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2018年7月 2日 (月)

万引き家族と社会の多様性

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 カンヌ国際映画祭で『万引き家族』が最高賞パルムドールに輝いた是枝裕和監督。『誰も知らない』や『そして父になる』などから今作へ、これまでの映画作りの姿勢を語っている言葉をインタビュー記事で見つけました。少し長いけれど引用させていただきます。

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 僕は人々が「国家」とか「国益」という「大きな物語」に回収されていく状況の中で映画監督ができるのは、その「大きな物語」(右であれ左であれ)に対峙し、その物語を相対化する多様な「小さな物語」を発信し続けることであり、それが結果的にその国の文化を豊かにするのだと考えて来たし、そのスタンスはこれからも変わらないだろうことは、ここに改めて宣言しておこうと思う。

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 是枝監督の基本姿勢がよくわかるでしょ。この映画の中には、万引きをはじめ、児童虐待や過酷な労働環境、老親の年金での暮らしなどなど、この家族を取り巻く「小さな物語」が散りばめられている。これらTVのニュースショーをにぎわす事件は、バブル崩壊後の日本に顕著になった「共同体の崩壊」と「格差社会」が背景にある。わたしたちも見ぬふりをしてきたから、声高に叫ぶ「大きな物語」に呑み込まれて多様な価値観が失われていったのでしょう。

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 メディアにも同調的圧力がかかり、社会はますます内向き志向が強くなり、多様性は排除され、伝統的な価値観に基づく人間関係のみが押し付けられる。はたしてそれで幸せになったのか? 家族の絆とは。人間の絆とは。これからもっと真剣に考えていかないと人口減少社会は乗り切れない。血縁の、あるいは戸籍上の、というだけでは「家族」は成り立たないと思う。いろんな制度や常識のほころびと、基本的な人間の優しさと。いろいろ考えさせられることが多い映画でした。
 

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