目にするもの、すべて国宝!
明治30年にできた京都国立博物館は、開館120周年を迎えます。そして『国宝』という言葉も同じ年に制定された文化財保護法の先駆けである『古社寺保存法』のなかで初めて使われたそうです。つまり京都国立博物館と国宝、ともに迎える節目の年に開催される国宝展。4期に分けて展示される210件は、すべてが国宝という充実した内容です。そして京都に集結した名品をまとめて鑑賞できるこの展覧会も、最後のⅣ期に入りました。
Ⅳ期の目玉は尾形光琳の「燕子花図屏風」。琳派を代表する絵師である光琳の、代表作のひとつだ。平安時代の歌物語『伊勢物語』をモチーフに、三河国の八ッ橋に美しく咲くカキツバタを描いている。金地に群青と緑青、斬新な構図、大胆な画面展開。エネルギーと才気があふれています。大正時代のはじめに西本願寺から売却されて以降、100年以上の時を経て京都に初めての里帰りが実現したことになる。所蔵する根津美術館では、毎年カキツバタが咲く初夏に鑑賞できるそうだ。
六曲一双屏風の右隻は中央より上のほうに、左隻は下の方にカキツバタの群生を配置。平面的、装飾的でありながら、まるで八ッ橋を渡りながらカキツバタを愛でているかのような臨場感がある。メトロポリタン美術館が所蔵する「八ッ橋図屏風」も同じモチーフでカキツバタを描いた名作だが、『橋』を描かないこちらの作品が個人的には好きだ。シンプルで力強い、光琳独自の美の様式。余白の美もより強く感じます。
この近世絵画コーナーは円山応挙の六曲一双「雪松図屏風」と与謝蕪村の「夜色楼台図」も展示してあり、江戸時代中期の巨匠たちの仕事をぜいたくに堪能できる。
たくさんの、まさに国の宝だらけの中でも特に印象深かったのが、縄文土器や土偶。5000年も前の人たちが創造した奇跡の造形です。火焔型土器や縄文のビーナスや縄文の女神。写真で見たことはありましたが、現物の力強さはハンパじゃない。縄文人は高い文明を持った宇宙人だったのか、なんて妄想を抱いてしまう。「ゲイジュツは爆発だァ」。岡本太郎先生の驚き感動した顔が目に浮かぶようです。
京都国立博物館 開館120周年記念
国 宝
2017年10月3日(火)~11月26日(日)
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