阿寺渓谷の神秘の青水
信州奈川からの帰り道、木曽郡大桑村の阿寺渓谷(あてらけいこく)に立ち寄った。なんと美しい水! なんと神秘的な色! 村上龍さんじゃないけれど、限りなく透明に近いブルーじゃないか。国有林のレクリエーションの森に指定されている景勝地で、6kmあまりの渓谷に、淵あり滝ありの変化に富んだ景観が続く。そしてこの清流は木曽川にそそぐ。島木赤彦の歌碑も立っていました。
山深く わけ入るままに 谷川の
水きわまりて 家一ツあり
その随所につけられた名前がおもしろい。たとえば「犬帰りの淵」。その昔、里に住む猟師たちは犬を連れてこの谷に分け入り猟をした。しかしこの淵まで来ると、犬は険しい断崖絶壁を恐れて渡ることができず、仕方なく引き返したと語り継がれることから名付けられたそうだ。「狸ケ淵」はタヌキやキツネが化身の出来ばえを鏡代わりに映してみたからだ、と言われる具合。
樹齢100年を超えるヒノキの美林に、ブナやカエデ、クヌギなどの広葉樹が混じった豊かな森。大正12年から昭和41年まで、伐った木材を運搬するために森林鉄道が活躍。鉄橋などその当時の遺構がいまも残っている。
水がエメラルド色に輝くのは、光の加減によるのだろうが、なんといってもベースは水の透明度が高いことに尽きる。 川底の石はもちろん、天然のイワナが泳いでいるのまでくっきりと見えた。紅葉は期待したほどじゃなかったけれど、この水の美しさは新緑のころや真夏にもまた訪れたいと思わせるインパクトがありました。
そうそう、上流の湧水は「美顔水」と呼ばれ、この水を使うと見違えるほどの色白美人になるそうですよ。そちらにご興味がある方も、ぜひお出かけください。
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