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2017年9月22日 (金)

オリーブの樹と「おおきな木」

300
 神戸の街にオリーブの樹! 大丸創業300周年にあたり、神戸店一階に推定樹齢300年の大樹がお目見えしました。仕掛け人はプラントハンターとして世界中から珍しい植物を集めてくる、今をときめく有名人の西畠清順氏。そのトークショーに馳せ参じました。
 予想していた通り、無造作に束ねたカーリーヘアーに白いTシャツ、ジーンズ、素足にサンダル・・・。どこにでもふわっと出没して、周りの空気に溶け込んでしまう方なんでしょうね。

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 とても印象的だったトークを少し。「皆さんが今、ご覧になっているこの巨木のオリーブは、もはや実を付けなくなった老木。だからまな板とかスプーンとか、加工品になる運命だったんです。それを買い付けて運んで来ました、スペインから。僕がこの仕事で心がけている大事なことは“その木を生かすこと”。生かすって活かすでもあるんです。僕は15年間、生花の花を摘んで、摘んで、これって生花なのに、まずは花を摘んで殺すところから始まるやないかと・・・」。
 過酷な、大いなるプレッシャーとの戦いであるプラントハンターと言う仕事を、生き生きと常に笑顔でこなされる、その理由を垣間見た気がしました。

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 私、ちょっと思っていたんです。「せっかくその地に根付いている木や植物を、わざわざ金儲けのために運んでくるなんて・・・」。これ、大いなる間違いですよね。木は安住なんて望んでいない。遠くに運ばれても、そのために土を落とされ、枝を切られたって何だって構わない。そのおかげでまた蘇って実をつけるようになるのなら。生き延びて、子孫を残すことが出来れば。それが遠い異国だって、へん!望むところだい!
 西畠氏の尽力で鮮やかに息を吹き返したオリーブの樹を後に、ふと最近息子がプレゼントしてくれた絵本のことを思い出しました。

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 言わずと知れたシェル・シルヴァスタインの世界的ベストセラー「おおきな木」(あすなろ書房)。りんごの巨木は大好きな一人の少年に葉も実も枝も与え続け、やがて切り株だけになってしまいます。すっかり年老いた青年が切り株に力なく座り込むラストのシーン。以前から私はこの絵本を何処かで読んでいましたが、あまりにも悲しくて、とても絵本を購入する気にはなれなかったのです。でも息子が言いました。「何度も読んでみるといいよ。訳者である村上春樹氏が書かれているように、その折々で感じることが違ったりするから」。
 確かに。少なくとも「木はかわいそう」ではないと・・・。西畠氏のトークとは矛盾しているかもしれません。でも木の想いに、その木の想いに耳を傾けてみると、どちらの木も幸せなんですよね。遠くから運ばれて蘇ったオリーブの樹も、切り株になって、大好きな年老いた青年をそこに迎えたおおきな木も。
 木の幹に手を当ててその木と対話する。言葉を発しない木は、だからこそ多くの事を伝えるのかもしれません。これから先もこの絵本を何度も読み返すことにいたしましょう。

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