2017年12月16日 (土)

ボストン美術館から珠玉の名品

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 岡倉天心やフェノロサが尽力したボストン美術館の東洋美術コレクションは、世界でも最高峰にある。とくに日本の浮世絵では状態のいい作品を観るならボストンへ行け、と言われるぐらい。(誰が言ってるの?) いま神戸市立博物館で開催中の「ボストン美術館の至宝」展は、日本美術、中国美術をはじめ古代エジプト美術や19世紀から20世紀にかけてのフランス絵画、ジョージア・オキーフやエドワード・ホッパー、アンディ・ウォーホールなどのアメリカ現代美術まで、約80点の名品が展示されている。あ、村上隆もありました。

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 日本美術では英一蝶の『涅槃図』に圧倒される。掛け軸になっている巨大な絵で、画面だけでタテ3m近い。釈迦の入滅を悲しむ人々や鬼、さまざまな動物、鳥、昆虫が見事な筆づかいでいきいきと表現されている。清朝の陳容が描いた『九龍図巻』も素晴らしい。
 フランス絵画は印象派、新印象派の時代に的を絞ったコレクションで、質が高い。いろんな人がいろんな好みで収集したコレクションの寄贈で成り立つ、アメリカの美術館事情もうかがえて、とても興味深かった。

ボストン美術館の至宝展
2017年10月28日(日)~2018年2月4日(日) 
神戸市立博物館

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2017年11月21日 (火)

目にするもの、すべて国宝! 

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 明治30年にできた京都国立博物館は、開館120周年を迎えます。そして『国宝』という言葉も同じ年に制定された文化財保護法の先駆けである『古社寺保存法』のなかで初めて使われたそうです。つまり京都国立博物館と国宝、ともに迎える節目の年に開催される国宝展。4期に分けて展示される210件は、すべてが国宝という充実した内容です。そして京都に集結した名品をまとめて鑑賞できるこの展覧会も、最後のⅣ期に入りました。

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 Ⅳ期の目玉は尾形光琳の「燕子花図屏風」。琳派を代表する絵師である光琳の、代表作のひとつだ。平安時代の歌物語『伊勢物語』をモチーフに、三河国の八ッ橋に美しく咲くカキツバタを描いている。金地に群青と緑青、斬新な構図、大胆な画面展開。エネルギーと才気があふれています。大正時代のはじめに西本願寺から売却されて以降、100年以上の時を経て京都に初めての里帰りが実現したことになる。所蔵する根津美術館では、毎年カキツバタが咲く初夏に鑑賞できるそうだ。

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 六曲一双屏風の右隻は中央より上のほうに、左隻は下の方にカキツバタの群生を配置。平面的、装飾的でありながら、まるで八ッ橋を渡りながらカキツバタを愛でているかのような臨場感がある。メトロポリタン美術館が所蔵する「八ッ橋図屏風」も同じモチーフでカキツバタを描いた名作だが、『橋』を描かないこちらの作品が個人的には好きだ。シンプルで力強い、光琳独自の美の様式。余白の美もより強く感じます。
 この近世絵画コーナーは円山応挙の六曲一双「雪松図屏風」と与謝蕪村の「夜色楼台図」も展示してあり、江戸時代中期の巨匠たちの仕事をぜいたくに堪能できる。

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 たくさんの、まさに国の宝だらけの中でも特に印象深かったのが、縄文土器や土偶。5000年も前の人たちが創造した奇跡の造形です。火焔型土器や縄文のビーナスや縄文の女神。写真で見たことはありましたが、現物の力強さはハンパじゃない。縄文人は高い文明を持った宇宙人だったのか、なんて妄想を抱いてしまう。「ゲイジュツは爆発だァ」。岡本太郎先生の驚き感動した顔が目に浮かぶようです。

京都国立博物館 開館120周年記念
  国 宝
2017年10月3日(火)~11月26日(日)

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2017年11月 3日 (金)

オルゴール館も展示会場です

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 オルゴール館の庭に印象的な作品がある。藤浩志の『六甲の不思議の森の物語』です。木々の間や池のまわりを散策していると、目に見えてくるカラフルな恐竜や動物や花々。これらは膨大な数のオモチャやぬいぐるみで作られている。作者が全国で展開する「かえっこ」というオモチャ交換プログラムから生み出されたという。子どもたちから顧みられなくなったモノの再利用。忘れ去られた思い出に、新たな命が吹き込まれました。

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 この作家はパプアニューギニア国立芸術学校の講師や十和田市現代美術館の館長を務めるなど、アーティストの枠を超えた幅広い活動をしているそうだ。そのせいかアートを見る目が広く深い。園内の作品群を観てまわりながら、アートの社会的意義や、作品だけじゃなく制作行為そのものがアートになることなど、いろいろと考えさせられる。

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 オルゴール館と高山美術館を結ぶ木道沿いには大きなドームが5~6個出現している。どこか遠い星にある宇宙基地のようで奇妙な感覚になる。半透明ビニールでできているので、内部やむこうの風景や歩く人が透けて見える。これも非日常の視覚体験。奥中章人の作品『Inter-world-sway』です。木道を歩くときにフニョフニョした柔らかい表面に触れながら、そして体をねじりながら通り抜けるのもおもしろい体験。身体性を意識させるのが新しい。

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 そして玄関前にはステンドグラス作家の田中千紘が作る『幸せの種まき』がある。鏡でできた四葉のクローバーを、作家が鑑賞者と協働して植え続けている。最初はまばらだったクローバーが徐々に増え、展覧会終了時には一面を埋め尽くすというプロジェクト。参加型で現在進行中のアートです。天気や季節の変化、見る角度によって光の当たり具合や映し出される景観が変わり、つねに新鮮な驚きがある。同じ瞬間は二度とない、一期一会のアートです。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2017
2017年9月9日(土)~11月23日(木・祝)

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2017年10月31日 (火)

高山植物園でのアート三昧

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 六甲山と言えばイノシシでしょう。山の中だけではなく、阪急電車の線路を越えてまで出没する身近な存在。人間に害を及ぼす半面、かわいくもある。だから「エサをやらないでください」の看板がいたるところにある。そんなイノシシ界の王が高山植物園にあらわれました。久保寛子の作品『Sleeping Guardian』。体長8mぐらい、ひざまずいても体高3mもある巨体は、青いネットでできている。獣害対策に使われるブルーの金網。皮肉でしょ。悠然と構えたこのイノシシは、人間どもをどう見ているのでしょうか。中に入ることもできるので、イノシシ目線の一端を感じられるかも。

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 毎年おもしろい大型作品が設置される場所に、今年は楢木野淑子の『あるべきようわ、ムコの山』がドーンと存在している。作品名からは何を意図しているかわからないが、古代マヤ遺跡のような堂々とした風格だ。さまざまな風景や動植物が柔らかい色で浮き彫りされた、陶のオブジェをたくさん組み合わせて高さ2mあまりの円筒に形作られている。その大きさと重量感から遺跡のような第一印象を持ちましたが、近づいてディテールが見えるようになると、華やかで、豊かで、生命力あふれる「生のエネルギー」が満ちていた。

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 植物園の中ほどの池には、白い舟が浮かんで(半分沈んで?)いる。杉原信幸の作品で『むこのみなと ― 貝の花舟』。あれ?また「むこ」が出てきた。やっと気づきました。武庫(むこ)は古事記などに出てくる尼崎から兵庫にかけての古地名。だから作家さんたちも「ムコの山」や「むこのみなと」などと作品名をつけているのだ。ところでこの作品、舟の外も打ちも瀬戸内海で集めた貝殻でおおわれている。そして中には水も溜まっている。つまり内も外も、海も山上の池も、現実も夢幻も、すべての境界があいまいで、観ている自分の存在も揺らいでくる。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2017
2017年9月9日(土)~11月23日(木・祝)

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2017年10月28日 (土)

六甲山上アートの一発芸

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 今年も一発芸的インパクトで楽しませてくれる作品がいくつかあります。
 その1 松蔭女子中・高の美術部による『六甲ハイ・チーズ』。場所はカンツリーハウスの大芝生。白と黒の大きななカメラは六甲山牧場にいる乳牛ですね。角が生えてます。耳があります。足はちゃんと4本。横にまわると尻尾もあります。周りは白い柵で囲まれています。ここで記念撮影する人は、「はい! チーズ!」。これがお約束。ときどきこのまわりで松蔭の生徒たちがパフォーマンスをしているらしい。どんな妄想を抱いてるんだろ?

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 その2 ガーデンテラスの見晴らし台にある、伊藤圭一の『空を見てたら涙が出ちゃいました』。ほんとうに!大粒の涙がボロボロ流れて顔の下の地面は洪水状態です。上を向いてないから、涙はこぼれます。なにか悲しいことがあったのか、独りぼっちがつらいのか、雄大な風景に感動したのか。鑑賞者は後ろの階段から作品の目になって風景を眺めることができる。のぞいてみると涙でにじんで景色がぼやけていました。芸が細かい! 哀愁あふれる作品でした。

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 その3 井口雄介の『六甲富士』。カンツリーハウスの東の池に木材を組んで作った巨大なインスタレーションです。ワイヤーフレームCGの拡大版、富士山の構造をみているようでおもしろい。オレンジ色は朝焼けでしょうか? この池は釣り人がたくさんいます。逆さ富士を眺めながら釣り糸を垂れる。最高の気分でしょうね。ところが残念ながら釣り人はアートに関心ないみたい。釣れるかどうか、何が釣れるか、が問題だからね。富士山というとつい北斎を思い出してしまう。そんな日本文化の文脈と、観光の在り方を考えさせられました。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2017
2017年9月9日(土)~11月23日(木・祝)

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2017年10月25日 (水)

六甲山ではミーツアート2017

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 熱中症で倒れそうな熱さも終わったので、毎年恒例の六甲ミーツ・アートに出かけました。ポスターにも取り上げられている、さとうりさの作品『あべちゃん、なんかついてるよ』は六甲枝垂れの前にある。寂しいような、うれしいような、せつないような、幸せなような、ちょっと不思議な感情を呼び起こすオブジェです。マシュマロのような白い造形。魂のような柔らかい曲線。目や口がついているから、モノではないだろう。では人なのか動物なのか宇宙人なのか?

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 この日は「あべちゃん、なんか咲いてるよ」というイベントが行われていました。カラフルな毛糸などで花を作り、あべちゃんのまわりに植えていく、というワークショップ。子供たちが楽しそうに参加していました。ただ作るだけじゃなく、自分が作った花が飾られて作品の一部になる。そして、みんなに見てもらえる。それがうれしいのでしょう。こんな子供たちの中から未来のアーティストが生まれたらステキだなぁと思いました。

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 六甲ケーブル山上駅の天覧台では、開発好明さんの『スペース・ホワイト・カフェ』がオープンしている。床も壁も天井も真っ白。イスやテーブルや照明器具も白。SF映画で見る宇宙船の内部のようです。じつは壁や天井は、家電製品を梱包するときに使う発泡スチロール。いろんなサイズや厚みのものを集めているので、光の透過ぐあいや陰影の付き方が違って、じつに美しい。ふんわりした白い光に包まれて、穏やかな気分になり安心できる空間。繭の中の蚕の気持ちを想像してしまいました。

Photo_3  カフェだからもちろん飲食もできる。有料ですが。メニューも特製ホワイトカレーや六甲山麓ミルクやヨーグルトのムースなど白にこだわったものばかり。ウエイトレスも白装束で髪の毛まで白! 徹底してます。しゃべるとフツーに人類で今どきのギャル。宇宙人じゃないことはすぐにわかります。でもこのコスチュームも未来的ですよ。
 この作品を創ったアーティストの開発さんは、六甲カンツリーハウスで今年も『未来郵便局』を開設している。こちらも年々人気が高まっているようです。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2017
2017年9月9日(土)~11月23日(木・祝)

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2017年10月22日 (日)

エルミタージュのオールドマスター

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 かつてロマノフ王朝の宮殿だった壮麗な建物に収められた美術品の総数はおよそ310万点。世界最大級の美術館のひとつ、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館は、女帝エカテリーナ2世の絵画コレクションから始まる250年の歴史があります。マティスやゴーギャンなど近代絵画のコレクションもすばらしいけれど、兵庫県立美術館でいま開催中の『大エルミタージュ美術館展』は、「オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」というサブタイトルが示す通り、ルネサンスからバロック、ロココへと続く古い時代の絵画を持ってきている。

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 ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、クラーナハ、ムリーリョ・・・。16世紀から18世紀にかけて活躍したイタリア、フランドル、オランダ、スペイン、フランス、ドイツの巨匠の作品が85点。カンヴァスに油絵の具で描かれた、いわゆる西洋絵画というイメージのものです。王侯貴族の肖像画、聖書からテーマをとった宗教画、古代ギリシャ神話やローマの歴史画、そしてこの時代に始まった風俗画や風景画。良いんだけれど、現代の私たちから見るとちょっと退屈な作品が多い。

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 そんななかで少し趣が違っていて印象に残ったのがジャン=バティスト・サンテールの『ヴェールをまとう若い女性』。サンテールはフランスのロココ初期の画家で、1699年の作品だそうだ。知らなかったけれど、情感あふれるいい絵を描く。光と影の扱いといい構図といい色使いといい、なかなかクオリティの高い作品だ。なによりモデルの女性がいい。品が良くておだやかな表情。女性らしい柔らかさと慈しみの心が感じられる。聖母像でもなく肖像画でもない。こんな表現から近代絵画へとつながっていったのでしょうね。

オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
大エルミタージュ美術館展
2017年10月3日(火)~2018年1月14日(日)
兵庫県立美術館

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2017年10月19日 (木)

肉筆画に精力を注いだ最晩年

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 80歳代後半になっても新しい表現を追求し続けた葛飾北斎。生涯に改号を30回、引っ越しを93回も繰り返した奇人だ。晩年には「画狂老人」や「卍」などジョークのように号した。絵がうまくなりたい、それだけに徹した人生。浮世絵の勝川春草の門下でありながら、当時タブーだった他の流派にも弟子入りし、狩野派や土佐派、唐絵や西洋絵画まで次々と勉強してそれらの技法を身につけていく。しかし絵を描く以外、なにもない。生活力もなければ、社会性もない。真の天才はそんなものかもしれません。

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 最晩年の『雪中虎図』で描かれたトラ。展覧会のポスターでも使われています。もうほとんど想像で描いているとしか思えない、不思議な模様と不敵な表情。思い切り擬人化された感情があもてに現れている。われわれ人間の浅はかさを小ばかにしたような笑み。この表情にはいまのマンガに通じる現代性がある。胡粉で表現された雪など、技法的にも何十年もの研鑽で獲得しててきたすべてが盛り込まれている。とどまることを知らない北斎の到達点。本人はそれでも不満でしょうが。

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 もうひとつ最晩年の作品。これが絶筆かもしれないと言われる『富士越龍図』をご覧ください。たくさん描いてきた富士の高嶺を越えて、黒い雲となり天まで昇る龍の姿。絵筆をとって神の領域まで昇り詰めたいと願った北斎の分身でしょうか。ちなみに彼の臨終の言葉は、「天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得べし」と伝えられている。あと5年生きられたら本物の画家になれたのにと、90歳で死ぬ間際に悔やむなんて!なんという執念でしょう。私たちだって、95歳の画狂老人の作品を観てみたいけれど・・・。

大英博物館 国際共同プロジェクト
北斎 ー 富士を超えて ー
2017年10月6日(金)~11月19日(日)

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2017年10月16日 (月)

浪のなかに宇宙を観た

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 あべのハルカス美術館で開催中の「北斎」展。- 富士を超えて ー  というサブタイトルがついた大英博物館との共同プロジェクト。ロンドンで評判を呼び、大変な観客を動員した展覧会を日本に持ってきたものです。ハルカスでも平日なのにチケット売り場は40分待ちの行列でした。おもしろいのは90歳で死ぬまでの晩年30年間の作品に焦点を当てていること。そして版画だけではなく、肉筆画を世界中から集めていること。約200点の展示作品はどれも完成度がメチャクチャ高い。「八十歳を過ぎてなお、猫一匹描けねえと悔し泣き」と、書き残された北斎の向上心と執念が伝わってくる。

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 そんな北斎が追求し続けた表現テーマのひとつが、動く水。海外では「The Great Wave」と呼ばれる富嶽三十六景の『神奈川沖浪裏』。展覧会のポスターでも使われたこの名作を生みだしたのは70歳過ぎのこと。現代のカメラで5000分の1秒という特殊なシャッタースピードで初めて見える波頭。よく肉眼で観察できたものだ。若い頃から描かれたさまざまな浪を見ていくと、風景の一部から絵の主役に変わっていくのがわかる。その流れを極限まで推し進めたのが、信州小布施の祭り屋台の天井画『怒涛』。男浪と女浪で対になっている。小布施へ行けば北斎がデザインした祭り屋台2基の全体を観られる。たぶん北斎の立体作品はこれしかない。ちなみにもう1基の天井画は『龍と鳳凰』。

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 ご覧のように、ここまでくると絵の主役を通り越して、もう抽象的な運動体としての浪。すでに風景ですらなく、宇宙物理学の領域。ブラックホールや超新星のようだ。(見たことはありませんが) 美しいブルーの濃淡は、オランダ商館を通じて入ってきたばかりのプルシアンブルーや日本の藍を使い分け、緑青のグリーンも組み合わせて表現している。そして、どちらも縁の枠には色鮮やかな花や鳥が華麗に描かれている。これは娘の葛飾応為の作品。彼女も名人です。八十を過ぎてから何度も小布施を訪れて作品を残した北斎。新幹線もクルマもない時代、老体で何百キロも歩くしかない。絵を描ける喜びだけを求めた執念ですね。

大英博物館 国際共同プロジェクト
北斎 ー 富士を超えて ー
2017年10月6日(金)~11月19日(日)
 

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2017年10月10日 (火)

水際から橋の下、昼も夜も

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 釣り人がいっぱい糸を垂れる岸壁、神戸大橋の下に出現したヒマワリ畑。西村正徳の作品「O2 ひまわり / Thank-You Presents to Oxygen」です。酸素ボンベの上に咲いたヒマワリの花が150本。畑の中を回遊するように、ヒマワリの間を歩ける。それぞれのボンベの胴体には開港から現代までの西暦年号が書いてある。自分の誕生年でしょうか、アップで撮影している人もいます。同じヒマワリの作品が神戸空港海上アクセスターミナルビルにも設置されているので、見比べるのもおもしろい。

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 神戸大橋と言えば、その真下に金土日と祝日にあらわれるカフェがある。建築家ユニットのドットアーキテクトの作品「UNDER THE BRIDGE」です。ここではいろんなパフォーマンスやアートイベントが行われる。来た人はビールやコーヒーを飲みながら思い思いに楽しむ。集い、つながり、場を共有する。そうやって過ごす時間がアートなのだ。Photo_3
 行ったときはコンテンポラリー音楽のパフォーマンスをやっていた。上の写真の奥の方。わかりにくいのでアップも載せます。大きな銅鑼をマイクでこすったり指ではじいたり、マリンバをなでたり叩いたり。それらの音をアンプで増幅させ共振させ、音のひずみやノイズを活用したサウンドアート。もちろん決まった調性はなく、規則的なリズムもない。始めもなく終わりもない。どうやって終わるんだろう?と思っていたら、30分ほどしたら奏者が立ち上がってお辞儀をしたので、拍手をしました。全身を使った現代音楽、かなり体力がいる!

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 暗くなってからメリケンパークに派手な電飾があらわれた。やなぎみわの作品「花鳥虹」、台湾で制作した移動舞台車です。大型トラックを改造し、ボディの壁や屋根が開いてステージになる仕掛け。背景がゆっくり立ち上がったり、電飾のデザインが点滅したり、にぎやかに見せてくれる。台湾にはこんな移動舞台車がたくさんあり、全国をまわってお芝居や歌謡ショーが開かれているという。やなぎみわさんも、これを使って演劇公演を行っている。港都150年芸術祭の最終日、10月15日(日)にはこのステージでやなぎさんのトークショーが予定されている。

神戸開港150年記念
港都 KOBE 芸術祭
2017年9月16日(土)~10月15日(日)

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