日本好きのモネを愛する日本人
岡崎の京都市美術館で開催中のモネ展は、パリのマルモッタン美術館のコレクションを紹介する展覧会です。ここでの目玉は「印象、日の出」。印象派のネーミングの基となったことで有名な50×65cmの油彩。作品そのものはターナーが描いた「ウォータールー橋上流のテムズ川」や「湖に沈む夕陽」ほど完成度も高くないし革新性でも劣るが、美術史上における有名度はピカイチだ。これを見たことがない人もみんなこの絵のことを知っている。
モネは「ルーアン大聖堂」や「積みわら」など気に入ったモチーフを連作して描くことで、光の変化や季節時間の空気感を強調した。なかでも極めつけはジヴェルニーの庭の「睡蓮」を描いたシリーズ。直島をはじめ世界中の美術館でコレクションされているので、見かけることが多い。この展覧会でも油彩だがデッサンのような実験的(?)な作品がたくさん展示されていて興味深い。これらがあってはじめてオランジュリーの大作ができたのでしょう。
浮世絵などを通じて日本びいきだったモネが、「日本の橋」というタイトルで描いた6点の連作がとてもいい。庭の池にかけた日本風の太鼓橋。ほとんど抽象まで行ってしまっている晩年のモネだが、決して抽象ではなくあくまで具象なのだとよくわかる。印象派好きの日本人が、その中でも特に愛するモネ。やはりお互いどこかひかれあうところがあるのだと思います。 ※「印象、日の出」は3月21日(月・祝)までの期間限定展示なので、ぜひそれまでに。
マルモッタン・モネ美術館 所蔵
モネ展
「印象、日の出」から「睡蓮」まで
2016年3月1日(火)~5月8日(日)
京都市美術館
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