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2015年12月

2015年12月29日 (火)

2015年も暮れてゆく

Fantagia
 今年は6月に西地中海クルーズに行ってきました。と書けば、のんびりした気楽なリタイアメント生活のようですが、そうでもありません。じつはこのクルーズ船の乗客が、3月18日のテロで日本人を含む20人ぐらいが犠牲になっているのです。チュニジアの首都チュニス、バルド国立博物館で起こった銃乱射事件。ISの犯行だと言われている。
 この事件の一か月ほど前に申し込んでいたので、ニュースを見て驚きました。なんと同じ船会社の、まったく同じコースを巡るクルーズじゃないですか! もちろん同じ船で。
 さてこの旅行はどうなるのだろう、と思っていたら、2週間ほどして連絡が入る。船会社はチュニスを寄港地から除き、代わりにマヨルカが入るとのこと。このクルーズで一番楽しみにしていたチュニス寄港がなくなるのは残念ですが、まぁ当然でしょう。世界的にはISは大問題だが、極東にいる私たちには遠い国の出来事と思っていた。ところが意外なところで関係していました。そしてクルーズは6月に何事もなかったかのように行われましたが、世界各国から来た乗客たちもリラックスして平穏そのもの。ヨーロッパへの入国も前年までと比べてそれほど厳しくなったとも思えない。

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 その後、増え続ける難民に困り果てたヨーロッパの国々の対応がニュースをにぎわすことに。TVも新聞も当初は「イスラム国」と呼んでいたが、いまは「IS」あるいは「イスラミック・ステート」と呼ぶようになる。そして11月のパリ同時多発テロ。13日の金曜日。たぶんこの日をねらったのでしょう。この日から完全に流れが変わった。イスラム教徒との戦争を叫ぶ政治勢力が支持を伸ばし、ますますISの望む社会になっている。まさに思うつぼ。
 今年の初めにこのブログで書いたことですが、聖フランチェスコの言葉をもう一度捧げます。PAX  ET  BONUM 『平和と善が在ることを』。でもキリスト教の聖人の言葉など、彼らイスラム過激派は聞く耳を持たないか。でも言い続けます。
 余談ですが、チュニス事件のそのクルーズ船に、私の友人が乗っていました。元の会社に同期入社のコピーライター、東京在住。「博物館には行かず、古代カルタゴ遺跡を見物に行っていたので難を逃れた」そうだ。いやぁ世間は狭い。そして人間の運命なんて紙一重。無事に年の暮を迎えた幸せをかみしめつつ、また2016年の皆さまのご多幸をお祈りいたします。
 

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2015年12月26日 (土)

横尾忠則、「幻花」の挿絵展

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 幻花 幻想幻画譚。展覧会名に『幻』の文字が3つも入っている。横尾忠則現代美術館で開催中の展覧会です。これは1974~1975年に東京新聞に連載された瀬戸内晴美(寂聴)による時代小説「幻花」の挿絵を一挙に見せるおもしろい企画。貴重な原画全371点を展示している。新聞小説用なので、ヨコ14cmタテ8cmぐらいの小品だ。しかしその小さなスペースの中に、細密な線描で自由奔放にイメージをふくらませ、独特の横尾ワールドを展開。決して小ささを感じさせない。

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 ただし展示としては小品を整然と並べてもインパクトがない。いくら内容が濃密で完成度が高いといっても、広い美術館をもたせるのはむずかしい。だからポイントポイントに横幅4m以上の巨大な拡大版が配置されている。精緻な原画だから、こんなに拡大してもまったく粗く見えない。これも驚異的。むしろ原画では見逃しがちだった凝ったディテールまで見えてきて、さまざまな新しい発見があってとても楽しい。

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 小説は室町時代の後期、京の都が舞台。足利義正や日野富子などが登場する。天災や疫病、内乱が頻発するどろどろした人間関係、横尾さんの挿絵は、小説に従属するのではなく、対等に勝負してそれ自体が独立した世界を構築している。キリストやUFOも出てくる自在な表現。まさに幻想幻画、自らが「イラストレーションの総決算」と述べるだけあって、ほんとうに素晴らしい作品シリーズです。

横尾忠則 幻花 幻想幻画譚
Y+T MOCA 横尾忠則現代美術館
2015年12月12日(土)~2016年3月27日(日)

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2015年12月23日 (水)

スター・ウォーズが帰ってきた

Starwars
 はるか昔、遠い銀河の果てを舞台にした一大叙事詩。ジョージ・ルーカスが「もうスター・ウォーズは作らない」と言っていたので、残念に思っていました。しかしルーカス・フィルムがディズニーに売却されたせいなのか、待望の、夢のような、待ちに待った、うれしい出来事が! 壮大なサーガのエピソード7、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(STAR WARS/THE FORCE AWAKENS)が公開されたのです。スタートから38年。すべてにおいてグレードアップした作品になりました。期待以上です。

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 ファンにはたまらない面白い出来栄え。ハン・ソロも出てくる、レイア姫も登場する、それに最後にはルーク・スカイウォーカーまであらわれた。今回から3作続くシリーズは、彼らが若き日に活躍したエピソード4、5、6の30年後の世界。正義と邪悪、共和国と帝国、世代間の宿命と絆。もう次回作を見るのは必然、と思えるストーリー作りの巧みさ。よくこなれてすっかり空気や水のようになったSFX。完成度の高さは目をみはるばかりです。なによりうれしいのは、監督はじめ全スタッフが大のスター・ウォーズファンであり、その愛情が作品の端々から感じられること。

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 スター・ウォーズを作るために開発された多くの映像技術、骨太の構造、クリーチャーの創造、オーケストラによる音楽など表現の革新は、後の映画にとても大きな影響を与えた。ストーリー・テリングだけではなく、こんな技術的な創造性も見逃してはならない。というわけで、私のなかでは映画史上ナンバーワンの評価です(まだ未完成ですが)。圧倒的に一等賞。ネタバレになりそうな説明はぐっとこらえて、皆さまが劇場に足を運ばれることを願っております。

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2015年12月20日 (日)

サフランが咲いた!

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 サフランが咲いた! なんとも言いようがない、美しいうすむらさきの花が。森雅美さんの作品みたいで感動です。9月に神戸布引ハーブ園の売店で買った球根。それを植木鉢に植えて、毎日水をやり・・・となるのが普通ですが、これは違う。水もいらない、土もいらない、ミラクル球根。「不思議!驚き!感激! 置いとくだけで花が咲く!」というキャッチフレーズにつられて衝動買いしたサフランの球根なのです。

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 説明書きによると、「育て方は、手間いらず。お好きな器やかごなどに並べ、室内の陽のあたらない所にそのままおいておくだけで、水やりも肥料もなしで花を楽しめます。(根も張りません) 夏の間は休眠していますが、涼しくなると(10月~11月)芽が伸びて開花します。」 半信半疑でガラスの花入れにのせて置いていましたが、いっこうに芽が出る気配がない。そのまま忘れていたころに、芽が出てパッと花が咲いたという次第。もちろんここには水は入れていません。まさにミラクル!

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 サフランは地中海沿岸地方が原産地。真ん中の赤褐色のメシベを摘み取って乾燥させたものが、高価な香辛料になる。黄色い色と独特の香りが、パエリア、ブイヤベース、ミラノ風リゾットなどにはなくてはならない要素ですよね。古代ギリシャの時代から珍重されてきたサフラン。それにしても、水なし土なしで育つ球根なんて、考えたものだ。忙しい都会人の癒しにはピッタリ。植物の本来の姿には背くのかもしれないけれど。

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2015年12月17日 (木)

ムーミン・ウインターマグ2015

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 巷にあふれるムーミングッズ! こんなにあるのは、どうして?とスナフキンに尋ねたら、きっとサラリと答えてくれるでしょう。「そりゃ、欲しい人がいっぱい要るからさ」。

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 確かに。これでもかと思うほどのムーミングッズが町中に溢れ、それを買って幸せいっぱいに家路に付く人たちがたくさん居るのです! 今日、けいママもそんな1人に相成りました。腕に抱えた大事な中身はアラビア ムーミン ウインター2015"haiba-ne-syonn "マグカップ也。新聞の広告で一目見るなり一目惚れ! 「これ、欲しい!」はたちまち「これ、買わなくてどうする?」になり、何せ限定品なんだからと一目散に師走のデパートに走る。
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 そして今、我が家の灯りの下で、じんわりとそのマグを見つめるのです。何と言ってもこのマグにはムーミン一家の三人全てが描かれているのですよ! それって、珍しい! そして家の中の様子がマグに描かれたというのも初めてのことなんです。
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 時は冬。 ムーミンパパとムーミンママはベッドでスヤスヤ。何故か目を醒ませてしまったムーミンが何気にソバにたっている。そしてそんな様子をご先祖様がシャンデリアの上からご覧あそばしている。はい、このマグカップの名は「ハイバーネション」。冬眠であります。窓の外には雪がしんしん。春は遠い。ムーミン谷のムーミン一家のそんな光景に想いを馳せながら、さて、お茶にしようかとキッチンでお湯をセットし、じっと耳を澄ますと、どこからか「ボク、目をさましちゃった!どうしよう?」とムーミンの声が聞こえてくるような。平和な師走に感謝です。

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2015年12月14日 (月)

ルミナリエは終わりました

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 12月4日に始まった第21回神戸ルミナリエ。強風で一部の電飾が壊れるハプニングもありましたが、なんとか12月13日の最終日を迎えました。さいわい土曜、日曜と、穏やかな天気に恵まれてずいぶんにぎわっていた。存続を支援するための募金活動も手馴れてきて、通りの両側にユニフォームを着たボランティアチームがたくさん並んで呼びかけている。

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 東遊園地のメイン会場は人、人、人の波。冷たい風がピューピュー吹きすさぶ年もあるけれど、今年はまだ冬になっていないほどの暖かさ。じいーっと立っていてもまったく寒くない。だから、みなさんのんびり見物している。荘厳な音楽が流れるなか、表情もなごやかで優しく、心から楽しんでいる様子が伝わってくる。

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 とは言っても、ルミナリエはサブタイトルに「阪神・淡路大震災メモリアル」と謳うイベント。震災の記憶を忘れず後世に語り継ぐための象徴となる行事です。フラワーロードに面して作られた鎮魂の鐘には、被災者の冥福を祈り、未来への希望を願う人たちの長い行列が。そしてその人たちが祈りを込めて鳴らす鐘の音がずーっと鳴り続けているのでした。こんな姿を見ていると賛否いろんな意見があるルミナリエですが、やはり来年も続くよう願わずにはいられません。

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2015年12月 5日 (土)

Mr.ボンドはカッコいい

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 スパイ映画は数々あれど、やはり定番中の定番007はケタはずれに爽快だ。今回の「SPECTRE」が24作目だそうだ。オープニングの音楽が鳴りだした瞬間、意識は40年前に飛んでいる。メキシコシティ、ローマ、ロンドン、アルプスのスキー場、砂漠の真ん中、と飛び回っての活躍。手ごたえのある道具を駆使した古典的とも呼べる戦い方。

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 ビシッと決めたミスター・ボンドもカッコいいし、カジュアルに着崩したジェームスもほれぼれする。どんどん表現がエスカレートしているアクション映画、逆にリアリティが薄くなっているように感じる。その点、007は生身の肉体とアナログチックな武器で戦うことで、リアリティを高めるのに成功している。超絶の強さだけれど人間。決してスーパーマンではない。

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 ジェームス・ボンドの生い立ちにかかわるストーリー展開も、ドラマに奥行きを出している。スパイとは。人を殺すとは。うわべからはわからない彼の人間性の魅力がうまく表現できていて、見終わった後の満足度がシリーズの中でもとても高い。サム・スミスが歌う主題歌も感動的だ。娯楽映画の頂点のひとつだろう。

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2015年12月 1日 (火)

雲に乗った菩薩たち

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 平等院鳳凰堂の大修理の完成とともに新しく開館したミュージアム、『鳳翔館』が素晴らしい。平安時代の建造物が並ぶ境内に、すっきりしたモダンな建物がまわりの景観をジャマせず控えめに建っている。貴重な文化財を収蔵するための最新の機能を備えるためには、やはり木造ではなくコンクリートの構造体が必要だったのでしょう。最近の美術館は建築家の作品性が収蔵する作品より勝っている場合が多々見受けられるが、この建物はヘンに主張せず、しかしその端正なたたずまいはとても好感が持てる。

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 ここに展示されているのはどれも平等院の宝物だが、特に素晴らしいのが『雲中供養菩薩』と呼ばれる52体の仏像。いずれも雲に乗って笛や太鼓、琴や手風琴などの楽器を演奏したり、軽やかにステップを踏み羽衣をあやつりダンスを踊ったり、みんな喜びにあふれじつに楽しげだ。そんな菩薩像が本尊の阿弥陀如来座像を囲むように長押の上の壁面に飾られているのだ。

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 もともとは色鮮やかに彩色され、金箔も貼られた絢爛たる姿だったらしい。それが長い年月の間に剥落していき、生地の木目が見えたりするようになっている。まるで後世の詫び寂びの世界のようだが、決してそんなものではない。当時の華やかさは想像するしかないが、その生き生きした表情や躍動する肉体の美しさは、まるで近代彫刻のようだ。

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 この鳳翔館には本堂の内部壁面が原寸で復元された展示室もある。赤、青、緑・・・まさに極楽浄土とはこんなところだ、と当時の人々が考えたであろう姿で花や幾何学的なパターンが描かれている。そこに安置された金色に輝く阿弥陀如来座像とそれを取り巻く雲中供養菩薩。生きているうちに功徳を積んで、ぜひ浄土へ行きたいと藤原頼通ならずとも考えたに違いない。

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 大仏師定朝と彼の工房の仏師たちの作。西洋美術で言うルネサンス以降の人間主義を先取りしたような見事な出来栄え。作者の自由な感性とそれぞれの菩薩に対する親密な愛情まで感じられるじゃないですか。ギベルティやドナテッロに先行し、1,000年近く前にこんな名品が日本で生まれたことを誇りに思います。

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