近代フランス風景画展です
旅するフランス風景画、というサブタイトルでプーシキン美術館展が開催されている。国立国際美術館でのこの展示は、おもに18世紀から20世紀初めにかけて約200年間のフランス絵画を、『風景』という切り口で並べている。もともと人物や神話をモチーフにした絵画の『背景』でしかなかった風景。それが印象派前後からもっと前面に現れてくる。こんな流れを、プーシキン美術館が所有する作品65点で手際よくまとめた展覧会だ。
自然への賛美、あるいは文明化された都市景観への憧れ。それらは近代市民社会が生み出した価値観や生活スタイルを色濃く反映している。またそれは王侯貴族や宗教的権威だけではなく、一般市民もアート作品を所有できるようになるのと対をなす動きだ。同時に、画家は注文を受けて描く職人から、自分が描きたいものを描く芸術家へ、変貌を遂げることでもあった。
やがて身近な自然のなかで新たな光を発見し、ヨーロッパ以外の珍しい風景に刺激され、風景そのものをメインテーマとする表現が生まれてくる。カミーユ・コロー、クールベ、ルノワール、クロード・モネ、シスレー、セザンヌ、ゴーギャン、アンリ・ルソーなどなど。『風景』という視点でとらえた西洋絵画の大きな流れを、そうそうたる巨匠たちの作品がとても雄弁に語ってくれます。
プーシキン美術館展
ー旅するフランス風景画ー
2018年7月21日(土)~10月14日(日)
国立国際美術館
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