グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ個展
初めて名前を聞くオランダ人アーティスト、グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェの個展『無為の境地 killing time』が京都で開催されているので観に行った。場所は二条城そばの京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAアクア。
彼は自ら行ったパフォーマンスを記録した映像を作品化している。そこに使用する音楽も自ら作曲。そんなウェルヴェの過去10年間の全7作品を展示する展覧会です。そのうちの一つを紹介します。
ショパンは死んでパリに埋葬された。しかし遺言により心臓だけは故郷のポーランドの教会に収められている。彼の作品第14番「郷愁」は、ワルシャワの聖十字架教会からパリのペール・ラシューズ墓地までの1703.85kmをトライアスロン(水泳、自転車、ラン)で走破し、身体と分かたれた心臓との距離を身をもって体現する。20歳で故郷を離れ38歳で亡くなるまで、一度もポーランドに帰らなかったショパン。
ウェルヴェはヨーロッパの田園風景の中を黒いスポーツウェアで淡々と泳ぎ走ることで、ショパンの悲哀を表現する。この話の流れの中にアレクサンドロス大王のエピソードが挿入される。アレクサンドロスもまた若くして故郷マケドニアを出て征服の旅をつづけ、ついに帰郷することなくバビロンで病死する。
ずーっとバックに流れる(時には演奏するオーケストラと合唱団も映像に現れる)レクイエムも彼が作曲した作品。これが素晴らしい出来栄えで、プロの現代音楽家真っ青だ。幼少期からクラシック音楽の教育を受けてきた彼ならでは。美しい詩的な映像と荘重な音楽で、そのしつらえは感動的なんだけれど、つづられるストーリーはただ泳ぐ、ただ走る、それだけ。その行為に意味を見出そうとしないことだ。おそろしく刺激的な54分の映像作品でした。
グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ個展
無為の境地 killing time
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
2016年2月20日(土)~3月21日(月・祝)
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