妖しいクラーナハ
中之島の国立国際美術館で開催中のルカス・クラーナハ展。500年後の誘惑、というサブタイトルが示すように、不思議な魅力をたたえた女性像をたくさん残している。「ホロフェルネスの首を持つユディト」をご覧いただきたい。クールな美女が剣を捧げ髭面の男の生首を持っている。果たして悪女か?聖女か? 切断された男の首の断面も異様にリアルで、グロテスクとエロティシズムのはざまで危うい美学が浮かび上がってくる。
ポスターのキャッチフレーズは、「冷たい視線が惑わせる」。ヴィーナス、サロメ、ルクレティア・・・まさにそんな言葉がぴったりな美女たち。蠱惑的だけれどどこか醒めた表情の女性像が、500年後の私たちを惹きつける。アルブレヒト・デューラーと並ぶドイツ・ルネサンスの巨匠、クラーナハ。透明のベールのひだや髪の毛一本一本、コスチュームの微細な刺繍や織模様を正確に描くなど、すごい技術の持ち主です。
そして彼はまた大型の工房を開いて絵画や版画の大量生産を行ったという。ビジネス感覚にもかなり優れていたようだ。それに息子も同じ名前で作品制作に参加していたこともあり、展示作品数がとても多い。
宗教改革を起こしたマルティン・ルターとも親交が深く、彼の肖像画をたくさん残している。そんな北方の偉大なアーティストは、イタリアではミケランジェロと時代が重なる。古いルネサンス期の絵画だけれど、圧倒的に新しい。
クラーナハ ~500年後の誘惑~
国立国際美術館
2017年1月28日(土)~4月16日(日)
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