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2017年5月18日 (木)

岡山県の奈義町現代美術館

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 荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の3組のアーティストが建築家・磯崎新と共同で創り上げた空間作品を観に、岡山県まで行ってきました。1995年に開館した奈義町現代美術館 Nagi MOCA。作品に合わせた建築、あるいは建物空間全体が作品になっている。だから現地に行かなければ見ることはできない。

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 この、わざわざそこへ行かないと観られないアート、というのは感動の深さが違う。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はミラノ、マティスの「ロザリオ礼拝堂」はヴァンス、ミケランジェロの最後の晩餐はヴァチカンへ行くしかない。奈義町よりずっと最近だが、西沢立衛と内藤礼による豊島美術館もこの考え方で創られた美の極致だ。古代ギリシャ・ローマやビザンチンのモザイク美術、中世からルネサンスの教会芸術を別にすれば、Nagi MOCAは世界でも新しい発想の美術館ではないでしょうか。

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 玄関から入って、まず宮脇愛子の展示室「大地」に作品《うつろひ》、次に岡崎和郎の展示室「月」に《HISASHIー補遺するもの》、そして荒川修作+マドリン・ギンズの展示室「太陽」に《偏在の場・奈義の龍安寺・建築する身体》。季節や時間や天気や周辺の音によって千変万化する空気を、全身の感覚で体験する。オーバーな言い方だが、自分自身が作品と一体化し作品世界の一部になったかのよう。

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 視覚、聴覚だけではなく触覚や平衡感覚まで総動員して味わう空間的作品と作品的空間。なんとも不思議でつかみどころがない、しかし世界に2つとない素晴らしいアートです。わざわざ観に行く価値のある、日本で数少ないミュージアムのひとつでしょう。

奈義町現代美術館
岡山県勝田郡奈義町豊沢441
9:30~17:00 月曜休館
 

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