横尾忠則のPOPとWAR
横尾忠則現代美術館でいま開催中の「私のポップと戦争」。とても懐かしく若き日を思い出しながら鑑賞しました。POPのほうは状況劇場のポスターや平凡パンチのカラーグラビアを飾った、懐かしい名作がずらり。1960年代後半から70年代半ばまで、グラフィックデザイナーとイラストレーターとして、またその時代を象徴する文化のトップランナーとして駆け抜けていったころの作品です。WARはもっと長い期間、画家宣言をした後の2000年代までの作品を含み、油彩やアクリルのタブローが中心。戦争がテーマというよりは自らの魂の奥底への遍歴を絵にした感じ。ただそこにはB29や原爆のキノコ雲も現れるので、横尾さんのWARには違いない。
別室に展示されていた「性風景Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ」と題されたシルクスクリーンの5点シリーズは、とても思い出深い。もう40年以上前の話だが、横尾さんに仕事を頼んだことがある。あるTV番組のタイトルデザインやポスターの制作だ。そのときテレビ局のスタジオに持ち込んだのが、これらの作品だったのだ。これは富士山や新幹線を背景にセックスしている、いわゆるアブナ絵だから、プロデューサーやディレクターは慌てました。でもそのまま放送で流すなんてことはするはずがない。黒バックに手書きの筆文字を抜いて、そこに色鮮やかなこれらの作品をパンしながら撮影した素材を入れ込む、というアイデア。何が写ってるかわからない、色だけのための素材。横尾さんはヴィデオの編集機を使うのが初めてだったらしく、おもしろがっていろいろ試しながら徹夜で制作を続けられたのが印象的でした。
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
わたしのポップと戦争
2016年4月16日(土)~7月18日(月・祝)
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