« 2017年6月 | トップページ

2017年7月

2017年7月22日 (土)

信州の、夏の、天の川

Photo_4
 まわりには何もありません。真っ暗です。信州奈川の夜。だから星空がきれい。梅雨も明けたようで、天の川もこんなにきれいに見えます。
 天の川で隔てられた織姫と彦星。一年に一度だけ会えると言い伝えられている七夕なのに、雨が降ったり空が雲に覆われたり、気の毒にも会えない年がよくある。そりゃそうだ、新暦の七夕はまだ梅雨時。それに都会では空が明るすぎて、小さい星の集合である天の川は光が弱すぎて見えません。
 芭蕉が 『荒海や 佐渡に横たふ 天の河』 と詠んだ時代の空はもっと暗かったはず。天空一面にタテに横切る天の川がくっきりと見えていたに違いない。この句が詠まれたのは七夕も近い7月4日だそうだ。もちろん旧暦の話。奥の細道で歩いたその年は、新暦では8月18日らしい。晴れた夜空を見上げるのは、これからですね。

Photo
 松本では民家の軒先や焦点のショーウインドーに七夕人形を飾る文化があります。きっと織姫と彦星の伝説から生まれたものでしょう。奈川では見たことがないので、松本市内に特有の習俗かもしれません。言わばお雛さまの七夕バージョン。折り紙のような簡易版から、本物の着物を子ども用ぐらいに小さくして着せる本格的なものまで、多様なカタチがある。専門の人形店もあるし、カルチャーセンターで七夕人形作りのワークショップまで開かれている。
 そうそう、天の川を見に外へ出ると、ホタルが3~4匹飛んでいました。奈川の家でホタルを見たのは初めてです。いつもこんな時間は夕飯を食べたあと、お酒タイムになっているから外に出ることはない。下の川まですこし距離があるのに、まさかホタルなんて!思ってもみなかった。感激です。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月19日 (水)

ソバの花と栗の花

2w7a6478d
 いま信州奈川では、ソバの花と栗の花が満開です。このソバは夏ソバ。8月後半に収穫される。普通にソバと言ったら8月お盆過ぎに花が咲く秋ソバ。これは9月末から10月にかけて収穫される。それはさておき、ソバの花ってちょっと臭いニオイがするって知ってました? 鶏ふんや堆肥に似たニオイが風向きによって漂ってきます。
 蕎麦はまだ 花でもてなす 山路かな (芭蕉)

Photo_2
  栗もいま花盛りです。ソバの花に比べてうっすらベージュがかった白色。夕方撮ったのでよけいに黄色っぽく見えますが。実ができるのは9月後半から。そして栗の花も独特のニオイがある。昔からよく男性の精液のニオイがする、と言われていますがホント生臭いです。
 怒る栗 笑う栗 皆 落ちにけり (子規) 

Photo_3
 ソバも栗も、花の時期は決してかぐわしいとは言えないニオイがするのに、秋に収穫して食べると得も言われぬ美味しさです。不思議ですね。イヤなニオイがする、姿は悪い、けれど食べたらメチャ旨いものもよくあるじゃないですか。人もモノも見た目だけで判断したら、自分が損する。そう思いませんか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月15日 (土)

O JUN ×棚田康司の展覧会

Photo
 画家・ O JUN(おうじゅん)と彫刻家・棚田康司の「鬩(せめぐ)」展が、伊丹市立美術館で開催されている。単なる二人展ではない。タイトルの通り、まさに二人の表現がせめぎ合っている。それにしても、『鬩』なんてむずかしい字は初めて見ました。せめぎ合いの、せめぐ。絵画と彫刻、ジャンルは違っても、一騎打ちのバトルを繰り広げ、しかもお互いのエネルギーの相互作用でもう一段上の展覧会にまで高められている。

Photo_2
 1956年生まれの画家は、日常の事物や人物、あるいは抽象的な記号をさまざまな画材をミックスさせて描く。1968年生まれの木彫家は、ミステリアスで不思議な存在感の少年少女を生み出す。第3会場の奥の展示室では、随時公開制作も行われている。この日は棚田さんがノミと木槌で大きな木に対峙しておられました。

Photo_4
 3つの会場と1階2階のロビーも使った128作品。同じモチーフだとすぐにわかる作品の並びもあれば、まったく脈絡なく並べられているように見えて、なにか妙に心が揺さぶらものもある。不安や不穏や喪失感・・・観ている展示空間からは、現代が決してハッピーなだけじゃないことを示している。

Photo_3
 「絵画は壁に、彫刻は床に」、という常識を打ち破って入り混じって展示する方法も効果的だ。反発し共鳴し調和して、1+1が5にも10にもなる二人の世界。こんなスリリングな二人展は初めて見ました。まさに鬩ぎ合い、一騎打ちの真剣勝負! ちなみにこの展覧会は伊丹市立美術館の開館30周年を記念したものだそうです。

O JUN × 棚田康司
「鬩(せめぐ)」展

2017年7月8日(土)~8月27日(日)
伊丹市立美術館

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月12日 (水)

TAPは極上のエンターテインメント

Tap
 水谷豊はクリント・イーストウッドになれるかも。『TAP』を観終わった後、最初に頭に浮かんだことです。俳優として名を成した水谷豊さんの初監督作品、素晴らしいエンターテインメント作品に仕上がっている。LA LA LANDでタップダンスの魅力をあらためて思い出したいま、タップの魅力にフォーカスしたこの作品は最高にはまりました。企画力、演出力、映画への愛・・・すべての才能を兼ね備えた映画作家・水谷豊の誕生。これからの活動に大いに期待しましょう。初演出からすでに巨匠の風格と円熟の技術。もう彼から目が離せません。

Photo
 1974年、サントリーホワイトのCMでサミー・デイヴィスJr.が見せてくれたカッコいいタップ。1985年の映画「ホワイトナイツ」で、ミハイル・バリシニコフをむこうにまわしてグレゴリー・ハインズが踊った、火の出るようなタップ。ダンスという肉体表現は、言葉の壁、文化の壁をあっという間に超えることができる。なかでも、足音で奏でるリズムと音色が特徴のタップは、人間の根源的な部分を揺さぶるパワーがある。鼓動。世界のどこにでも太古の時代から続く打楽器があるのと同じ。和太鼓や花火の音が身体に響くように。

Photo_2
 厳しいオーディションや華やかなショウ。あくまでタップのシーンがメインだが、登場人物それぞれが抱える人生も丁寧に描かれていて、ドラマに奥行きを与えている。さまざまな問題を抱えつつ感動のラストショウへ。この盛り上げ方も見事です。こんなに完成度の高いエンターテインメント映画が日本で誕生するなんて! この映画を支える日本のショービジネス界の成熟が感じられて、感無量です。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 9日 (日)

いまあなたは幸せですか?

Photo
 日本ブータン外交関係樹立30周年記念、『ブータン しあわせに生きるためのヒント』という展覧会が開催中です。1972年にブータン前国王により提唱されたGNH(国民総幸福)Gross National Happiness という考え方が、世界を驚かせました。GDP(国民総生産)を重視して経済発展を追求してきたけれど、モノはあふれるほど豊富になったけれど、はたして幸せになったのか? 文明の進歩は善だ、という概念に疑問を抱き始めた先進諸国の人々。国民総幸福という言葉は、とても深く響きました。

Photo
 また2011年11月、福島県相馬市の小学校を訪れた現国王夫妻。子供たちに「龍を見たことがありますか?」と問いかけて話をされた内容。大人が聞いても感動的でした。こんな素晴らしい偉人が生まれる国ってどんなところなのだろう?と調べてみると、ヒマラヤ山脈の東端にある小さな国で、50年ほど前まで鎖国していたそうだ。だから世界の流れに呑み込まれていない。ムリな開発はせず自然環境を大切にし、暮らしの中にある伝統文化を守り、信仰に篤くおだやかな笑顔の人々。

Photo_2
 「しあわせとは自分の持っているものを喜ぶことです」。「もしあなたが悪いことをすれば、悪いことが自分に返ってきます。もし善良であれば、いいことが自分に返ってきます」・・・。会場に掲出されているブータンの人々の言葉や、VTR映像で見る現地の生活、織物や祭礼用の仮面に見る丁寧な手仕事などに、「しあわせ」のヒントが隠されているかもしれません。

ブータン
しあわせに生きるためのヒント
2017年7月1日(土)~9月3日(日)
兵庫県立美術館

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 5日 (水)

少年の心に潜むモンスター

Photo
 英国のファンタジー映画『怪物はささやく』、オリジナルタイトルは A Monster Calls です。原作は、シヴォーン・ダウドの原案をパトリック・ネスが完成させた児童文学の世界的ベストセラー。少年の苦悩と心の葛藤をあぶりだし、それを直視し乗り越える勇気が人を成長させ、大人への道を歩ませる。こう言葉で書くと無味乾燥のお説教に聞こえるが、監督の演出力と俳優たちの演技力でリアリティある映画に仕上がっている。

Photo
 人は誰でも過酷な状況に置かれるとつらい現実に目を背け、空想の世界へ逃げ込む傾向がある。それは自分が壊れるのを防ぐ知恵でもある。自己防衛本能。しかしそれでは真の解決には結びつかない。いかにつらくても現実を認め、現実にしっかり向き合うこと。そこにしか解決法はない。それがまた、少年から大人になる、ということなのだ。ただ13歳のこの少年には過酷過ぎる気もしますが・・・。

Photo_2
 光の弱い英国の田園地帯の映像が美しい。また水彩画や鉛筆デッサンを使った物語のビジュアルが素晴らしい。原作のイラストレーターであるジム・ケイの絵を使っているそうだ。CGを活用したモンスターも、怖さだけではなく優しさもよく表現されている。このような実写、イラスト、CGのそれぞれの良さをうまく融合した作品って、あまりなかったのではないでしょうか。児童文学が原作のダークファンタジーだけれど、じゅうぶん大人の鑑賞に耐える映画でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 2日 (日)

仙洞御所と大宮御所のお庭

Photo
 仙洞御所とは皇位を退かれた天皇=上皇の御所のこと。「仙頭(せんとう)」という言葉は、天皇退位の関連でときどき目にするようになりましたね。梅雨の合間の先日に京都御苑の中、京都御所の東南に位置し、皇太后の御所である大宮御所と一体となった庭園を見学しました。御所の近所でちょっと用があり、ここの駐車場にクルマを止めて歩いていたら、門の前にたまたま「当日参観受付」の表示を見かけたので見学ツアーに参加したわけです。

Photo_2
 北と南に大きな池があり、そのまわりを散策しながら木や花を楽しむ回遊式庭園です。池の水はそんなに澄んでいない。いまは植物性プランクトンがいっぱい繁茂するときで、水の色が緑色になるそうです。冬場はきれいに澄んでいるとのこと。アオサギが佇んでいます。ゴイサギもいます。もちろん人工の庭園だけれど、大都会の真ん中とは思えない見事な自然が残っている。サクラの時期、フジの時期、カキツバタの時期、モミジの時期など、さぞや!という趣。でもそんな頃はだいぶん早めに予約しとかなきゃ入れなかったでしょう、きっと。あまり観光客が多くない今だから、待たずにすぐに見学できたのだと思う。ラッキー!

Photo_3
 大宮御所の御車寄や御常御殿、仙洞御所の又新亭や醒花亭という名の茶室を見ながら、六枚橋や八ッ橋、州浜を通って約1時間で手際よく案内してもらう。20人ぐらいのグループで、その3分の1ぐらいは外国人、そしてほとんどは欧米系の人たち。みんなオーディオガイド(たぶん英語)で説明を聞きながら楽しんでいる様子。緑のシャワーを浴びて、プティ森林浴です。小堀遠州が作庭した部分は少ししか残っていないようだが、なかなかいいところでした。
 日本人だとは言え、たまたま通りかけなかったらたぶん一生見学しなかった場所。見学できて良かったです。

仙洞御所 参観要領

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年6月 | トップページ