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2016年6月

2016年6月28日 (火)

村上柴田翻訳堂

 世の中にはなんと、たくさんの本が溢れていることでしょう? 次から次へと目まぐるしく変わっていく本屋さんの書棚。ほんの数日前に見かけて、どうしようかな?買おうかな?と、もう一度立ち寄ってみると、もうその場所には無かった!って、よくあること。

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 そんな時代の流れの中でこのお二人(村上春樹氏と柴田元幸氏)がタッグを組んで、過去の忘れがたい作品をもう一度翻訳して、世に送り出してくださるという・・・なんかその試みにエールを送りたくて、即買ってしまいました。「村上柴田翻訳堂」と題して、この先何冊か出版されるそうですが、まずは村上春樹氏の新訳による「結婚式のメンバー」。
 作者のカーソン・マッカラーズは1917年、アメリカ南部の小さな町に生まれた女流作家。この小説は、他人との関わり方に問題を抱えていた彼女の、言わば自伝的な小説なのだけれど、何がどうして、どうなった・・・的なストーリーが極めて少なく、読書に対しても「いらち」な私としては、何度かイライラ! それでも結局最後まで読んでしまったのは、やはり翻訳者の凄さ? それもあるけど、それだけではないです、もちろん。
 この6月に66歳の誕生日を迎えた私が、小説の主人公である12歳の少女の、多感な、とても複雑な心境をこれでもか!って、多少苦痛に感じるくらい読まなくてはいけなかった。にも関わらず、とてもいい小説だったと思えます。もう一度読んでみようかな?と考えています。どんだけ〜!と気が遠くなるくらい彼方の、自分自身の少女時代を、ふと重ねてみて「うん、わかるなあ!」とうなづいたり、人の感情は時代の流れにそうやすやすと左右されるものではないのだ、と納得したり。
  村上氏が訳者解説の中で「翻訳というのは究極の再読」と書かれているように、深く掘り返してみたり、後ろを振り返ってみたり、というような行為は読者の側にもあるべきなのでしょう。
 最近は「モノの整理」で、さっさとブックオフに行ってしまう本もある我が家の書棚に、ちんまりと収まっている一冊。訳者にとっては「してやったり!」なのかな?
 

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2016年6月25日 (土)

アルミ製の小さなザル

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 なべに続いてキッチン用品のお話です。先日、小さなお店の台湾雑貨フェアにお邪魔して、アルミ製のザルを購入しました。

 なべもそうですが、キッチン雑貨もこれまた!我が家のキッチンには溢れております。なるべく買ってはいけない、これ以上増やしてはいけないと、肝に銘じてはいるのですが。
 この子は特別!ってまたか? 実は目が合った時に、一つのシーンが頭ん中にくっきりと浮かんでしまったのです。
  「今夜は枝豆茹でて、このザルですくって、そのまま下にお皿を敷いてテーブルに出そう!」。
 その日はとても蒸し暑く、坂道の途中にあるそのお店に行き着くまでに、びっしょりと汗をかいておりました。うちに帰って、枝豆茹でて、シャワーを浴びて、さっぱりした後、トントントン・・・夕暮れを眺めながら、ゆっくりと閉じていくように訪れる夜との境に、この日出会ったこのザルと、ちょっと語らう。
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 軽いよね。薄いよね。控えめな光沢が、まるで恥じらうように少しだけキラキラする。台湾って行ったことはないのだけれど、何故か懐かしくて、ノスタルジック。
 ふと、以前ベトナム旅行をした際に、アルミ製の雑貨を現地で購入したことを思い出しました。「もう、捨ててしまったかな?全然使っていないもの」と思いながら、食器棚の中をゴソゴソ探していたら、ありました! 同じアルミの材質を使ったコーヒーカップ。可愛くて、何しろ安いものだから、いくつか買って友人にプレゼントしました。でも、多分、誰も一回も使ってない?
 あっは!それに比べたら、今度のザルは大正解ではないか?と、テーブルに別々のアジアの国から来たアルミの雑貨を並べて、枝豆をつまみながら、氷を浮かべた赤ワインを一杯。
 ふう〜、また一つモノが増えて、また少しだけ後悔の、だけど満足の1日が過ぎてゆく。誰かに、暮れゆく空に、有難うと言いたい気分。
 

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2016年6月22日 (水)

ボストンの国芳と国貞

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 歌川国芳と歌川国貞。江戸時代末期に活躍した浮世絵師です。世界一のコレクションを所蔵するボストン美術館から170点の作品を持ってきて、『俺たちの国芳 わたしの国貞』展がいま神戸市立博物館で開催されています。そのころは「芸術」という概念はまだないころなので、それぞれ「うけ」を狙った極上のエンターテインメントを創作しようと工夫し努力している。それが素晴らしいアートを生んだんだと思う。

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 奇想天外なアイデア、斬新なデザイン、確かなデッサン力で描く大スペクタクル絵画は、現代ならハリウッドのSF超大作か。歴史劇に幕府を批判する風刺をちりばめた反骨精神も、国芳の心意気をあらわしている。江戸の庶民が喝采を叫んだのもうなづける。
 国貞には歌舞伎役者と美人画シリーズに見るべきものが多い。浮世絵の彫りや摺りの技術も最高潮に達し、極彩色で細密な画風は江戸の人々を魅了したに違いない。

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 この展覧会で特に感じるのは、当時「浮世絵は最強のメディアだった」ということ。新聞もない、テレビもない、雑誌もない、映画もない、ましてネットなど夢にも思いつかない時代。市川團十郎や尾上菊五郎、岩井半四郎や中村歌右衛門・・・役者絵は当たり役を演じるスーパースターやアイドルのまさにブロマイドです。そして美人画の衣装や小道具はファッション雑誌の特集ページ。浮世絵師は最先端の情報を発信していたんだ、と改めて感じました。

ボストン美術館所蔵
俺たちの国芳 わたしの国貞
神戸市立博物館
2016年6月18日(土)~8月28日(日)
 

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2016年6月19日 (日)

イタリアからやって来たなべ

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 久々、けいママのなべ・シリーズであります。これ、もうお伝えしましたかしらん? なべオタクの私、家に溢れるなべの数はそりゃもう・・・デパートに行くと『なべ売り場』に直行! 新製品のなべをチェックする。でも最近、購入に関してはかなり慎重です。そりゃそうだろ! どんだけ、なべ、あるの? どうすんの、このなべ? はあ、私が死んだら、棺になべを・・・。
 と、久しぶりなので、前置きが長くなってしまいましたが、今日は久しぶりに購入したなべのご紹介! な、なんや、また買ったんか?

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 だって、これが買わずにいられましょうか。場所はイタリアのとある金物店。そのなべはひっそりと固唾を飲んで私を待っておりました。控えめに、おずおずと。形はとてもシンプルで、軽くて、薄くて、一見地味。ふ〜ん?こんなに薄くて何に使うのかしらん?と、手にとって改めてチェックしてみると、イタリア語がよく理解できなくてもドン・ピシャのイラストが付いていました。そう、フリッタータを作るためのなべ。えっ?フリッタータって? うん、うん、よくぞ聞いてくださいました。要するにイタリア版卵焼きです。日本にもあるでしょう? 卵焼き器って。イタリアでは玉ねぎやジャガイモや豆、それに粉チーズなどを卵に加えて、フライパンに流し込んで丸い形にします。

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 イタリア料理好きの我が家では、ひろパパがよく作るのですが、両面を焼く必要があり、そうなるとひっくり返す時が結構大変なのです。フライパンに大きめのお皿をかぶせて反対に向けて、よいしょ!それからもう一度なべに滑り込ませて、もう片面を焼くわけですが、結構な重さがあるし、お皿とフライパンのサイズがよくは合ってないし。その日の出来具合はその日による!
 と、改めてこのなべを見てみよう。なんと!同じ形のフライパンが2枚。つまり2枚目でフタをして柄の部分を持って、ラクに引っ繰り返せる構造になっているではありませんか! しかも驚くほど軽いのです。「こ、これ!買う!」とテンションが上がるひろパパとけいママ。するとなべは上目使いに我々を見て問いかける。「ホントにいいの? 私に出来るのはフリッタータとクレープと・・・あの、炒め物とか無理だと思うけど? だって、こんなに薄いでしょ?」

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 ふ〜ん、れっきとしたメイド・イン・イタリーの子なのに控えめじゃん? 何、言ってるの!あなたのような子を待っていたのよ!さあ、日本に行くのよ、一緒に。
 てな、わけで・・・。さて、我が家のフリッタータはレベルアップしたかって? これがなんと、驚きであります! この子が来てからというもの、ひろパパのフリッタータ失敗作はゼロになったのであります。毎回、気持ちいい程するりと仕上がり、美しいこの料理が食卓に置かれる。その度に私はあの小さな金物屋の親父とそばで買い物をしていた常連客の自信たっぷりの表情と言葉を思い出す。「このなべは凄いぞ、あんた! 何てたって、正真正銘のイタリアもんだ!」 はい、ごもっとも。イタリアの底力を見せて頂きました。
 海を越えてやってきたこの子も、今やすっかり我が家のキッチンに馴染んで、スリムなボディながら、大きな顔をしております。

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2016年6月16日 (木)

今が、いちばんの花盛りかも

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 六甲高山植物園では季節ごとに次々と咲く花が植えられているが、高山での夏にあたる(?)気温の今がいちばんの花盛りかもしれない。先日からヒマラヤの青いケシ、コマクサ、エーデルワイスについて書いてきた。でもでも、園内で見るともっと目立って咲いている花々があります。夏山シーズンに目を楽しませてくれる高山のお花畑が、一足早く見られるのです。

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 その一番手はニッコウキスゲ。10年ほど前に霧ケ峰高原で見事な群生を見たことがある。あれは7月の終わりか8月の初めごろ。一面のオレンジ色に圧倒された記憶があります。それが六甲山では今が見ごろ。もちろん自生ではなく、栽培したもの。

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 つぎにイブキトラノオ。白いなかにうっすら紅が混ざった房状の花は、これからもっと長くなり重みで先が垂れてくる。そうするともっと虎の尾っぽに似てくる。いや、虎というより猫の尾っぽぐらいか。フワフワして触るととても気持ちよさそうです。

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 マツムシソウも1ヶ月以上早いと思う。ここのはタカネマツムシソウと書いてある。背丈は半分ぐらいだが花の大きさは変わらず、姿はまさにマツムシソウ。薄紫の花は清楚で気品がある。夏の日向の匂いも一緒に感じます。

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 ほかにもアツモリソウやクリンソウ、ナルコユリやアマドコロ、オオヤマレンゲやベニバナシャクヤクなどなど、いちばん花の種類が豊富な時期です。池にはスイレンやコウホネも咲き、素朴なコアジサイも園内各地に見られる。信州の夏より早く高山の花を見られる六甲高山植物園。意外な穴場です。

六甲高山植物園

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2016年6月13日 (月)

いいちこデザイン展

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 KIITOの神戸デザインセンターで「いいちこデザイン展」を見てきました。毎年全国で開かれているが、神戸での開催は23年ぶりとのこと。浅井慎平の気持ちのよい写真と河北秀也のアートディレクションが素晴らしい、30年以上も続くシリーズだ。日本広告文化史を代表する仕事のひとつ、と言っても過言ではない。その当時、羨望の目で観ていましたっけ。

Palau
 なかでもやはりB倍ポスターがすごい。見た瞬間「これは覚えてるぞ!」というのもあれば、見ているうちにじんわり当時の出来事を含めて思い出すものもある。南の島から、北の大地から、深い森から、古代文明の遺跡から・・・。世界中のステキな場所とあこがれの時間を、空気をそのまま持ってきたような作品。

Iceland
 いいちこ。お酒はイマジネーションの飛翔や文化の探索と相性がいい。開高健や山口瞳が活躍した寿屋(サントリー)もそうだけど、お酒の会社は時どきアッと驚くしかも持続的な文化を目指す。そういえば江戸時代の造り酒屋もそれぞれの地方で文化の担い手だった。文化の話、芸術の話、みんなお酒を飲みながら交流をしたのだ。これはヨーロッパのワインも同様でしょう。

Austria
 ちょっと堅苦しい話になってしまってごめんなさい。いいちこの話に戻ると、会場で流されていたテレビCMではビリーバンバンの歌声がとても懐かしく耳に入ってくる。クセのない、悪く言えばコクがない素直なハーモニーが、実は深く深く心にしみていたんだ!といま思う。♪また君に恋してる いままでよりも深く~♪ 久しぶりにiichikoを飲んでみましょう。

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2016年6月10日 (金)

コマクサもエーデルワイスも

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 六甲高山植物園はヒマラヤの青いケシだけではない。高山植物の女王と称されるコマクサもヨーロッパアルプスを代表するエーデルワイスも咲いている。7月の梅雨明け、夏山シーズンに乗鞍など3,000m級の山に登るとよく見るコマクサ。地面に這いつくばるように咲くピンクの花が、風にふるふる揺れるようすはいかにも弱々しく、「花のまわりの砂礫地はぜったいに踏んではいけない」と強く思うものです。

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 花のカタチが馬の顔に似ていることから「駒草」の名がついたという。さぁ、いかがでしょうか? そう言われれば似てなくもないが、なかなかの想像力だと思う。ピンクの花と青味がかったレースのような葉の色の組み合わせは最高に美しい。寒くて空気が薄く水も少ない、そんな過酷な環境が生み出した奇跡だ。

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 エーデルワイスはミュージカル映画『サウンド オブ ミュージック』の歌で初めて知った。この植物は氷河時代の生き残りだそうで、防寒と水分を取るための産毛が葉にも茎にも花にもついている。キク科ウスユキソウ属に分類される高山植物で、スイスとオーストリアの国花に選ばれている。(すべて受け売り) これら違う環境の植物をしっかり育てる植物園のスタッフの努力と工夫に頭が下がります。

六甲高山植物園

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2016年6月 7日 (火)

ヒマラヤの青いケシ展

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 いまヒマラヤの青いケシが咲いています。場所は山の上の六甲高山植物園。神秘的な淡いブルーが美しい。この植物園では砂礫が多いところに植えてありますが、ヒマラヤでもそうなんでしょうか? 機会に恵まれたらぜひ現地で見てみたい。

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 高山地帯のヒマラヤでも4,000mを超えた地域にしか生えず、「天上の妖精」「幻のケシ」といった異名がある、という説明がNetにある。今回初めて知ったのですが、青いケシはブータンの国花なんですってねぇ。いかにも幸せの国にふさわしい風情で咲いている。

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 青いケシはこの植物園の目玉のようで、ブータンの写真展や青いケシグッズやブータンの特選品などの販売もしていた。顔を出して記念撮影をする撮影ボードも置いてあって、なかなか楽しい。4月の末から始まった「ヒマラヤの青いケシ~神秘の花の咲くところ~」というタイトルの特別企画展も、まもなく終了のようです。ご覧になられる方はお急ぎください。

六甲高山植物園

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2016年6月 3日 (金)

庭の様子が、ピンクから白へ

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 ハルゼミがうるさく鳴くこの季節。寒くもなく、暑くもなく、いちばん爽やかなときです。林の下にはピンクと白のかわいい草花が咲いています。
 ピンクの花が美しいベニバナイチヤクソウ。「上高地の植物」(信濃毎日新聞社)によると、明るい森林の林下に生える多年生草本で、群生することが多い。葉は長い柄をもち、表面には少し光沢がある。葉のつけ根から1本の花茎を直立させ、淡紅色の花を多くつける。花冠は5裂し、広く開く。林下で群生しているところは、きわめて美しい。と説明されている。

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 白い可憐な花が咲くマイヅルソウ。同じく「上高地の植物」には、針葉樹の林下に生える小型の多年生草本で、高さは10cm程度になる。葉は三角状のハート形で、葉脈は基部から先端に向かって美しい曲線を描く。この形をツルが羽根を広げたように見立てて舞鶴の名をつけた。茎の先に白い小花を集めて総状の花序をつくる。全体に端正で美しい姿が親しまれる。と書いてある。

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 どちらも6月から7月上旬にかけて花が咲く。30年ほど前は、マイヅルソウはまったくなくてベニバナイチヤクソウがカラマツ林の下に一面に咲いていた。それがあるときからギボウシが勢力を伸ばし、今はマイヅルソウが全盛時代だ。それでもベニバナイチヤクソウは美しく咲くし、7月半ばからはギボウシが見事な花園を作る。まぁなんとなく共生しているようだ。共生がオーバーなら、お互い戦争をせずそれぞれの生存を認め合っている、という感じ。

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 30年のうちに植生が変化したのは確かだ、なぜだかわからないけど。どの花も針葉樹の落ち葉でできた弱酸性の土壌を好み、林の下で半日陰の環境が合っているようだ。でも次々と第一勢力が変わっていくのが面白い。当初のカラマツの植林から、少しずつ自然に生えてきたコナラやクヌギ、ブナやズミなどの広葉樹を増やしているのも原因かもしれない。いずれにしても植物だけではなく昆虫や小動物も多様になっているようで、奈川の自然生態系により近づいている印象だ。まことに喜ばしいことです。

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