ロイヤルオペラハウスの椿姫
ヴェルディ作曲「椿姫」の原題「La Traviata」は、「道を踏み外した女」という意味だそうだ。その椿姫、英国ロイヤルオペラハウスが2月4日にコヴェントガーデンで公演した舞台のライブビューイング映像を映画館で観ました。これがサイコーに感動的。幕間に指揮者イヴ・アベルや演出家ダニエル・ドナーの解説が入り、とても分かりやすい仕上がりになっていた。時間は休憩を入れて3時間40分。
ストーリーもよく知っているし、聞けばすぐにわかるアリアもたくさんある、あまりにも有名なオペラ。ところが初めて出会ったお話しのように、とってもとっても感動してしまたのです。もともと名作だし、そのうえ演出が素晴らしい。出演者のヴェネラ・ギマディエワ、セミール・ピルギュ、ルカ・サルシの歌唱力と演技力。美術とコスチュームと照明。どれも最高でした。
1985年にフランコ・ゼフィレッリ監督が作ったメトロポリタン歌劇場の「椿姫」をレーザーディスクで持っていて何回も観た。これはレヴァイン指揮でアルフレードをプラシド・ドミンゴが演じていた。これもよかったけれど、映画版なので舞台の臨場感は今回ほど感じなかったように思う。だから感情移入もあまりなかったのかもしれない。
それともうひとつ決定的に違うのは、観る私自身が年を取ったということ。これは悪い意味じゃありません。いろいろ人生経験を積むと、個人の幸せと社会との板挟みとか、愛のための犠牲とか、簡単に割り切ることができない運命を人は生きるものだと気付く。そう考えると年を取るのも悪くない。アルフレードの父親の心情もわかるのだから。
英国ロイヤル・オペラ・ハウス
シネマシーズン2015/16
椿姫
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