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2017年8月17日 (木)

世界報道写真展が指し示すもの

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 もう終わりに近いが、「世界報道写真展 2017」が梅田のハービスHALLで開催されている。報道写真は世界を映し出す鏡。戦争やテロ、難民や貧困などをテーマにした作品がじつに多い。たしかにこの一年のニュースを振り返ってみても、シリア、IS、イラク、ソマリア、リビアをはじめ、心が痛む悲惨な出来事をたくさん思い出すから当然か。なんか他人事のような言い方しかできない自分が情けないけれど・・・。
 悲劇の本質を一瞬に伝えるシンボリックな作品は、いい報道写真の王道だ。まさに百聞は一見に如かず。しかし、そんな作品を撮るためには、その場にいないといけない。そのために毎年何人かのカメラマンが犠牲になるのも心が痛む。

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 アメリカ・ルイジアナ州で黒人青年が警察官に射殺された。その抗議デモで、警備の警官隊の前に静かに立ちふさがる女性。場違いとも思える優美なドレス、その毅然とした姿は見るものに感動を呼び起こす。暴力には暴力を、という連鎖を断ち切る力強いメッセージが込められている。根深い人種差別の風土を変えるのに武力はいらない。武装した警官隊に、あえて丸腰を強調するコスチュームで。天安門事件で戦車の前に立ちふさがった青年を思い出しました。報道写真の枠を超えて、本当にすぐれた作品だと思う。

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 以前に比べて少し減ってはきましたが、環境問題、野生動物保護をテーマにした作品もがんばっている。捨てられた漁網が絡まったまま泳ぐウミガメ。猛吹雪のあと地面を埋め尽くすチョウの死骸。密猟者の犠牲になったサイ。
 報道写真という性格上、どうしても暗く、重く、深刻な作品が多くなるのは仕方がない。普通で平凡で幸せなシーンはニュースにならないですからね。でも、だからこそ、一目見ただけで気持ちがパッと明るくなる、楽しくなる、勇気づけられる、そんな写真を撮れるカメラマンの出現を待っています。そして新聞やテレビに取り上げられて報道写真展で入賞する時代が来ることを!

変えられた運命
世界報道写真展 2017
2017年8月8日(火)~8月17日(木)
【大阪展】 ハービスHALL

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