうに居心地がいい町でした。

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2018年10月 8日 (月)

サグラダファニリアの進展状況

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 ガウディ没後100年の2026年完成予定、と聞いてもまだホントかなと半信半疑だったのが5年前。それが3年前には見違えるように工事が進んでいて、今回ハッキリと確信に変わりました。この加速度的な工事のスピードアップは驚くべきものです。

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 後陣のマリアの塔はすでに高さ130mの半分ほどが姿を現している。北側に回り込むと、すでにある塔とは全く違う圧倒的なボリュームに、驚かされます。高さ172.5mになるイエスの塔も、見えないけれど基部の建設はもう始まっているそうだ。

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 いちばん高く、いちばん大きくそびえる予定の主塔イエスの塔を囲むように作られる4本の塔。これらはそれぞれマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人の福音書記者を表すのですが、工事中の下部が少しずつ見えてきている。

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 12使徒を表す鐘楼は、いちばん早く完成した誕生の門の4本と西側の受難の門の4本ができている。しかし正門となる南側の栄光の門、こちらは4本の塔はもちろん、ファサードの大まかな姿すらわからない。今はガラスの大きな壁面が見えるのみ。とても違和感があるが、これは仮の姿。

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 生誕の門と受難の門の鐘楼は、98mを左右に、107mの2本が中側に立っている。だから現在目にすることができる高い塔は、この107mのもの。2026年の完成時には想像を絶する建造物が出現するのは間違いない。あと8年しかないのだけど、ほんとうに凄いのはこれからだ。

 

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2018年10月 5日 (金)

草間彌生のブレない人生

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 松本貴子監督のアートドキュメンタリー映画『≒草間彌生 わたし大好き』。10年前に作られた映画だ。ちょうど「わが永遠の魂」という作品シリーズを制作していた時期の1年半を密着取材。日本では2012年1月、国立国際美術館で開催された「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展や、2017年3月、国立新美術館の「草間彌生 わが永遠の魂」展で目にする作品シリーズの最初の50作が誕生する瞬間にスクリーンを通してだけど立ち会えるのだ。

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 少女時代より繰り返し襲う幻覚や幻聴から逃れるために、それら幻覚や幻聴を絵に描きとめはじめる。そして1957年に渡米。当時ハプニングと呼ばれたパフォーマンスを中心にNYで大活躍。60年代は「前衛の女王」と呼ばれた彼女は、日本に帰ってからは90年代以降「水玉の女王」として美術ファン以外からもアイドル的人気を博すようになる。

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 草間彌生のスゴイところは、いっさいウラオモテがないこと。いっさいウソや誇張がないこと。「これ、スゴイじゃない!」、「わたしって天才だわ」と、作品が出来上がるたびに感動する。100%マジで言っているのがわかる。若いころからそれは一貫して変わらず、まったくブレがない。自分が天才で世界最高の芸術家だと心底信じて疑わない。純粋無垢なのだ。だから嫌味がない。

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 彼女の才能は美術だけにとどまらない。詩を作っても独創的な視点と言葉遣いがファンを惹きつけるし、小説を書けば文学賞を取ってしまう。ドキュメンタリー撮影のときも精神病院で寝泊まりし、アトリエに通う。彼女の創作の現場と日常生活の人間味あふれる姿は、まさにアートだ。「生」と「死」と「愛」が氾濫する草間ワールドは、永遠に生き続けることでしょう。
 

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2018年10月 2日 (火)

不良在庫ではありません

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 在庫一掃大放出と言っても、決して不良在庫ではありません。たまたま今までの企画展では登場の機会がなかっただけ。これらの作品からは、横尾さんの新しい魅力を発見したり、意外な一面に出会えたりするからかえっておもしろい。どれだけ多彩に、どれほど大量に作品を制作してきたかの結果で、あらためてその量と質に圧倒されます。

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 キャンバスに鏡を張り付ける。額縁に照明を埋め込む。キャンバスを切り刻んで貼り付ける。同じモチーフをいろんなスタイルで描き分ける。などなど。実験や試行錯誤の途中経過までさらけ出す行為そのものがアートだという信念がうかがえる。自身の到達点に一刻も安住することなく、つねに新しい表現にチャレンジしてきたからこそできたもの。

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 聖と俗が混然一体となった作品世界。誕生と死のイメージが氾濫する横には、ユーモアが潜んでいる。まるで呼吸するように、あるいは排泄するように、日々好奇心のおもむくままに森羅万象を描いてきた横尾忠則。テーマを特定しない今回の展覧会は、この作家の巨大さを一番うまく表しているのかもしれない。

横尾忠則
在庫一掃大放出展

2018年9月15日(土)~12月24日(月)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館

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