二本の「エルミタージュ」映画
いま兵庫県立美術館では大エルミタージュ美術館展が開催されている。そして映画『エルミタージュ美術館 ― 美を守る殿堂 ―』が公開され、ちょっとしたエルミタージュブームの感がある。このドキュメンタリー映画はとてもよくできている。250年の歴史を持つ偉大な美術館がどんな成り立ちでどう発展してきたか、革命や戦争などさまざまな困難をどう乗り越えてきたか。美しいサンクトペテルブルクの四季の街並みとともに簡潔にまとめている。
挿入されるエイゼンシュテイン監督「戦艦ポチョムキン」の映像も効果的だし、ミハイル・ピオトロフスキー館長の解説もとても興味深い。ダ・ヴィンチやミケランジェロからマチスやピカソまで、世界第一級のコレクションを守り続けるエルミタージュ美術館。マージ―・キンモンス監督は、あたかも美術館そのものが人格を持って生き続けているように、見事にまとめている。美術館をテーマにしたドキュメンタリーでは、いままで観た中で最高だと思います。ぜひサンクトペテルブルクに行かないと。
もう一つの映画『エルミタージュ幻想』は、アレクサンドル・ソクーロフ監督の野心作。なんと90分あまりの全編をワンカットで撮影しているのだ。NHKの技術協力で可能になったそうだ。2002年の作品だが、大エルミタージュ美術館展に合わせてKEN-Vi名画サロンで上映されたものを観ました。
監督の主観映像で、エルミタージュ内部を時空を超えて彷徨い、ピョートル大帝やエカテリーナ女帝に遭遇。またロシア革命が忍び寄る時期のニコライ2世や娘のアナスタシアも登場。圧巻は大舞踏会のオーケストラをヴァレリー・ギルゲエフが指揮していること。
これらのシーンが扉を開けるたび、階段をの下るたびに繰り広げられる。気の遠くなるような緻密な準備とリハーサルが重ねられたのでしょう。こんな奇跡を成し遂げた出演者たちにもアタマが下がります。これこそ芸術だ!と叫びたくなる(難解な?)映画でした。
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