エルミタージュのオールドマスター
かつてロマノフ王朝の宮殿だった壮麗な建物に収められた美術品の総数はおよそ310万点。世界最大級の美術館のひとつ、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館は、女帝エカテリーナ2世の絵画コレクションから始まる250年の歴史があります。マティスやゴーギャンなど近代絵画のコレクションもすばらしいけれど、兵庫県立美術館でいま開催中の『大エルミタージュ美術館展』は、「オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」というサブタイトルが示す通り、ルネサンスからバロック、ロココへと続く古い時代の絵画を持ってきている。
ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、クラーナハ、ムリーリョ・・・。16世紀から18世紀にかけて活躍したイタリア、フランドル、オランダ、スペイン、フランス、ドイツの巨匠の作品が85点。カンヴァスに油絵の具で描かれた、いわゆる西洋絵画というイメージのものです。王侯貴族の肖像画、聖書からテーマをとった宗教画、古代ギリシャ神話やローマの歴史画、そしてこの時代に始まった風俗画や風景画。良いんだけれど、現代の私たちから見るとちょっと退屈な作品が多い。
そんななかで少し趣が違っていて印象に残ったのがジャン=バティスト・サンテールの『ヴェールをまとう若い女性』。サンテールはフランスのロココ初期の画家で、1699年の作品だそうだ。知らなかったけれど、情感あふれるいい絵を描く。光と影の扱いといい構図といい色使いといい、なかなかクオリティの高い作品だ。なによりモデルの女性がいい。品が良くておだやかな表情。女性らしい柔らかさと慈しみの心が感じられる。聖母像でもなく肖像画でもない。こんな表現から近代絵画へとつながっていったのでしょうね。
オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
大エルミタージュ美術館展
2017年10月3日(火)~2018年1月14日(日)
兵庫県立美術館
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