夢と現実、ラ・ラ・ランドが描く真理
もうほとんどの方が見られたでしょうが、「ラ・ラ・ランド」の素晴らしさは何だと思われますか? 歌、ダンス、演技。ストーリー、映像、演出。技術的なことを言えば、すべてスゴイ! オシャレだ! でもこの映画が歴史に残る名作になる(勝手に決めてます!)いちばんの理由は、『夢追い人は馬鹿だけれど素晴らしい』というテーマが持つ普遍性じゃないでしょうか。パンフレットにデイミアン・チャゼル監督のインタビューが載っています。少しネタバレになるかもしれませんが、その一部を引用させてください。
皮肉にも、セバスチャンとミアが夢を実現させるためには、ふたりは別れなければならない。僕がとても感動したのは、人は人生において、自分を変えてくれて、なりたい人物になれる道筋を作ってくれる人と出会えるけれど、最終的にはその道をひとりで歩まなければならないということだ。人は、残りの人生を決定づける人と結びつくことはできるが、その結びつきは残りの人生までは続かない。そのことは、ものすごく美しくて、切なくて、驚くべきことだと僕は気づいたんだ。ーーーチャゼル監督が言う人生の真理。夢を実現する、成功するのは素晴らしい。でも、そこにはほろ苦さも伴うんだよ、と。
大きな夢を持つ若い二人が出会い、お互いの夢を応援し、そして夢の実現のために別れる。こう書くとシニカルな人生観を表現した映画のように思えるが、決してそうではない。3月12日の記事『善きアメリカ、LA LA LAND』で書いたように、観終わった後とても爽やかで幸せな気分に包まれました。夢と現実、人生と芸術。実際にはそれらは一本道のような単純なものではないことをみんなわかっている。夢だけでは生きていけないことを。だからこそ、♪Here's to the one who dreams Foolish as they may seem♪(夢追い人に乾杯を たとえ愚かに見えても)と、ミアがオーディションで絶唱する姿に感動の涙を流すのでしょう。
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