ポンペイの赤は鮮やかです
西暦79年、ヴェスヴィオ火山の噴火により、1日で消滅したポンペイとその周辺のエルコラーノやトッレ・デル・グレコなどの町々。18世紀半ばに土の下から発見された古代ローマ遺跡の建物からは、色鮮やかな壁画がたくさん見つかった。火山灰や火砕流であっという間に埋もれたこと、火山灰が乾燥材の役割を果たしたことなどが原因で、2000年近く前のフレスコが色あせず鮮やかに保存されていた。これはまさに奇跡です。
日伊国交150周年記念の事業として、兵庫県立美術館で開催中の世界遺産「ポンペイの壁画」展。有名な『ポンペイの赤』だけではなく、『エジプト青』も印象的でした。これはカメオ作家の町、トッレ・デル・グレコの海浜別荘跡で多用されていた。
驚いたのは表現技術です。人物や動物の描写力、建築物を描く透視図法。西洋絵画ではルネサンスの先駆けのジョットが現れるまで、稚拙な表現しかできないと思っていましたが・・・。ミロのヴィーナスやサモトラケのニケをはじめ古代彫刻は素晴らしいのに、なぜ絵画は進歩しなかったのだろう?と不思議に思っていた。でも、大間違いだった。暗黒の中世に、古代ギリシャ・ローマ時代の進んだ絵画表現技術が失われてしまったのだ。キリスト教の悪しき影響なのでしょうか。
ポンペイ遺跡には2回行ったことがあるが、50年前と20年前。(古う~) こんな素晴らしい作品は観た記憶がなかった。クレジットを見ると今回の展示作品は、ほとんどナポリ国立考古学博物館のもの。そうか、出土した壁画は切り取って、保存状態をうまくコントロールできる博物館に収蔵しているのだ。考古学博物館という名前だけで古めかしいものばかりと決めつけて、行ったことがなかった。次にナポリへ行ったらピザ屋巡りだけじゃなく考古学博物館にも足を延ばしてみましょう。
ポンペイの壁画展
2016年10月15日(土)~12月25日(日)
兵庫県立美術館
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