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2017年6月

2017年6月29日 (木)

ジャパングラフ、7号は沖縄

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 全国の47都道府県をひとつずつ取り上げ、その土地の風土や固有の文化を美しい写真と文章で紹介する『JAPANGRAHP』。写真家の森善之さんが中心になって株式会社七雲から発行されている。急速に画一化が進むなか、いま残さなければ消えてなくなるかもしれないモノやコト、景観や祭礼や風習を丁寧に取材。それらを一冊の本にまとめるという、とても意義のある活動だ。そしてこのたび7号沖縄編が出版され、その出版記念展が開催されている。

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 沖縄県はとても広い。今回の取材でも、本島以外に伊江島や平安座島、久高島、宮古島や石垣島、鳩間島や与那国島、波照間島、南大東島などの島々をアーティストたちが訪れている。そこで彼らが見て記録した神事や生活習慣は、大きな海に隔てられているせいか、それぞれ独特の姿がある。神話と伝承。自然と人間の融合。先祖の魂と現代の子供たちとの交流。観光客の目では触れられない、奥深い歴史と真実の暮らしが、すごく魅力的に映る。

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 ネット上にはさまざまな情報があふれ、もはや手に入らない知識や知見はない、という便利な時代になりました。でも、だからこそ、しっかりした目で編集しパッケージされたジャパングラフのような本が、ますます存在価値を高めてくると思う。まだ7号、47すべてを出し終えるまで、ぜひがんばっていただきたいと思います。

coffee books gallery iTohen
6月21日(水)~7月2日(日)
大阪市北区本庄西2-14-18 富士ビル1F

books & folkart ナナクモ
6月23日(金)~7月2日(日)
京都府宇治市宇治妙楽144

平敷兼七ギャラリー
7月5日(水)~7月17日(月)
沖縄県浦添市城間1-38-6

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2017年6月26日 (月)

人類の、のっぴきならない遊動

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 「INEVITABLE NOMADISM のっぴきならない遊動」という気になるタイトルの展覧会を、京都芸術センターへ観に行ってきました。黒宮菜菜、二藤健人、若木くるみ、若手アーティスト3人のグループ展です。
 10万年前にアフリカを出発したホモサピエンス。何万年をかけて世界のすみずみまで拡がった。その過程でいろんな場所に芸術の痕跡を残してきました。動く、遊ぶ、表現する、残す・・・これらはDNAに組み込まれた人類の本能かもしれません。

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 そんな本能を内包した身体性をベースにした平面作品、映像作品、立体作品、インスタレーションの展覧会。会場の京都芸術センターは、1993年に閉校になった明倫小学校を活用した多目的アートスペース。1階から4階までの元教室や階段の踊り場、廊下を使った展示は見ごたえ十分。
 三人三様、それぞれ面白いが、和紙や染料を使って「にじみ」や「ぼかし」で表現する黒宮さんの独創的な絵画にとても感動しました。由緒ある戦前の名建築と渾然一体となった、素晴らしい世界を産み出している。今後の活動に期待したい。

黒宮菜菜/二藤健人/若木くるみ
INEVITABLE NOMADISM
のっぴきならない遊動

2017年5月25日(木)~7月2日(日)

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2017年6月23日 (金)

草の辞典

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 ふらりと立ち寄った本屋で目にして、パラパラとめくって即購入した本。その決め手って一体何なのでしょう? それは多分、心の片隅の小さなポケットのような部分に思わず触れて、「うん?これは?」と、取り出してじっくり眺めてみたくなるよう感覚でしょうか? 何せ手元に置きたくなるんですよね。iCloudにあるから、ネット上にあるからいいじゃん!では無く。
 さて著者の「森乃おと」さんのメッセージを少し抜粋します。
 『草の辞典』に登場した花の多くは雑草です。雑草というと、つまらない草、ありふれた草というイメージですが、こうして並んだ写真を見ていると、まるで宝石箱のようだと思いませんか?
 思います!思います! シロツメグサやスミレ、コバンソウなど四季を通じて、どこにでも見かけられるような草花の、何と輝いていることでしょう。真剣に花の名前を調べる。調べたい!という場合には、正直少し不向きな辞典かもしれませんが、まずはそのとっかかりを与えてくれるという意味において、とても素敵な辞典だと思います。
 私はベッドサイトにこの本を置いて、寝る前の僅かな時間に眺めたり、拾い読みをしたりしていますが、そんな時にふと昔大好きだった曲の一節をいつも思い出します。
 “野に咲く花の、名前は知らな〜い。だけども野に咲く花が好き。”
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   “どの草にも名前があり、それを知ると自然はくっきりと見えて来ます。”と著者の言葉。
 確かに! 名もない雑草は無いと言いますね。我が家のベランダでいつの間にか葉を茂らせた・・・実はこれ、今大流行の「コリアンダー」なんですが、その名を知らなければただの雑草にしか見えない?
 季節の訪れ、変わり目を、懸命に生きる姿で私たちに教えてくれる草花たち。心に余裕があれば、草花を愛でようという気持ちがあれば、日々の営みはうんと楽しくなっていくのですね。
 そうそう、辞典の中のパート2・花のこと葉の章にこんなこと葉を見つけました。
 “別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。川端康成”
 草花に込められた、秘められたこと葉の世界。様々な花言葉に加えて、草花を料理やお茶など生活に取り入れて楽しむ知恵もいっぱい詰まったオススメの辞典です。

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2017年6月20日 (火)

まだ早め?六甲のアジサイ

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 六甲山でいちばんポピュラーな花はアジサイ。でもこれが、じつは園芸種だそうだ。伊豆半島付近に自生するガクアジサイ(別名ハマアジサイ)をヨーロッパで手毬(てまり)タイプに品種改良されて、日本に逆輸入されたものだという。以上は神戸市立森林植物園でもらった『六甲山のアジサイ』というリーフレットに書いてありました。NPO法人『六甲山の自然を学ぼう会』が発行したもの。
 西洋アジサイとも呼ぶ園芸種。装飾花だけでボールのような華やかなカタをつくり、梅雨の時期に爽やかに目を楽しませてくれます。ただし、今はまだ少し早いのかまだあまり咲いていません。写真は、ヒメアジサイの群落の中でまとまって咲き始めた一画を撮影したもの。

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 で、森林植物園の中にあるアジサイ園では、少し花期が早いヤマアジサイの仲間・シチダンカが見頃です。この花もおもしろいエピソードを持っています。江戸時代にシーボルトが標本にして持ち帰り、『フローラ・ヤポン(日本植物誌)』に記載されていたが、それ以来日本では見つからず、幻の花となっていた。ところが1959年に六甲山小学校の先生が六甲ケーブル沿線付近で再発見したのだ。
 そんなわけでアジサイ園では、シチダンカがたくさん育てられている。花弁10~15枚の飾り花が星型に重なり合った、水色の花。よく見るアジサイのゴージャスさはありませんが、夢の中で見たような、小ぶりで清楚で儚げで、まさに幻の花と言うにふさわしい。梅雨入りしても爽やかな晴天が多い今年。地上の星を見るには絶好です。
 

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2017年6月17日 (土)

陶とガラスのインスタレーション

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 田嶋悦子さんという陶芸作家の「Records of Clay and Glass」という展覧会が、西宮市大谷記念美術館で開催されている。
 草間彌生をもっとおどろおどろしくしたような生命力あふれる初期作品から、ガラスと陶をパーツとして組み合わせたミニマルな立体作品へ、そして陶の表面にアジサイの葉脈を転写し板ガラスとセットして並べるインスタレーションへ。1987年から2017年の最新作まで、15点の代表作で構成された展示はとても見ごたえがある。

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 田嶋さんの創作手法のアイデアは、陶磁器を本体を形作る『粘土』と上からかける釉薬つまり『ガラス』とに分解して再構築することにある。ただし、そんな理屈は表には見えない。聞けば「なるほど!」と納得するけれど。魅力的なのはシャープな造形と、おもしろい質感の対比です。
 一貫して花や葉っぱや蔓など植物をモチーフにして陶芸の可能性を切り開く田嶋ワールド。饒舌な表現から寡黙な表現に変わってきてはいるが、その根底にある「生命賛歌」は変わらない。

Etsuko Tashima
Records of Clay and Glass
西宮市大谷記念美術館
2017年6月10日(土)~7月30日(日)

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2017年6月14日 (水)

ブリューゲルの作品に入り込む

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 「わけのわからん映画やったな」、「それより足元が窮屈やったわ」・・・。兵庫県立美術館ミュージアムホールで上映された『ブリューゲルの動く絵』(The Mill and The Cross)を観終わった後、帰る人々の感想です。美術館の名画サロンなので、美術ファンが集まっていたと思われるのですが。たしかに難解ではありましたが、物語に引き込まれて私なりに十分楽しめました。
 ピーテル・ブリューゲルの代表作のひとつ『十字架を担うキリスト』(ゴルゴダの丘への行進)の作品世界に入り込み、絵に秘められた意味を解き明かしていく、という意欲的、実験的な映画だ。ブリューゲルが生きた16世紀フランドルの人々の日常生活をうつす実写映像と、100人以上の登場人物を配置しさまざまな物語を重層させる絵画世界。この両方をうまく融合させる表現手法が、名画解釈に今までになかった深みをもたらしている。

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 当時はハプスブルグ家がオーストリアやドイツをはじめフランドルやスペイン、その植民地の中米や南米を支配していた時代。フランドルにも赤い制服を着たスペインの傭兵が駐屯し、プロテスタント(異端者)を弾圧していた。
 キリストの受難をそんなフランドルに置き換えた『十字架を担うキリスト』。聖母マリアもお決まりの赤と青のコスチュームをまとっていない。しかも十字架を背負ったキリストも、構図の中心点には描かれているが、よくよく見ないとわからないほどの小ささ。むしろ子供たちの遊びや物売りが並べている商品、牧童の生活などのディテールに情熱を傾けたのような絵なのだ。
 本来なら宗教画、歴史画にならなくてはいけないテーマを借りながら、庶民の生活を生き生きと記録した風俗画。この絵を素晴らしい映像美で解剖したのが映画『ブリューゲルの動く絵』。映画の基になった左右170cmの名画は、ウイーンの美術史美術館でご覧ください。

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2017年6月11日 (日)

スナフキンの名言に学ぶ

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   ムーミンオタクのけいママは、6月にめでたく一つ歳を取りました。もうこの歳になるとめでたいも何も・・・でもそうは言いながら、ふと頭に浮かぶスナフキンの名言があります。
 “この世にはいくら考えても解らない、でも、長く生きることで解ってくる事がたくさんあると思う。”
 ムーミンのお話の中でとりわけスナフキンの存在は大きい。家も物も持たず、旅を愛する孤高の人。数ある彼の名言の中で、とりわけ私が好きなのは次の一説です。
 “大切なのは、自分のしたいことを自分で知ってるってことだよ。”
 はてさて60 数年も生きて来て、私はその大切なことを知っているでしょうか? そしてさらに次の名言に納得するのです。
 “「そのうち」なんて当てにならないな。今がその時さ。”
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   歳を取ると時間の経過がどんどん早く感じられると言います。やりたいことはさっさとやっておかなくちゃ! そうそう、誰かさんも言っておられますね。「いつやるの?今でしょ!」
 でも時に立ち止まらざるを得なくなることも・・・。その理由は病であったり、自分自身や親しい他者のさまざまな事情であったりもします。そしてそんな時こそが人生においての試練なのでしょうか?スナフキンはこうも言ってくれています。
 “おだやかな人生なんてあるわけがない。”
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   今年のマイバースデーに、親しい人たちがけいママにムーミングッズを贈ってくれました。ムーミン&けいママは、もはやすっかり定着しているのです。嬉しいことに。と、スナフキンが呟きます。
 “人間は、ものに執着せぬようにしなきゃな。”
 は、はいっ! スナフキンさま、おっしゃる通りでございます! が、ムーミングッズで溢れるこのマイルームで、私は穏やかな眠りに着く事が出来るのであります。今夜も夢の中に広がるムーミンワールドへ。
 “自分できれいだと思うものは、なんでもぼくのものさ。その気になれば世界中もね。”
 世界!と、来たか! スナフキンさま! あなたのお言葉は幸せな子供時代を過ごすムーミンだけでなく、ええほど歳取ったけいママ婆さんの心にもズシンと来るのでございます。これからもよろしく!

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2017年6月 8日 (木)

マイバースデーと信玄餅

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   さらっと心地よい風に、芽吹いて間もない草木が揺れる・・・今年のけいママのバースデー当日は、梅雨入り直前の、まさに気持ちの良い日でありました。
 いい歳になっちまったが、無事に一つ年取ったのはやっぱりめでたいことだと安堵しておりましたところ、思いがけないプレゼントが、爽やか信州から届きました。
 包みを開けてみると、中にはけいママお気に入りのスイーツが! うん? しかしこれはいつもの信玄餅・・・ではないぞ? と取り出してみれば「信玄餅ロール」&「信玄プリン」&「信玄ゼリー」。へええっ! 桔梗屋さんって、こんなにいろいろ商品開発してはんの? 知らぬはけいママばかりなり?
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   と、まずはお茶の時間に信玄餅ロールを味わってみました。あっさりしたロールケーキにお餅と黒蜜が合う、合う。はい、従来の信玄餅もまったりお餅にきな粉がかかっていて、そこにとろ〜っと黒蜜をかけて頂く、上品な甘さの極上スイーツなんですが、その味わいをロールケーキやゼリーにもアレンジされたのですね。恐るべし!桔梗屋さん! 寝ても、冷めても、「キャラメルはどないや? 饅頭は?」と、日々、新しい商品開発に精進されているのでしょう。その努力の甲斐あってか、信玄プリンはお土産グランプリの金賞受賞。
 ホームページの桔梗屋さんの歴史を覗いてみれば紆余曲折。さまざまな時代を経て、昭和43年に桔梗屋信玄餅が大ヒットし、現在は甲府本店を拠点にカフェ・ギャラリーも併設して、無論ネット販売も!
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   そう、そう、去年の夏、知り合い宅でご馳走になった信玄餅アイスに感激して、ネット注文をしてみたら売り切れ! 順番待ち・・・。振舞ってくれた友人もネットでしか買ったことないという事でしたが、まさに時代ですね。信玄公もご自分の名前がスイーツになって広まっているとは、さぞビックリでございましょう。
 はい、けいママも長生きしたおかげでクール宅急便の恩恵に預かり、はるか遠くの地の美味しいものをマイバースデーに楽しむことが出来たのですね。
 そして、何より信州に住む友人の心遣いに感謝です!

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2017年6月 5日 (月)

シネマ歌舞伎で、弥次喜多道中

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 市川染五郎の弥次郎兵衛と市川猿之助の喜多八。昨年の歌舞伎座公演、「八月納涼歌舞伎」の舞台を撮影して映画化したシネマ歌舞伎です。ドタバタ喜劇のハチャメチャ舞台を、役者がみんな楽しんで演じている。時事ネタあり、内輪ネタあり・・・あの手この手で笑わせるサービス精神に観客は大喜びです。

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 江戸からお伊勢参りに行く道中、盗賊や高利貸しや幽霊などいろんな登場人物がからんで爆笑の連続です。伊勢に向かう道中、と書きましたが、なぜかラスベガスのカジノへ行ってアラブの石油王と友達になったり、クジラに乗って浜に打ち寄せられたり。これでもか!と水をかぶる立ち回り。どこまで飛んでいくのか!とあきれさせる宙吊り。

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 染五郎も、猿之助も、中村獅童も、伝統の歌舞伎でここまで羽目を外しても許されるの?と心配するほどのハジケぶり。でも、それこそが歌舞伎の真髄。笑わす、泣かす、うっとりさせる。徹底してその時代その時代のお客さんを喜ばせるサービス精神こそ、歌舞伎がエンターテインメントとして数百年も生き残ってきた理由でしょう。そして舞台の魅力に映画的演出もプラスしたおもしろさ、見る価値がありました。

シネマ歌舞伎<第27弾>
東海道中膝栗毛

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2017年6月 2日 (金)

恐怖とユーモアのベルギー美術

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 ベルギーの奇想。まず思い出すのはルネ・マグリットですよね。このアーティストの作品はすごく優秀なデザイナーの仕事のようなおもむきだ。お洒落なビジュアルアイデアを表現するリアルな描写力が目立つ。晴れと嵐。昼と夜。あちらとこちら。対立する概念をわざと並べ、既成の見方を揺さぶってくる。シュールレアリストの乾いたユーモア。これも20世紀の「奇想」と呼べるでしょう。

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 ベルギーは地理的にヨーロッパの中心にある。中世以降、強国同士が覇権を争う戦場になってきた歴史から、骸骨💀をモチーフにした作品が目立つ。19世紀後半のフェリシアン・ロップスの「舞踏会の死神」という作品。ジャポニスムの影響でしょうか、日本の着物のようなコスチュームで踊る女性は骸骨です。後ろにぼんやり見えるのが死神でしょう。不気味な絵だ。近代主義、科学万能時代に背を向ける反抗心も見てとれる。

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 骸骨をモチーフにしても、21世紀に入るとこうなるんだという作品。レオ・コーペルスの「ティンパニー」です。理科室の骨格標本(本物の骨じゃないでしょう)を天井から吊るし、ティンパニーにパンパンと打ち付けて音を出す。ここでは💀はもう恐れの対象ではありません。骨や死も医学的にも科学的にも解明され、ただ事実として淡々と受け止められている。
 ベルギーの奇想の系譜、これからどんな方向に向かうのでしょう。

ベルギー奇想の系譜展
2017年5月20日(土)~7月9日(日)
兵庫県立美術館

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