現代アボリジニのアート
千里の国立民族学博物館へ、「ワンロード 現代アボリジニ・アートの世界」展を観に行きました。アートと文化人類学をつなぐ興味深い展覧会です。
オーストラリア西部の砂漠地帯を縦断する一本道、キャニング牛追いルート。100年以上前にヨーロッパから来た入植者が北の牧草地から南の食肉市場へ牛を移動させるために切り拓いた道です。先住民のアボリジニはこの道で初めて『白人』と遭遇し、その生活を激変させることになった。2007年にかつてそこに住んでいたアボリジニたちの子孫であるアーティスト60名が5週間にわたってこの道を旅し、自らがたどりなおす過程で描いた絵画を中心に、映像、写真、オブジェによって記録する国家プロジェクトが実現。その展覧会はオーストラリア国内で大きな成功をおさめたという。それが日本でも開催されることになった。
文字を持たないアボリジニは、自分たちの歴史や伝承を絵画で表現するのだ、という説明は以前に読んだことがあった。でも鑑賞するときは抽象的なモダンアート作品を観るのと同じ感覚で、「色使いが新鮮!」「根源的なパワーを感じる」などと思いながら観ていたものだ。ところが今回の展覧会では作品の横に、「これが31番目の井戸」「この池の横に川が流れている」といった詳細なモノクロ解説図も示されていて、とてもおもしろい。言い伝えを絵で表現するとは、こういうことだったのだ!と合点がいく。意味を伝える技術という絵画の大切な一側面を、改めて気付かされました。
One Road
現代アボリジニ・アートの世界
国立民族学博物館 企画展示場
2016年6月9日(木)~7月19日(火)
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