神戸港を舞台に芸術祭
神戸開港150年を記念して開催されているアートフェスティバル、「港都 KOBE 芸術祭」。神戸港やポートアイランド、空港島に22作品が展示・設置されているが、もっとも神戸らしさを感じるのが、アート鑑賞船で海から作品を観る企画です。中突堤中央ターミナル「かもめりあ」の前から乗船し、約45分で10作品を観ながら港内をめぐる。川崎造船で修理中の自衛隊の潜水艦や、運が良ければポートターミナルに入った大型クルーズ船も目にすることができる。
沖合いのコンクリート係船杭の上。西野康造の『風になるとき』や小清水漸の『150年の水を漁る』は、陸からは決して見ることができない。さまざまな金属やガラスなどの素材を使って、カモメや浮き球をモチーフにした神戸ならではの立体造形。これらの作品は、たぶん芸術祭の開催期間が終わってもずーっと残されるでしょう。そうすると風雨にさらされて、ますます良さが増しそうです。ま、見るには遊覧船に乗らなければいけませんが。
立ち入り禁止の新港第2突堤の先には、大型コンテナが積み上げられている。その海側の側面に世界各地の子どもたちの顔が。井上廣子+井上凱彦建築計画事務所の作品『風の回廊』です。世界の人やモノが入ってくる。日本各地の人やモノが出ていく。港は今でこそ飛行機にその地位を譲りつつあるが、船しかなかった時代はまさに交流の玄関口。その独占的地位は失われたとしても、これからも重要性は続くでしょう。未来のつながりの象徴が、子供たちの笑顔とコンテナでしょうか。
スウェーデンの女性アカペラグループ・クラヤの歌声が聴こえ出したと思ったら、予告もなしに静かにコンテンポラリーダンスが始まる。ダンスボックスというグループの『ダンスの天地』。パフォーマンス中にもかかわらず、「アンタ、これアートなん?」とアーティストに問いかける人。演技が終わってからにしろよ、と言いたいが、関西のオバちゃんパワーに圧倒されて沈黙。船から、そして船の中で。コンパクトにアートフェスティバルを楽しめました。
神戸開港150年記念
港都 KOBE 芸術祭
2017年9月16日(土)~10月15日(日)
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