庭の様子が、ピンクから白へ
ハルゼミがうるさく鳴くこの季節。寒くもなく、暑くもなく、いちばん爽やかなときです。林の下にはピンクと白のかわいい草花が咲いています。
ピンクの花が美しいベニバナイチヤクソウ。「上高地の植物」(信濃毎日新聞社)によると、明るい森林の林下に生える多年生草本で、群生することが多い。葉は長い柄をもち、表面には少し光沢がある。葉のつけ根から1本の花茎を直立させ、淡紅色の花を多くつける。花冠は5裂し、広く開く。林下で群生しているところは、きわめて美しい。と説明されている。
白い可憐な花が咲くマイヅルソウ。同じく「上高地の植物」には、針葉樹の林下に生える小型の多年生草本で、高さは10cm程度になる。葉は三角状のハート形で、葉脈は基部から先端に向かって美しい曲線を描く。この形をツルが羽根を広げたように見立てて舞鶴の名をつけた。茎の先に白い小花を集めて総状の花序をつくる。全体に端正で美しい姿が親しまれる。と書いてある。
どちらも6月から7月上旬にかけて花が咲く。30年ほど前は、マイヅルソウはまったくなくてベニバナイチヤクソウがカラマツ林の下に一面に咲いていた。それがあるときからギボウシが勢力を伸ばし、今はマイヅルソウが全盛時代だ。それでもベニバナイチヤクソウは美しく咲くし、7月半ばからはギボウシが見事な花園を作る。まぁなんとなく共生しているようだ。共生がオーバーなら、お互い戦争をせずそれぞれの生存を認め合っている、という感じ。
30年のうちに植生が変化したのは確かだ、なぜだかわからないけど。どの花も針葉樹の落ち葉でできた弱酸性の土壌を好み、林の下で半日陰の環境が合っているようだ。でも次々と第一勢力が変わっていくのが面白い。当初のカラマツの植林から、少しずつ自然に生えてきたコナラやクヌギ、ブナやズミなどの広葉樹を増やしているのも原因かもしれない。いずれにしても植物だけではなく昆虫や小動物も多様になっているようで、奈川の自然生態系により近づいている印象だ。まことに喜ばしいことです。
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