万華鏡の中に迷い込む?
瀬戸内国際芸術祭に行ってきました。今年は猛暑だったので夏開催は避け、歩きまわっても安心な秋開催に。ムリできない年齢ですからね。
まずご紹介するのは、男木島にある古民家の家中で展開する川島猛とドリームフレンズによる「KALEIDOSCOPE Black and White」。白と黒、線と面だけで作った床や壁や天井の部屋の中を観て回る、という作品です。シートにプリントしたものを貼ったり、トレーシングシートのような乳白色の素材にプリントしたものを上から吊るしたり。あるいはプロジェクターで投影したり。そして壁の一部はピカピカの鏡面ステンレスが斜めに湾曲していたり。
歩いている自分の体にも白黒のパターンが投影されて、作品を構成する一部になる。壁のある部分は合わせ鏡になって、どこまでも多重の空間が広がる。どこまでが現実か、どこからが虚構か、その境界がどんどんあいまいになって作品世界と一体になる。自分も作品に参加しているというより、作品の中に溶け込んでいくような不思議な感覚。万華鏡の中に迷い込んでしまった不思議の国のアリスというところでしょうか。ぐるぐる回って目が回る楽しさ、自分がどこにいるかわからなくなる浮遊感など、感覚のズレが面白い。
川島猛さんの説明では、この白黒のパターンは「人」を描いたそうだ。もちろん人そのものではなく、人のカオス(混沌)。顔や腕や足、笑っているところ、踊っているところ・・・いろんな有機的なものを抽象化して、それをモチーフにして表現しているという。そう言われると、この部屋の中で感じる温かさ、優しく包まれる感覚は、胎内の遠い記憶が意識の底から湧いてくるのかもしれない。白と黒の線だけの表現、と言葉で聞くともっとシャープな作品のような印象だけれど、思わず笑みが浮かぶ楽しい空間になっていました。
瀬戸内国際芸術祭2016
秋会期:10月8日(土)~11月6日(日)
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