ボローニャ絵本展の楽しみ方
ボローニャ国際絵本原画展では、さまざまな技法が見られておもしろい。水彩、アクリル、鉛筆、色鉛筆、パステル、水墨、ボールペンなどはあたりまえ。木版画、エッチング、アクアティント、シルクスクリーン、モノタイプなどの版画。切り絵、ちぎり絵、コラージュ、デジタルアート、そして刺繍で描くなんて作品まである。しかも単独の技法だけではなく、いくつかの合わせ技で表現するなど、どんどん進化しているので毎年見るのが楽しみだ。
アーティストは自分の世界観やテーマを表現する最適の技術を追求している。ただ技術が新しければおもしろいわけではなく、テーマにぴったりな表現を探すのだ。昔ながらの墨と筆がとても新鮮に見えたりもする。それぞれの作家の文化的背景から生まれる感性。歴史に培われたテーマのとらえ方。まさに世界の広さと多様性を実感できる場だ。
また原画展なので筆づかいや材質まで細かいディテールがわかるのがいい。チラシに使われていた刺繍の作品など、感動ものだ。最近増えてきたデジタル技術を使った作品の、素材となるスケッチ類を展示しているのも興味深い。
また今年は「ボローニャ展50年の歩み」という特別展示も開催されている。1967年のスタート以来、多くのイラストレーターを発見し育ててきた歴史を年譜と資料、原画で振り返るこの企画。日本や世界の、いかに多くの作家たちがここから巣立っていったか、ボローニャ絵本原画コンクールの功績を改めて知るのにもちょうどいい機会。絵本は子供のもの、という固定観念を忘れて本気で楽しめるこの展覧会。時間があれば、ぜひ足をお運びください。
2016イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
西宮市大谷記念美術館
2016年8月20日(土)~9月25日(日)
10:00~17:00 水曜休館
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