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2018年1月19日 (金)

新神戸へ移った大工道具館

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 以前は兵庫県庁の少し上にあった竹中大工道具館。いまは新神戸駅の東に移ってきています。2番のバス道沿いで、生垣に囲まれた品のいい数寄屋が見えていた。たしか竹中工務店が迎賓館に使っていたところだと思う。その場所に、さすが竹中!と言いたくなるセンスのいい建物を新築。地上1階、地下2階。南の庭に面した1階展示室はガラス広くとったとても明るい平屋建て。いまは「木の国フィンランドの伝統と革新」展を開催している。

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 そして広い明り取りスペースのある地下1、2階は、日本古来からの建築技法や道具を常設展示。それぞれの時代、その時々の名人の道具。これが素晴らしい。よく残っていたものだと思う。高層ビルや都市開発など規模の大きい案件が多い大手ゼネコンの一角を占める竹中工務店ですが、もともと数寄屋建築には定評があります。(理由は知りませんが) だから昔の製材や大工の道具を集め、伝統の技を後世に伝えるミュージアムを作ったのでしょう。

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 いろいろ興味深い展示があるなかでも、これはスゴイ!と感動するのは、地下2階からの吹き抜け空間に再現された、唐招提寺金堂の原寸大の柱と組木。釘をいっさい使わない日本古来の木組みを見せてくれる。この組物は屋根の重さを柱に伝えるための構造で、8世紀後半(奈良時代)から伝わる技法の模型だそうです。地下2階から見上げ、地下1階の回廊から間近に眺める。木造なのに千年も持つ丈夫さと、木組みが生み出すリズミカルな美しさ。先人のすごさに感服します。

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 もうひとつ、江戸時代中期の大徳寺玉林院蓑庵をモデルにした、スケルトンの茶室が地下2階にある。柱や梁など、構造を形作る材は完成と変わらないが、壁は竹の骨組みだけで漆喰は一部だけしか塗っていない。大工や左官の仕事がよくわかるように、との配慮からだ。土台の石と、木と竹と土と紙で作られる数寄屋建築。これが日本の伝統美なんでしょうが、現代にこれをやると途方もない建築費がかかる。贅沢の極みだ。ただし、こんな建物を作る職人さんの技術を継承していかなくてはならないのも確かだ。

竹中大工道具館
神戸市中央区熊内町7-5-1

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