2015年も暮れてゆく
今年は6月に西地中海クルーズに行ってきました。と書けば、のんびりした気楽なリタイアメント生活のようですが、そうでもありません。じつはこのクルーズ船の乗客が、3月18日のテロで日本人を含む20人ぐらいが犠牲になっているのです。チュニジアの首都チュニス、バルド国立博物館で起こった銃乱射事件。ISの犯行だと言われている。
この事件の一か月ほど前に申し込んでいたので、ニュースを見て驚きました。なんと同じ船会社の、まったく同じコースを巡るクルーズじゃないですか! もちろん同じ船で。
さてこの旅行はどうなるのだろう、と思っていたら、2週間ほどして連絡が入る。船会社はチュニスを寄港地から除き、代わりにマヨルカが入るとのこと。このクルーズで一番楽しみにしていたチュニス寄港がなくなるのは残念ですが、まぁ当然でしょう。世界的にはISは大問題だが、極東にいる私たちには遠い国の出来事と思っていた。ところが意外なところで関係していました。そしてクルーズは6月に何事もなかったかのように行われましたが、世界各国から来た乗客たちもリラックスして平穏そのもの。ヨーロッパへの入国も前年までと比べてそれほど厳しくなったとも思えない。
その後、増え続ける難民に困り果てたヨーロッパの国々の対応がニュースをにぎわすことに。TVも新聞も当初は「イスラム国」と呼んでいたが、いまは「IS」あるいは「イスラミック・ステート」と呼ぶようになる。そして11月のパリ同時多発テロ。13日の金曜日。たぶんこの日をねらったのでしょう。この日から完全に流れが変わった。イスラム教徒との戦争を叫ぶ政治勢力が支持を伸ばし、ますますISの望む社会になっている。まさに思うつぼ。
今年の初めにこのブログで書いたことですが、聖フランチェスコの言葉をもう一度捧げます。PAX ET BONUM 『平和と善が在ることを』。でもキリスト教の聖人の言葉など、彼らイスラム過激派は聞く耳を持たないか。でも言い続けます。
余談ですが、チュニス事件のそのクルーズ船に、私の友人が乗っていました。元の会社に同期入社のコピーライター、東京在住。「博物館には行かず、古代カルタゴ遺跡を見物に行っていたので難を逃れた」そうだ。いやぁ世間は狭い。そして人間の運命なんて紙一重。無事に年の暮を迎えた幸せをかみしめつつ、また2016年の皆さまのご多幸をお祈りいたします。
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