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2018年1月

2018年1月28日 (日)

この世は 地獄か?天国か?

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 謎の天才画家、ヒエロニムス・ボス。昔は「ボッシュ」と教えられた気がするが、彼の没後500年を迎えて制作されたホセ・ルイス・ロペス=リナレス監督のドキュメンタリー映画が公開されている。
 人間を丸のみにして排泄する鳥、貝の中で快楽にふける裸の男女、お尻に刺されたきれいな花。美術史上もっとも異彩を放つ奇想ワールド、しかもブリューゲルやルーベンス、ダリやマグリットに大きな影響を与えた芸術家・ボスの『快楽の園』。プラド美術館が所蔵するこの三連祭壇画を、どう解釈するか、あるいはどう理解するか。さまざまな著名人がこの作品を前にして、自分の見解を述べるというドキュメンタリーだ。

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 左では神がアダムにイブを娶らせている。エデンの園、天国だ。真ん中が現世。そして右側が地獄。他の二つと違って色も黒が中心だ。現生の世界=俗界を描いたと思われる正面の大きい画面には、エロチックでグロテスクで、奇想天外なシーンが緻密に情熱的に、かつ膨大に描かれている。
 ボス研究の第一人者、ノーベル賞作家、画家、ソプラノ歌手、美術史家、指揮者、作曲家、宗教家などなど。みんなこの作品の持つ圧倒的なパワーに言葉を失う。そして、この作品は何のために?誰のために?描かれたのか。誰も明確に説明できない。

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 地獄の中ほどに描かれたツリーマンと呼ばれる人物(?)がいる。感情があるような、ないような不思議な表情を浮かべている。この絵を理解しようとする人間どもを小ばかにしているのだろうか。じつはこの作品をプラドで2回見ている。30年前と5年前。でも、欲望や寓意や倒錯や妄想や、あまりにもいっぱい盛り込まれているので、イメージの焦点が定まらなかった。そしてこの映画を見たあとも感想は変わらない。これからもボスに翻弄され続けるしかないのだろうか、永遠に。

謎の天才画家
ヒエロニムス・ボス

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2018年1月25日 (木)

最後の浮世絵師、芳年

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 江戸末期から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年。浮世絵が廃れつつあった時代に、もっとも成功した絵師であることから『最後の浮世絵師』と称される。神戸ファッション美術館でいま開催中の展覧会の紹介です。
 歌川国芳に入門して浮世絵を学んだ芳年は、時代の変遷に合わせて西洋画の画法も習得し、人物描写や構図、色彩構成に近代的なセンスを発揮。現代の目から見ても、とても斬新でおもしろい。

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 驚いたのはデッサンや下絵だ。メチャクチャ上手い。その写実的な描写力があるからこそ、歴史画、役者絵、美人画、物語絵など、手掛けた幅広いジャンルの作品がどれも素晴らしいのだ。遠近法や陰影のつけ方も取り入れたリアルな表現力で、グロテスクな無残絵シリーズをたくさん描き、『血まみれ芳年』とも呼ばれたという。ここで作品画像をお見せするのもはばかれるほど、怪奇で残酷な作品群だ。でもスゴイ!

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 躍動感あふれる大胆な構図、効果的な色使い。決定的瞬間をとらえた戦闘シーンは、SFXを駆使したハリウッドの超大作を見るようです。これだけ画力のある作家をあまり評価してこなかったのは、やはり血まみれが疎まれたのでしょうか。師匠の『武者絵の国芳』ともども、これからもっともっと見直されてくると思います。現代の漫画や劇画へと続く、直接の源流として位置づけられる『芳年』。クールジャパンの先駆けですね。

芳年 YOSHITOSHI
躍動の瞬間と永遠の美
2018年1月13日(土)~3月11日(日)
神戸ファッション美術館

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2018年1月22日 (月)

神戸港の戦前戦後

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 神戸港開港150年記念の特別展として、神戸ゆかりの美術館で昨年11月から開催されている「神戸港コレクション ~よみがえった戦後風景~」を見てきました。1868年の開港以来、神戸及び港湾の風景は大きく変わる。そして異国情緒あふれる明るいモダニズム都市として、画家や写真家を魅了してきたと解説されている。
 この展覧会は油彩画、日本画、水彩画、版画、写真など、地元作家の作品を中心に港の発展を振り返る企画。あわせて約200点が展示されている。

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 見どころは半世紀以上も所在がわからなかった川西英の「新神戸百景」。川西英と言えば1933年~36年に製作された木版画シリーズ「神戸百景」が有名だ。いまも観光絵ハガキや洋菓子店のパッケージに使われている。そして今回展示されている『新』は、1952年~53年に神港新聞社が戦災復興を遂げた神戸の姿を川西に依頼して描いてもらった水彩画だ。

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 これらの作品は諸事情からお蔵入りとなり、人々の目に触れる機会がなかったもの。2016年春に発見され、神戸市に寄贈されたそうだ。生き生きと描かれた神戸の街は、幼いころのにおいがします。神戸の人たちがいまも愛する神戸らしい絵。川西英の屈託のなさがよく表れていますね。

神戸港コレクション
~よみがえった戦後風景~
2017年11月18日(土)~2018年2月18日(日)
神戸ゆかりの美術館

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2018年1月19日 (金)

新神戸へ移った大工道具館

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 以前は兵庫県庁の少し上にあった竹中大工道具館。いまは新神戸駅の東に移ってきています。2番のバス道沿いで、生垣に囲まれた品のいい数寄屋が見えていた。たしか竹中工務店が迎賓館に使っていたところだと思う。その場所に、さすが竹中!と言いたくなるセンスのいい建物を新築。地上1階、地下2階。南の庭に面した1階展示室はガラス広くとったとても明るい平屋建て。いまは「木の国フィンランドの伝統と革新」展を開催している。

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 そして広い明り取りスペースのある地下1、2階は、日本古来からの建築技法や道具を常設展示。それぞれの時代、その時々の名人の道具。これが素晴らしい。よく残っていたものだと思う。高層ビルや都市開発など規模の大きい案件が多い大手ゼネコンの一角を占める竹中工務店ですが、もともと数寄屋建築には定評があります。(理由は知りませんが) だから昔の製材や大工の道具を集め、伝統の技を後世に伝えるミュージアムを作ったのでしょう。

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 いろいろ興味深い展示があるなかでも、これはスゴイ!と感動するのは、地下2階からの吹き抜け空間に再現された、唐招提寺金堂の原寸大の柱と組木。釘をいっさい使わない日本古来の木組みを見せてくれる。この組物は屋根の重さを柱に伝えるための構造で、8世紀後半(奈良時代)から伝わる技法の模型だそうです。地下2階から見上げ、地下1階の回廊から間近に眺める。木造なのに千年も持つ丈夫さと、木組みが生み出すリズミカルな美しさ。先人のすごさに感服します。

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 もうひとつ、江戸時代中期の大徳寺玉林院蓑庵をモデルにした、スケルトンの茶室が地下2階にある。柱や梁など、構造を形作る材は完成と変わらないが、壁は竹の骨組みだけで漆喰は一部だけしか塗っていない。大工や左官の仕事がよくわかるように、との配慮からだ。土台の石と、木と竹と土と紙で作られる数寄屋建築。これが日本の伝統美なんでしょうが、現代にこれをやると途方もない建築費がかかる。贅沢の極みだ。ただし、こんな建物を作る職人さんの技術を継承していかなくてはならないのも確かだ。

竹中大工道具館
神戸市中央区熊内町7-5-1

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2018年1月16日 (火)

フィンランドの清楚な木工展

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 木の美しさを最大限に生かすシンプルでモダンなデザイン。北欧家具と言えばデンマークと思っていたが、森と湖の国フィンランドの木工製品も素晴らしい。木の質感を大切にし、余分な要素を極限までそぎ落としたミニマルな姿。デンマークデザインより歴史は浅いけれど、日本人の美意識により近い感性が感じられる。素朴で清楚で洗練されている。これは新しい発見でした。

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 いま新神戸の竹中大工道具館で開催中の「木の国フィンランドの伝統と革新」展。サブタイトルは「工芸村フィスカルスとニカリの物語」。フィスカルスは地名、ニカリは会社名だ。この芸術家コミュニティに住む木工作家たちが今回作品を出品している。彼らにはサーリネンとアルヴァ・アアルトという二人の巨人から続くフィンランド・デザインの方向性が脈々と息づいているように見える。

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 北欧デザインの中でもフィンランドはとりわけシンプルでストイック。でも決して冷たくはなく、どこかほっとする優しさと温かさがある。こんなユーモアを感じさせる椅子もありました。フレームに淡い色のバーチ材、座面には暗色と明色のコントラストが鮮やかなアッシュの心材。柔らかい布張りシートだとばかり思っていたけれど、よく見るとここも木なのです。遊び心と技術の高さが見て取れるでしょ。

木の国フィンランドの伝統と革新
工芸村フィスカルスとニカリの物語
2017年12月16日(土)~2018年2月18日(日)
竹中大工道具館

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2018年1月13日 (土)

どいつもこいつも嘘だらけ

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 笑う門には福来る! 2018年初笑いロードショーと銘打ってあらわれたコンビは、中井貴一と佐々木蔵之介。骨董をめぐるだましあいを描いた、武正晴監督の『嘘八百』がおもしろい。冴えないオジサン二人が幻の利休の茶碗を仕立てて、堺を舞台に大勝負をかける!が、さてその顛末は。

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 まぁ出てくるヤツが嘘つきばかりで、強欲で、しかしどうしようもなくおかしく可愛い。友近、前野朋哉、森川葵、坂田利夫、芦屋小雁、近藤正臣、堀内敬子、寺田農、塚地武雅、桂雀々などなど。これら芸達者たちが軽妙なやりとりを繰り広げ、抱腹絶倒のだましあいを繰り広げる。タイトルもいいでしょ。大江戸八百八丁に大坂八百八橋、八百万の神の国の『嘘八百』。

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 なんでも鑑定団をはじめとするお宝ブームをおちょくった? ちょっと胡散臭さもただよう骨董や鑑定士の、奥深くてわかりにく~い世界。素人はあまり近づかずに、TV番組を見て「ほぉ―!」、「へぇー!」と、おもしろおかしく眺めているのが無難なようです。あ、その前にぜひ劇場でこの映画を観て、2018年の初笑いを。関西弁がええ味出してます。

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2018年1月10日 (水)

六甲山上は雪景色

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 六甲山を油コブシから登って、全山縦走路を東へ最高峰を目指す。ガーデンテラスを過ぎて細かいアップダウンが続く北斜面に入ると、しっかり雪が残っている。陽当たりが悪いので階段も凍結したままだ。登りは大丈夫だが、下りはちょっと危ない。簡易アイゼンをつけて安全を期す。運が良ければ、美しい樹氷が見られるのもこのあたり。

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 山頂に近いところのクマザサは美しい。標高か、気温か、湿度か、なにが原因かは知らないけれど。中腹までのクマザサは色も枯れたように悪く、隈(クマ)もはっきりしない。
 最高峰は1992年まで米軍の通信基地があり、立ち入ることができなかった。返還後もだだっ広い空き地(施設跡?)のまわりに木がたくさん茂っていて、まったく見晴らしはなかった。最高峰に入れると聞いて登ってきた人は、みんな失望したものだ。

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 それが1年前か2年前にじゃまな木が伐採され、東、北、西方面250度近いパノラマビューが楽しめるようになりました。摂津から丹波や播磨まで見渡せる。海側は以前と同じく少し下の展望台から。山頂直下を山上自動車道が通るので、休みの日は四季を問わずハイカー以外の観光客も多い。小さな子どもたちもそり遊びや雪遊びを楽しんでいます。

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2018年1月 7日 (日)

知らなかったよ!バーフバリ

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 今年最初に観た映画は、『バーフバリ 王の凱旋』。インド映画です。何も知らずに観に行ったのですが、じつは『バーフバリ 伝説誕生』の続編。エッ!? でも、ちゃんと前作のあらすじが、おさらい映像として組み込まれているので、ストーリーはよくわかりました。親切なつくりでございます。ちなみにバーフバリとは、強い腕を持つ男、という意味だそうです。

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 古代インド、三代にわたる壮大な王位継承物語。愛と復讐、正義と陰謀のドラマ。インド映画なので、歌も踊りもある。神話的叙事詩『マハーバーラタ』をベースにしたスペクタクル大作。予告編で「空前絶後」、「豪華絢爛」、「常識破壊」と大げさだけどありきたりの言い方を並べているので、ハデでお手軽な歴史アクション映画だと思っていた。だけど、なかなかどうして。これら最上級の言葉にいっさい誇張はない! 配給会社の担当者も、何と言えばいいかわからないほどのスゴさを感じたに違いありません。

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 思いついたアイデアはすべて使う、知っている撮影編集技術はすべて盛り込む。けれん味テンコ盛り! いくら何でもやりすぎでしょ!なアクション満載! とまあ!!!いっぱいの文章になってしまって。何と言えばいいのか、適切な言葉が出てこないのは私も同じ。あまりの超人ぶり、あまりの戦闘シーンに唖然とする連続で、もう笑うしかありません。Photo_3 しかし、古今東西普遍の人間ドラマもしっかり描かれていて、あきることはない。そこまでしなくっても、気恥ずかしいのでは、といった日本的美学を超越した情熱とサービス精神。
 もともと神話というのは、ギリシャでも日本でも北欧でも、英雄が活躍し、美しい恋愛があり、裏切りや復讐もあり、荒唐無稽なお話もある、そんな世界だ。Photo_4 そして人々は書物や壁画、彫刻や絵巻物で物語を伝えようと努力してきた。この作品はCGやVFXを駆使できる現代の映画こそが神話を伝える最上のメディアだ、という事実を証明しているようだ。規格外の過剰さが新しい映画のおもしろさを産み出したと思います。

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2018年1月 4日 (木)

我が家のマグカップたち

 どれほどマグカップが好きなんだろ? 一体いくつ買ったら気が済むんだろ? いえ、いえ、それほどたいしたことは・・・。昨年の秋に一個購入、冬に3個購入・・・。たいした事あるんじゃない?けいママ。
あっは! そうですかね? やっぱり。新春マグカップ・オンパレードと云うことで、一気にご紹介しちゃいましょうか。

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まずは東京一人旅で渋谷を散策した時に一目惚れしてしまった「ARITAJIKIマグ」。どうです?この美しいフォルム。そして温かみを感じる質感と色味。こんな素敵なマグには滅多にお目にかかれないと即購入。
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   しかもその1ヶ月後にひろパパにもと、色違いでもう一つ購入。並べるのが何故か好きなんですよね。
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   そう、並べると言えばこのトリオ! 一番手前の赤いマグがつい最近購入したものです。こちらはイッタラのクリスマス限定商品。この秋、我が家に家族が増えたのを記念して・・・。ああだ、こうだと理由をつけて買っちゃうのはコレクター特有でしょうか? でも、でも窓辺に仲良く並んで、冬の日差しを浴びているマグたちを眺めていると、それだけでとても幸せな気分になれる・・・。いいじゃないか、これくらいの贅沢は!
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   と、もう一つのご紹介マグは、これも限定バージョン。ARABIAムーミンアドベンチャームーブマグです。次から次へと発売されるこのシリーズ。乗っかっていたらたまったものじゃないぞ、けいママ。は、はい! このシリーズはもうこれっきりに! でも、奥にちょこっと見えているムーミンママのマグは今やプレミアものですぞ。
 と、言うわけで今年もけいママのマグカップ熱は続きそう。

 

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2018年1月 1日 (月)

おおいぬ座で輝くシリウス

     おおいぬ座のシリウスは、
     天空でいちばん明るい星
     地球から8.6光年 遠いのか、近いのか?
     ホットワイン片手に夜空を眺めるしあわせ

2018

 世界ではいまも戦闘が行われ、飢えや病に苦しむ人がいる。地球温暖化による異常気象の頻発。ますます拡大する貧富の格差。ホモサピエンスはさまざまな経験を積み、学習をして、より良い社会を作ろうと努めてきたはずなのに・・・まだまだ学び足りないのでしょうか。年の初めにはもっと希望にあふれたご挨拶をしたい。そう思いつつ、ひとこと申し上げないわけにまいりませんでした。正月早々のネガティブな記事、お許しください。
 今年の個人的な目標、あるいは願望です。ささやかなしあせを感じる力を磨くこと。日々生きる喜びをかみしめること。そんなことを自由にわがままに追求できる世の中になればいいなと思います。2018 良い年でありますように。
 
 

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