O JUN ×棚田康司の展覧会
画家・ O JUN(おうじゅん)と彫刻家・棚田康司の「鬩(せめぐ)」展が、伊丹市立美術館で開催されている。単なる二人展ではない。タイトルの通り、まさに二人の表現がせめぎ合っている。それにしても、『鬩』なんてむずかしい字は初めて見ました。せめぎ合いの、せめぐ。絵画と彫刻、ジャンルは違っても、一騎打ちのバトルを繰り広げ、しかもお互いのエネルギーの相互作用でもう一段上の展覧会にまで高められている。
1956年生まれの画家は、日常の事物や人物、あるいは抽象的な記号をさまざまな画材をミックスさせて描く。1968年生まれの木彫家は、ミステリアスで不思議な存在感の少年少女を生み出す。第3会場の奥の展示室では、随時公開制作も行われている。この日は棚田さんがノミと木槌で大きな木に対峙しておられました。
3つの会場と1階2階のロビーも使った128作品。同じモチーフだとすぐにわかる作品の並びもあれば、まったく脈絡なく並べられているように見えて、なにか妙に心が揺さぶらものもある。不安や不穏や喪失感・・・観ている展示空間からは、現代が決してハッピーなだけじゃないことを示している。
「絵画は壁に、彫刻は床に」、という常識を打ち破って入り混じって展示する方法も効果的だ。反発し共鳴し調和して、1+1が5にも10にもなる二人の世界。こんなスリリングな二人展は初めて見ました。まさに鬩ぎ合い、一騎打ちの真剣勝負! ちなみにこの展覧会は伊丹市立美術館の開館30周年を記念したものだそうです。
O JUN × 棚田康司
「鬩(せめぐ)」展
2017年7月8日(土)~8月27日(日)
伊丹市立美術館
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