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2016年9月15日 (木)

藤田嗣治を知る、楽しむ

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 藤田の絵を語るとき、まず最初に出てくるのが「乳白色の肌」と呼ばれる彼だけの独自の色。この高貴でなまめかしい色合いと、面相筆で描いた優美な線で一世を風靡した。パリへ渡ったころはキュビズム風の作品にもトライしているが、自分のアイデンティティを追求しそこから生みだした藤田スタイルを確立していく。
 古代ギリシャ・ローマを思わせる端正な美しさ、線と陰影による立体感。奇抜さを抑えた内省的な表現ながら、人物の個性と肉体のボリュームを見事に表現している。西洋の伝統と日本の美意識、そして日本画の技法もうまく取り入れたスタイルは、自分自身を深く掘り下げることによって完成したのでしょう。

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 肖像画、裸婦像などの人物を描いた作品が代表的なものだが、風景画や静物画にも見るべきものは多い。ここでご紹介する「バラ」などは、後のロバート・メイプルソープの先駆けじゃないですか。耽美的な感性がよく表れている。
 そんな美の神に魂を捧げたような藤田が戦争画にのめりこんだのはなぜだろう。ひとつは長い間日本を離れていたゆえの愛国心。他の作家以上に熱意を注がないことには愛国心を認めてもらえなかったからだろうか。古典的な絵のテーマとして興味を持ち、歴史画という今までかかわらなかったジャンルにトライしたのだろうか。いずれにしても熱狂の渦に吞み込まれていった彼は、戦後に強い批判を浴び日本を捨てることになる。
 生誕130年記念「東と西を結ぶ絵画」というサブタイトルの展覧会。今までの断片的な藤田嗣治のイメージから全体像の理解へ、有意義な展覧会でした。

生誕130年記念
藤田嗣治展
2016年7月16日(土)~9月22日(木・祝)
兵庫県立美術館

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