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2016年7月

2016年7月31日 (日)

高ボッチ高原?なにそれ

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 初めて聞いた時から、なにか気になる名前の山だった高ボッチ。独りぼっち、の「ぼっち」と同じだろうか? それともまったく別の意味があるのだろうか? こんな疑問に答えてくれる(かな?)パンフレットに出会いました。塩尻市観光協会が発行している「晴れたら高ボッチへ行こう!」というタイトル。そこに4つの説を紹介している。あ、「独りぼっち」は宗派や教団に属さない「独り法師」がなまったものだそうです。

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1) 「だいだらボッチ」あるいは「でいらボッチ」などと呼ばれる巨人が、腰を下ろしてひと休みしたところという説。
2) 「ボッチ」とはアイヌ語で巨人の意味があって、高い山あるいは大きな山という説。
3) 「ボッチ」とは高いところにある「くぼ地」という説。
4) 山の形がビンに栓をしたように一段高くなっているので、栓の意味の「ボッチョ」になぞらえ「高ボッチ」とした。
あなたはどれだと思いますか?と書いてありますが、う~ん、悩みますね。どれも決め手に欠ける。まぁ語源のわからない不思議な名前はいろいろありますから、これもそのひとつでしょう。

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 高ボッチは標高1,665mに広がる大草原。放牧された牛たちがのんびり草をはむ、パノラマビューの展望台です。眼下には諏訪湖、その先には南アルプス、ふりかえれば北アルプス。中央アルプスや御嶽山も一望できる。運が良ければ富士山も。ただしお天気が良ければの話。今日のところは近くの諏訪湖や松本市街の眺望が見えただけ。あとはぼんやりか雲の中。でもじゅうぶん満足できました。

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 ここはまた日当たりがいいので花がたくさん咲く。マルバダケブキやアザミ、ホタルブクロやワレモコウなどが高い木に邪魔されずにのびのびと咲いている。一面の緑の中に黄色や紫が鮮やかに映えています。
 8月7日(日)には高ボッチ高原 観光草競馬大会が開催されるという。毎年恒例の有名なイベントらしい。興味のある方は塩尻までお出かけください。でもアプローチの高ボッチスカイラインは立派な名前にもかかわらず道幅が狭いので通行量が増えると、交通整理に苦労するだろうな、といらぬ心配をしてしまいました。

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2016年7月28日 (木)

中山道、鳥居峠を歩く

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 藪原宿から奈良井宿へ、鳥居峠を越えて約2時間半のハイキング。皇女和宮も通った京都から江戸へ下るルートですね。街道を歩くのがブームになっているせいか、道標や石畳などよく整備された道だ。登る途中にある御嶽神社(御嶽遙拝所)は、逆方向の江戸から来た旅人が初めて御嶽山を見て拝むことができる場所に立てられた神社で、ここにある鳥居から「鳥居峠」の名がついたという。境内には御嶽信仰の人々が建てた霊神碑が神像がぎっしりと並んでいる。

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 ここを過ぎたあたりにはトチの巨木が群生する場所がある。樹齢300年以上? これだけ立派なトチがずらっと生えているのは見たことがない。峠の頂上には特筆するものはないが、ここが分水嶺だという説明を読むと感慨深い。南の藪原へ流れる水は木曽川となり太平洋にそそぎ、奈良井へ流れる水はやがて信濃川となって日本海に達する。分岐点でのわずか1cmの差でも、その後の運命を大きく変えるのだ。たとえば一緒に空から降ってきた雨粒が太平洋と日本海に生き別れ。まるで人生のようじゃないですか。

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 奈良井までの下り道は何度も沢を渡る。ちゃんと木橋が架けてあるから安全に歩ける。とはいえこの辺りはクマが多い地域だ。クマよけの鐘がところどころに設置してあり、鐘を鳴らしながら進む。今年は全国的に山の木の実が少ないそうで、里山にクマがよく出没する。「熊出没注意」という標識もたくさん掲示してある。でもどう『注意』したらいいんだ! それを書いてくれなきゃわからないじゃないか。きっと出会わないよう祈りながら歩くしかないのでしょう。

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 奈良井宿は江戸時代には「奈良井千軒」と言われた日本で一番長い宿場町だ。街全体に古い建築様式がよく保たれていて、「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている。最近はフランス人やオーストラリア人の観光客がたくさん訪れるようになったそうだ。なぜか中国人はあまり来ないという。上高地など信州の他の観光地は中国人であふれているのに不思議ですね。
 

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2016年7月25日 (月)

鉢盛山に登りました

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 7月24日(日)、第3回「信州 山の日」に、奈川からいつも見ていた鉢盛山2,446mに登ってきました。皆さんたぶんご存じない山でしょうね。まわりに穂高や乗鞍、木曽駒や御岳があるというのに、なんでまた?という感じかも。登り口は奈川からは裏側にあたる、木祖村の奥木曽湖から林道を数km入ったところ。ほとんど人が来ない狭い厳しいルートをクマの傷あとを見たり、サルに驚いたりしながら木曽川の源流域へ。岩場こそないものの、木の根がいっぱい張り出した急坂もある、侮れない山です。

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 途中1,800mを超えたあたりにある高天原と地元の人が呼んでいるところまで来ると、立ち枯れの樹が目立ち高山のおもむきだ。頂上には木祖村と朝日村、奈川村と波田町、鉢盛山を取り囲む4つの村の祠がある。この山には水の神様がいて日照りが続くと雨乞いに来たところだそうだ。今では木祖村と朝日村からしかアプローチできない。今回はNPO法人「木曽川・水の始発駅」の募集に応えて来たからよかったものの、単独で来たらちょっと難しかったかもしれない。

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 この山はまた花が多いのも特徴だそうだ。ゴゼンタチバナやマイヅルソウ、珍しいカニコウモリやギンリョウソウも見ました。お天気がもうひとつだったせいもあり、残念ながら頂上付近からの眺望は良くなかった。運が良ければ北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳連峰まで見渡せ、もっと運が良ければ富士山も見えるそうだ。奈川のうちや野麦峠スキー場がどんな風に見えるか楽しみにしていたのに。でも念願の鉢盛山頂に立てたことだし、雨が降らなかったのはなによりでした。これから改めて見上げても、今までとは違う感情が沸き起こることでしょう。

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2016年7月22日 (金)

歌舞伎役者と評判娘

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 江戸の美と装い、をサブタイトルにした「写楽と豊国」展が六甲アイランドで開かれています。着物の色柄や模様にスポットを当てた浮世絵展という切り口が、神戸ファッション美術館らしい。『和装でご来館の方は入館無料』というのもおもしろい。会場には浴衣姿の女性もチラホラ見えて、この企画に花を添えている。
 当時は写真がなく、人気スターやウワサの美人を浮世絵版画にしてブロマイドのように販売した。庶民に受けるものは今も昔も変わりない。歌川派を最大の派閥にした豊国の作品を中心にして、弟子の国芳や国貞、広重などを配し、摺りや染料の進歩もわかる展示構成になっていておもしろい。

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 そして謎の絵師・東洲斎写楽。彗星のように現れて、わずか10ヶ月の活動で忽然と姿を消した彼の正体については、江戸時代からさまざまな説が述べられている。当時の絵描きや文化人はほとんど候補に挙げられているようなありさまです。オランダ人だという説の本も読みました。しかも短い期間の前半は代表作の大首絵、後半は彼の特徴が薄れた全身像を描いていることも、謎に拍車をかける。前後半別人説もあるくらいです。今回の展覧会での発見は、大童山(文五郎)という少年力士像。この山形県生まれの怪童は数え7歳のとき、すでに身長120cm体重72kgもあり土俵入りで人気を集めていたという。写楽以外にもいろんな絵師が題材にしている。見世物にされてかわいそうな気もしますが・・・。

写楽と豊国
~江戸の美と装い~
2016年6月18日(土)~8月14日(日)
神戸ファッション美術館
 

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2016年7月19日 (火)

ダリは天才?偏執狂?

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 自らの手法を「偏執狂的批判的方法」と称していたというダリ。写実的な描き方でさまざまなイメージを多重に埋め込み、現実にはあり得ない不可思議な世界を構築しました。作品名も「ラファエロの聖母の最高速度」や「素早く動いている静物」、「3つのパイ中間子に囲まれた聖人」、「位相幾何学的なよじれによって女性像がチェロになる」などなど、絵だけではなく言葉でも私たちの理性を揺さぶり困惑させようとしているのがよくわかる。いや、決して困らせようとしているわけではないと思いますが。きっと知的なゲームを仕掛けているのだ。

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 ダリの好奇心の強さは計り知れない。最先端の物理学や数学までも興味の対象とし、自分の糧として表現に生かしている。しかも作品は絵画だけにとどまらず、彫刻、オブジェ、映画、舞台美術、宝飾デザイン、文筆と、何にでも手を染めた。スキャンダラスな話題を振りまき、パフォーマンスを繰り広げたダリ。まさに誇大妄想、自己顕示欲の権化でした。20世紀最大の奇才と呼ばれることはあっても、ピカソのように天才と呼ばれることはあまりない。でもそれこそが彼の人気の秘密ではないでしょうか。何かを成し遂げようとしてあらゆる努力をする。そしてその成果を過剰に誇示する。向かうところ敵なしのような、じつは弱さを隠す強がりのような、そんな存在そのものが人間らしい魅力と感じませんか?

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ダリ展
2016年7月1日(金)~9月4日(日)
京都市美術館

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2016年7月16日 (土)

このダリ展、中身が濃いです

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 京都市美術館で開催されているダリ展。予想以上に中身が充実していて、よかったです。フィゲラスのダリ劇場美術館を運営するガラ=サルバドール・ダリ財団とマドリードのソフィア王妃芸術センター、そして米国のセント・ピーターズバーグにあるサルバドール・ダリ美術館の共同プロジェクトだそうだ。おかげで20世紀を代表するアーティストの一人であるダリの作品約200点を観ることができる。

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 幻想や無意識の不条理をテーマにするシュールレアリスム。理性による認識や世の中の常識を揺るがすことによって、新しいおもしろさや美を発見するムーブメント、と言えるでしょうか? 日本語では超現実主義と呼ばれる。ダリはその代表的なアーティスト、という評価が定着していますが、そんな枠を超越していると思う。ピンとはねた口髭、ギョロリと見開いた眼。一目でダリとわかる存在そのものがアートです。この展覧会のロゴも、彼の髭をモチーフにしている。

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 今回の展覧会、「奇想全開」をサブタイトルにしているが、まさにけったいなモノやヘンな取り合わせのオンパレードだ。それぞれのイメージのディテールがお互いに影響を与え合って、まったく別の世界を産み出す。あるいは鑑賞者の深い記憶の底から、甘い、苦い、楽しい、哀しい、欲望や本能を引きずり出す。ダリの作品を観ることは、ダリという名のユニークなゲームに参加することではないでしょうか。

ダリ展
2016年7月1日(金)~9月4日(日)
京都市美術館

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2016年7月13日 (水)

ジンジャーシロップでジンジャーエール

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 記録的な猛暑とやら、老体に鞭打って何とか乗り越えなければなりませぬ。幸い、食欲は衰えずの日々、買い物に行くと、色鮮やかな夏野菜が・・・。中でも、この時期に出回る「新しょうが」の美味しそうな事! 見つけたら買わずにはいられません。
 で、毎度、甘酢漬けではつまらないので、今日はシロップにしてみました。しょうがに砂糖やスパイスを入れてコトコト。ほんのりとピンク色の、爽やかな色合いになったので、瓶に詰めてしばらく眺めていましたが、ふと気付いたのです。

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 これに炭酸を加えたら、つまりジンジャーエール? あったりまえじゃん! けいママ、なんでシロップを作ってみたん? ふ〜ん、なぜか「しょうがは体を温める」ってイメージが先行していて、冷たくして飲むって発想がなかったんですよね。
 と、うだるような午後の暑さの中、自家製シロップに氷と炭酸と、ちょっぴり贅沢にライムを加えてごくっと一口! はあ、まさしくジンジャーエール! そんじょ、そこらのジンジャーエールではありませぬ。スパイスに加えたシナモンやブラックペッパーの刺激的な味が、シュワ〜とした感触と共に広がって、なかなかのものです!と、自画自賛。今後どこかのカフェでジンジャーエールを飲むとしても、きっと心の中で思ってしまいます。「ジンジャーエールは自家製が一番!」

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<ジンジャーシロップの材料>
   しょうが 200g 
   砂糖    200g
   水     300g
   シナモン 1本
   ブラックペッパー 10粒
   レモン汁 大さじ2
<作り方>
   (1) しょうがはよく洗ってスライス。
           鍋にしょうがと砂糖を入れて1時間ほど置く。
   (2) 水とスパイス類を入れて中火で加熱。
           沸騰したら弱火で20分ほど煮る。
   (3) レモンをかけて混ぜ、一煮立ちして止める。
           余熱を取ってから瓶に詰め、冷蔵庫で保存。

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2016年7月10日 (日)

サラ・ムーンの現在

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 あれ? もう終わったと思っていた展覧会、まだやっていたんだ。何必館の前を歩いていたら、フランスの写真家サラ・ムーンの展覧会の告知が出ていた。ちょっと得した気分で中に入る。
 40年以上前だろうか、キャシャレルのポスターやテレビCMを見て日本でも多くのカメラマンが、サラ・ムーンの技法やトーンを真似した撮影をしたものだ。独特の柔らかい幻想的な色彩は、マリー・ローランサンを写真で表現したおもむき。カメラとフィルムでこんなことができるなんて夢にも思わななかった時代。売れっ子ファッションモデルから転身した彼女のオシャレなセンスは、いま思い返しても時代をはるかに超えていた。

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 その後は広告からもっと先へ、はるかアートの世界へ。詩的な作風は、揺らぎ、ブレ、輪郭の消失などの技法の進化で、哲学的な深みへと昇っていく。色彩も徐々になくなりモノトーンで表現されるようになる。そんな彼女の集大成のような写真集(日本語版)の出版記念展である今回、約80展の作品が展示されている。
 なかでも映像作品「黒ずきん」がとても面白かった。存在しないかのような儚い少女を巡る怖いお話です。自身の少女時代のようなどこか懐かしい情景の中を独り歩く少女。それを追うクルマに乗った男。恐怖や死のイメージをただよわせるダークなおとぎ話でしょうか。

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 この展覧会を開催している何必館5Fの中庭を撮影した作品もある。それはここで過去にも展覧会をやっているサラ・ムーンが、今回の展覧会の打ち合わせにもやってきた時に撮影したサービスカットなのかもしれません。いくつになってもみずみずしい彼女の感性を、あとしばらくお楽しみいただけます。 ※この展覧会は好評のため、およそ一か月間開催期間を延長したそうです。

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Sarah Moon 12345展
何必館・京都現代美術館
2016年4月21日(木)~7月26日(日)
 

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2016年7月 7日 (木)

ポール・スミスの世界を覗く

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 ポール・スミスが「私のすべてをお見せしましょう」と言っているような展覧会が、ヨーロッパを巡回したあと京都に来ています。会場はすごくにぎわっていて、しかもみんな楽しげだ。静かに鑑賞するよくある展覧会とは一線を画す、とてもおもしろい構成になっているのは、さすがポール・スミス。少年の心を持った気さくな仕事人の世界へ、どうぞ。

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 広い壁一面に展示された膨大な写真や切り抜き。彼には自分が気に入った写真やモノを集める癖が、小さいころからあったようだ。飛行機やロボット、風景やファッション・・・一見雑多に見えるさまざまなイメージを集めまくって、すべて今も置いているのがすごい。日本ではやりの断捨離なんてセコセコしたことは言わない。たぶん整理もしていないと思う。

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 ロンドンのオフィスが再現されているが、棚にもデスクにも椅子の上にもあらゆるモノがうずたかく積み上げられ、おもちゃ箱の中に入ったよう。自転車まである。それらが何かの拍子にインスピレーションの源になったり、組み合わさって新しいアイデアを生み出したり。クリエイターの頭の中は常識人には理解できない化学反応を起こしているに違いない。

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 ポール・スミスは有名なファッションデザイナーだが、その興味の対象はファッションだけにとどまらない。異業種のメーカーとコラボしたり映像作品を作ったり、そのユニークかつ豊かなイメージは私たちを魅了してやみません。このブランドが好きな人もそうでない人も、きっと楽しくハッピーになれる展覧会だと思いますよ。

ポール・スミス展
HELLO
MY NAME IS PAUL SMITH

京都国立近代美術館
2016年6月4日(土)~7月18日(月・祝)

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2016年7月 4日 (月)

現代アボリジニのアート

 千里の国立民族学博物館へ、「ワンロード 現代アボリジニ・アートの世界」展を観に行きました。アートと文化人類学をつなぐ興味深い展覧会です。

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 オーストラリア西部の砂漠地帯を縦断する一本道、キャニング牛追いルート。100年以上前にヨーロッパから来た入植者が北の牧草地から南の食肉市場へ牛を移動させるために切り拓いた道です。先住民のアボリジニはこの道で初めて『白人』と遭遇し、その生活を激変させることになった。2007年にかつてそこに住んでいたアボリジニたちの子孫であるアーティスト60名が5週間にわたってこの道を旅し、自らがたどりなおす過程で描いた絵画を中心に、映像、写真、オブジェによって記録する国家プロジェクトが実現。その展覧会はオーストラリア国内で大きな成功をおさめたという。それが日本でも開催されることになった。

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 文字を持たないアボリジニは、自分たちの歴史や伝承を絵画で表現するのだ、という説明は以前に読んだことがあった。でも鑑賞するときは抽象的なモダンアート作品を観るのと同じ感覚で、「色使いが新鮮!」「根源的なパワーを感じる」などと思いながら観ていたものだ。ところが今回の展覧会では作品の横に、「これが31番目の井戸」「この池の横に川が流れている」といった詳細なモノクロ解説図も示されていて、とてもおもしろい。言い伝えを絵で表現するとは、こういうことだったのだ!と合点がいく。意味を伝える技術という絵画の大切な一側面を、改めて気付かされました。

One Road
現代アボリジニ・アートの世界

国立民族学博物館 企画展示場
2016年6月9日(木)~7月19日(火)

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2016年7月 1日 (金)

アテルイは最高のエンタメ!

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 シネマ歌舞伎「アテルイ」がおもしろかった。劇団☆新感線の中島かずき&いのうえひでのりによる作・演出の、新時代の舞台芸術=歌舞伎NEXT。ヤマト朝廷が東北の蝦夷に戦いを仕掛ける歴史に基づいた、超大作・感動スペクタクル巨編です。昨年、新橋演舞場で演じられた舞台を映画化したもの。いま松竹系の映画館で上映されている。 Photo01
 見どころはシェイクスピアのような深い詩的なせりふ回し、染五郎をはじめ勘九郎や七之助、市村萬二郎や澤村宗之助たちのかっこよく決まる所作、ダイナミックな立ち回り。歌舞伎の様式美を見事に生かした芝居です。日本も世界も暗く不穏な方向へ向かっている現代に、爽やかな風を送ってくれます。
Photo02_2  テーマは支配と被支配の関係、戦争に大義はないこと、あるいは神と人間、権力と陰謀、正義を信じる人間の勇気と愛。現代の世界が抱えるさまざまな問題を俎上にあげ、痛快に切って捨てる。われわれ庶民が拍手喝采する要素をちゃんと盛り込んでいる。Photo03
 このようにお上を茶化して笑い飛ばす批判精神も歌舞伎の伝統。近年忘れられつつあった反骨心を取り戻したのは、とてもいいことだと思う。大っぴらにお上にたてつくことはできなかった、そんな庶民がうっぷんを晴らしてスカッとするための芸能だったのだから(江戸時代にはそれに対していろんな禁止令も出たようだ)。もちろん、愛された理由はそれだけではありませんが。
Photo04  教科書で習った坂上田村麻呂の蝦夷征伐(ヤマト側の見方)のお話なのだが、ストーリーはどんでん返しに次ぐどんでん返し。息もつかせぬ展開で、3時間あまりをまったく飽きさせない。ユーモアもたっぷり、サービス精神もたっぷり、アクションもたっぷり。コスチュームも美しく、最高のエンターテインメントでございました。歴史上の事件や人物の見方も、一方だけの視点ではダメなんだなと深く考えさせられました。
 

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