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2017年5月

2017年5月30日 (火)

ベルギー、幻想絵画の伝統

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 ヒエロニムス・ボス、ピーテル・ブリューゲル、ルネ・マグリット、ヤン・ファーブル・・・チラシにある名前を並べると、たしかにベルギーには不気味で夢があって不思議でシュールな作品を創造するアーティストが輩出している。フランドルの時代からアートの先進地のひとつだったベルギー。奇妙なイメージも受け入れる自由な風土だったのでしょうか。

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 それと商業が発達して、教会や王侯よりも富裕な商人が力を持った。だから伝統的な(中世的な)価値観から解放され、表現の自由度が増し人々もより面白い作品を期待したのでしょう。またヨーロッパの中心に位置し、たびたび戦場になった歴史とも深い関係があると思う。死を身近に感じ、ドクロや悪魔や怪物も現実の世界と同じレベルで存在していたのだ。

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 ポール・デルヴォー、ルネ・マグリットを経て現代のヤン・ファーブルやトマス・ルルイまで、なにか奇妙なのだ。ボスやブリューゲルの作品を動画にして見せてくれたが、これらを見ていて思ったのが、「ベルギーの奇想」って日本のアニメやゲームにすごくセンスが似ている。その昔に映像の技術があったなら、彼らはきっとアニメ作品や動く立体作品を創っただろう。おもしろい切り口の展覧会でした。

ベルギー奇想の系譜展
2017年5月20日(土)~7月9日(日)
兵庫県立美術館

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2017年5月27日 (土)

ライアン・ガンダーってなんだー

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 ライアン・ガンダー展が国立国際美術館で開かれている。サブタイトルは「この翼は飛ぶためのものではない」。1976年イギリス生まれ、新しいコンセプチュアルアートの旗手と目されるアーティストだそうだ。ライアン・ガンダー、初めて知りました。
 会場には若い人がとても多い。外国人も多い。よくある美術館の展覧会はシニアの観客が多くを占めるのだけど、これは違う。ポスターやチラシに使われた「あの最高傑作の女性版」という作品。白い壁面の前に立つと、この目玉が気付いて動く。壁に耳あり、障子に目あり。ユーモアたっぷりだ。

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 例えば「ポートレート」のシリーズ。肖像画そのものはなく、肖像画を描いたパレットがいっぱい並べられた作品だ。それぞれのパレットはそこで使われた色が残っている。その色の違いや組み合わせから、どんな人物を描いたか想像を巡らせる、というアイデアだ。だから決まったイメージはなく、鑑賞者一人一人が自分だけのイメージを作者と共同で創り上げる、という感じ。期せずして犯罪の共犯者に仕立て上げられたような、スリルと喜び。

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 作品だけでなく、作品にまつわる思考や美術に対する概念、見ることについての洞察、日常性への知的な関心など、作品創作の背後にある美と知の世界に鑑賞者の意識を誘導する。普段の生活で遭遇する身近な物事を素材として、オブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像、印刷物など、いままで誰もやらなかった多彩な方法論で制作された作品の数々。私たち観る側も想像力を全開にして楽しみましょう。

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 「ガンダーって、なんだー?」 現代美術は『難解』だ、という人も当然たくさんいると思います。それは決まった見方がないから、ではないでしょうか。でも、現代美術の面白さは、まさに「決まった見方がない、すなわち自分勝手に自由に見ればいい」というところだと思う。そして美術の歴史や過去の作品への接し方や経験によってどんどん面白さが深くなる。世界の見え方まで変わるような、充実した時間を過ごせたら幸せです。

ライアン・ガンダー
この翼は飛ぶためのものではない
2017年4月29日(土)~7月2日(日)
国立国際美術館

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2017年5月24日 (水)

奈川高原の春の食卓

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 奈川でのある晩の食卓。冬は雪に閉ざされていますが、春が訪れるといろんな山菜が芽吹き、私たち人間はその生命のほとばしりを頂戴します。そんなわけで、まず近所の友人からいただいたアスパラガスを、バターとオリーブオイルでササッとでソテーしてパルミジャーノを振りかけたもの。すごく柔らかくてみずみずしい春の香りがします。

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 そして山菜のアヒージョ。この皿もすべて貰いものを材料に。別の友人からウド、コシアブラ、コゴミ、シイタケをいただいたので作ってみました。ニンニクとトウガラシを効かせてパンチのある美味しさに仕上がりました。これならあく抜きなど山菜特有の下準備がいらない。指が真っ黒になることもないわけ。このオイルをバゲットにつけて食べると絶品です! ワインがすすみます!

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 発見したばかりの第二の自生地から摘んできたクレソンは、グレープフルーツと合わせてサラダに。とまぁほとんどお金をかけずに、なかなか内容のある山里の春の食卓が出来上がりました。豊かな自然からの贈り物を分けていただいた友人たちに感謝! この季節だけのほろ苦さやほの甘さを、今年も味わえた幸せをかみしめました。

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2017年5月21日 (日)

第二のクレソン自生地

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 信州奈川で二番目のクレソン自生地、発見! しかも狭い山道を分け入ってやっとたどり着く、最初に見つけた場所より、もっとカンタンに車でアクセスできる。すぐそばまで何度も来ていたところのごく近くなんです。なーんだ、こんなところに群生地があったんだ!と拍子抜けするほど馴染みのあるところ。じつはこの場所、地元の知人に教えてもらったのです。


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 奈川の人たちはあまりクレソンを食べないそう。自生しているクレソンはスーパーで買うものより香りも高いのに。だけど、みんな関心がない。我が家があまりにも「クレソン!クレソン!」と騒ぐので、「もっといい場所があるから案内してあげる」と連れて行ってくれた、というわけ。よくそばを通っていたのに、まさかそんな場所にあるとは思っていないので、まったく目に入っていなかった。

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 そこは奈川温泉の源泉があるところ。この温泉水が渓流に流れ込むところにたくさん自生している。桂の木の横にある説明の看板に、「鎌倉時代より湧き恵み 秘境奈川の温泉水」とある。この湯用いし炊く粥は、旨み溢れし絶品の極みなり。ナトリウム泉で効能は、慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病と書いてある。まぁ、いかがでしょうか。これで病気が治るなら医者いらず。横には日本秘湯を守る会の旅館もあります。

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 こんな効能がある水を吸って育ったクレソン。おいしくないはずはありません。さっそくサラダでたっぷりいただきました。渓流の向かいには満開のヤマザクラ、背後の崖地には黄金色のヤマブキ。関西より一ヶ月半ほど季節が遅い奈川高原。(夜は冷え込むので真冬の服を引っ張り出して着ています。もう5月の下旬だというのに) タラの芽やコシアブラ、コゴミやウド、いまやっと遅い春の訪れを楽しんでいます。

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2017年5月18日 (木)

岡山県の奈義町現代美術館

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 荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の3組のアーティストが建築家・磯崎新と共同で創り上げた空間作品を観に、岡山県まで行ってきました。1995年に開館した奈義町現代美術館 Nagi MOCA。作品に合わせた建築、あるいは建物空間全体が作品になっている。だから現地に行かなければ見ることはできない。

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 この、わざわざそこへ行かないと観られないアート、というのは感動の深さが違う。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はミラノ、マティスの「ロザリオ礼拝堂」はヴァンス、ミケランジェロの最後の晩餐はヴァチカンへ行くしかない。奈義町よりずっと最近だが、西沢立衛と内藤礼による豊島美術館もこの考え方で創られた美の極致だ。古代ギリシャ・ローマやビザンチンのモザイク美術、中世からルネサンスの教会芸術を別にすれば、Nagi MOCAは世界でも新しい発想の美術館ではないでしょうか。

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 玄関から入って、まず宮脇愛子の展示室「大地」に作品《うつろひ》、次に岡崎和郎の展示室「月」に《HISASHIー補遺するもの》、そして荒川修作+マドリン・ギンズの展示室「太陽」に《偏在の場・奈義の龍安寺・建築する身体》。季節や時間や天気や周辺の音によって千変万化する空気を、全身の感覚で体験する。オーバーな言い方だが、自分自身が作品と一体化し作品世界の一部になったかのよう。

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 視覚、聴覚だけではなく触覚や平衡感覚まで総動員して味わう空間的作品と作品的空間。なんとも不思議でつかみどころがない、しかし世界に2つとない素晴らしいアートです。わざわざ観に行く価値のある、日本で数少ないミュージアムのひとつでしょう。

奈義町現代美術館
岡山県勝田郡奈義町豊沢441
9:30~17:00 月曜休館
 

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2017年5月15日 (月)

五月晴れ!灘のだんじり祭り

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 爽やかな青空のもと、14日(日)に灘のだんじり祭りが開催されました。灘区内の五毛、八幡、篠原、都賀、上野の5地区のだんじりがそろい、水道筋商店街から山手幹線や宮前商店街を通って六甲道南公園まで練り歩く約6時間のイベントです。

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 全国的に有名な岸和田のような荒っぽい祭りではなく、ゆったりと穏やかにだんじりは曳かれる。とはいえ、鉦や太鼓の鳴り物のお囃子に、「わっしょい!わっしょい!」の掛け声と笛の音。遠くまで聞こえる気持ちを高ぶらせる独特の響きとリズムです。そしてだんじりの上で繰り広げられる白熱のパフォーマンス。各地区それぞれに工夫を凝らした装飾や演出は見ごたえたっぷり。

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 お隣の東灘区のだんじり祭りはゴールデンウイーク中に行われたようです。神戸市東部の灘区、東灘区の神社は「おみこし」じゃなく「だんじり」。そして夏祭りや秋祭りではなく、春に例大祭がある。(なぜかは知りませんが・・・) お天気に恵まれて、先ずはめでたし!めでたし!のだんじり祭りでした。

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2017年5月12日 (金)

夢と現実、ラ・ラ・ランドが描く真理

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 もうほとんどの方が見られたでしょうが、「ラ・ラ・ランド」の素晴らしさは何だと思われますか? 歌、ダンス、演技。ストーリー、映像、演出。技術的なことを言えば、すべてスゴイ! オシャレだ! でもこの映画が歴史に残る名作になる(勝手に決めてます!)いちばんの理由は、『夢追い人は馬鹿だけれど素晴らしい』というテーマが持つ普遍性じゃないでしょうか。パンフレットにデイミアン・チャゼル監督のインタビューが載っています。少しネタバレになるかもしれませんが、その一部を引用させてください。

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 皮肉にも、セバスチャンとミアが夢を実現させるためには、ふたりは別れなければならない。僕がとても感動したのは、人は人生において、自分を変えてくれて、なりたい人物になれる道筋を作ってくれる人と出会えるけれど、最終的にはその道をひとりで歩まなければならないということだ。人は、残りの人生を決定づける人と結びつくことはできるが、その結びつきは残りの人生までは続かない。そのことは、ものすごく美しくて、切なくて、驚くべきことだと僕は気づいたんだ。ーーーチャゼル監督が言う人生の真理。夢を実現する、成功するのは素晴らしい。でも、そこにはほろ苦さも伴うんだよ、と。

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 大きな夢を持つ若い二人が出会い、お互いの夢を応援し、そして夢の実現のために別れる。こう書くとシニカルな人生観を表現した映画のように思えるが、決してそうではない。3月12日の記事『善きアメリカ、LA LA LAND』で書いたように、観終わった後とても爽やかで幸せな気分に包まれました。夢と現実、人生と芸術。実際にはそれらは一本道のような単純なものではないことをみんなわかっている。夢だけでは生きていけないことを。だからこそ、♪Here's to the one who dreams Foolish as they may seem♪(夢追い人に乾杯を たとえ愚かに見えても)と、ミアがオーディションで絶唱する姿に感動の涙を流すのでしょう。

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2017年5月 9日 (火)

ムーミン化するマイルーム

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   けいママが無類のムーミン好き、ムーミンオタクだと言うことは、もうこのブログでさんざんお話しましたよね?
 今年の冬、念願のムーミンランプをマイルームに導入。そこにムーミンカップを持ち込んで、窓辺に立って外を眺めるのが至福の時。遠くに見える山並みや刻一刻と表情を変えて行く空、風に揺れる木立などを眺めていると、ひょっこりとムーミンがこの部屋に訪ねて来てくれそうな・・・ おい、おい、いったい幾つだ?けいママは!と、思われそうですが、ムーミン一家とのお付き合いは長いのですよ。
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   もっともけいママが子供の時から・・・ではなく、ママになってからのことですが。二人の息子たちと一緒にテレビアニメをいつもいつも。一番熱心に観ていたのは、もちろんけいママです。
 夢見る年頃とは程遠くなってしまった今も、ムーミン谷が本当にあるような気がしてなりません。あると思えばある!それでいいではないかと開き直る。
 そんなだから、結局ムーミン・グッズはマイルームに増え続けるのです。ムーミンがムーミンを呼んで来る。連れて来る。
 今日ご紹介するグッズは、すべて友人、知人からのプレゼント。もうムーミン好きは知れ渡っているってことですね。
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   「あっ、これをプレゼントしたら、けいママはきっと喜ぶわ!」
 世に溢れるムーミン・グッズの中から、みんながセレクトして私に届けてくれるものはどれも愛らしくて、ユーモアがあって、何より心がこもっています。
 大ぶりのハンカチーフは額に入れてみました。木の上に読書しながらご満悦のムーミンパパを見上げるママとムーミン。ベッドに入って、この一家におやすみを言うと、いい夢が見られそうな気がします。
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   部屋のスイッチを付ける時も、鏡を覗いてピアスを付ける時も、ムーミンたちがひょっこり顔を覗かせて、微笑んでくれます。
 限りなく居心地のいいマイルーム。 さりげなく、深く、ムーミン一家との時間を今日も。どうでしょう? あなたもちょっと、そんな気がしてきませんか? けいママの部屋に実はムーミンがやって来る?!

 

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2017年5月 6日 (土)

ジョルジュ・ルオーの凄さを知る

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 あべのハルカス美術館で開催中の「マティスとルオー」展。予想以上に楽しめました。とくにジョルジュ・ルオーの展示が良かった。マティスについてはニースのマティス美術館やヴァンスのロザリオ礼拝堂まで足を運んだし、ほかにも国内外の美術館や展覧会でよく観ている。しかしルオーについては油絵の具を厚く塗り重ねたスタイルがなんとなく重苦しく感じられ、無意識のうちに避けていたのかもしれない。

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 今回は若き日の水彩やパステルの作品から、独自のスタイルを築き上げ宗教画家と呼ばれる晩年まで、約70点の作品を一気に観られてとても楽しかった。キリストやマグダラのマリアを描く現代のイコンのような作品からは、深い精神性と崇高な情熱がじかに伝わってくる。大きな感動を与えられました。「重苦しさ」なんてまったく感じず、ピュアな魂に対面できた喜びで胸がいっぱいになりました。

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 そして驚いたことに、ルオーの展示作品の半分以上はなんとパナソニック汐留ミュージアムの所蔵。こんなに充実したコレクションが日本国内にあったとは、まったく知りませんでした。この展覧会の後も、東京に行けば気軽にルオー作品に出会えるなんて素晴らしいこと。これも今回の発見の一つです。『マティスとルオー 友情の手紙』(みすず書房)刊行記念の展覧会でした。

友情50年の物語
マティスとルオー
2017年4月4日(火)~5月28日(日)
あべのハルカス美術館

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2017年5月 3日 (水)

マティスとルオーは終生の友

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 それぞれ20世紀を代表するフランスの画家、アンリ・マティスとジョルジュ・ルオー。若き日、国立美術学校のギュスターブ・モロー教室で出会って以来、創作の悩みを打ち明けたり、家庭の問題を相談したり、病気の治療法をアドバイスしたりしながら、死ぬまで友情を育み続けたとは知りませんでした。

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 あべのハルカス美術館で開催中の展覧会は、1906年からマティスが亡くなる前年の1953年まで交わされた二人の手紙がいくつも展示され、とても興味深い。二度の世界大戦をはさみ半世紀にわたる交流。創作の方向性は異なっても、お互いの芸術への深い敬意と信頼が伝わってくる。
 あまり見る機会がなかった初期の作品から、マティス『JAZZ』シリーズやルオーのキリスト教をテーマにした晩年の作品まで、約140点を見ることができる。予想以上に充実した展示でした。

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 そしてマティス最晩年の作品で、個人的には最高傑作だと思っているヴァンスにあるロザリオ礼拝堂が、映像で紹介されていた。建物から神父さんの礼拝用のコスチュームまで、すべてがマティスの作品。その礼拝堂のディテールを見ていると、10年ほど前に訪れたときの身体が震えるほどの感動がよみがえった。近いうちにもう一度行かなくては、と強く決意しました。「いつか」なんて言ってると、いつどうなるかわからない年齢になりましたからね。あ、そうそう、マティスでよく出てくるモティーフはワカメのような海藻かな、と思っていましたが、サボテンの一種なんですね。この映像で分かりました。

友情50年の物語
マティスとルオー
2017年4月4日(火)~5月28日(日)
あべのハルカス美術館

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