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2015年11月

2015年11月28日 (土)

京都の紅葉もダメみたい

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 京都の紅葉の名所は、色の美しい品種の選択や手入れの方法など長年の経験と努力により、とても見事なはずだ。と、期待して東山の東福寺を訪れた。「渓谷に架かる紅葉の名所」とうたわれる名勝・通天橋がある臨済宗の大本山。さすがに人出は多い。でもJR東海のTVCM「そうだ、京都、行こう」で見られたような真っ赤に染まる紅葉とは程遠い。

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 今年は9月に一度寒くなったけれど、その後暖かい日が続いたので、紅葉しそうで止まってしまい、下手すれば緑からいきなり茶色く枯れるなんてことが起こっている。地球温暖化のせいだと軽々しく言う気はないけれど、やっぱりこのシーズンに美しい紅葉が見られないのは残念だ。それでも見物客はスマホや一眼レフを構えて、少しでもいいアングル、少しでもいい色の樹を求めて懸命に努力している。

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 ではもう一か所の紅葉の名所、長岡京市の光明寺へと向かう。ここは法然上人が初めて念仏の教えを説かれたところだそうだ。浄土門根元地の石碑が建っている。ここから総門を入って玄関へ向かう緩やかな坂道は「もみじ参道」と呼ばれている。両側からカエデの木々が大きく枝を伸ばし、今の時期は本来なら紅葉の赤いトンネルになっているはずだったのだが…。ご覧のとおり、色はまだら。
 もうすぐ枯葉も散り、冬のシーズンを迎える。六甲山の自然な紅葉も京都の人工的な紅葉も、今年は不作だったということでしょうか。

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2015年11月25日 (水)

平等院のライトアップ

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 10円玉の裏のレリーフで有名な宇治の平等院鳳凰堂。そのライトアップを観に行ってきました。関白藤原頼通によってこの寺が創建された平安時代(1052年)は、地震や飢饉、疫病や戦争などが続いたこともあり、極楽往生を願う浄土信仰が広く流行した時代。だから、この世に極楽を現出するのが建立の目的。優雅で美しくなければならないのです。極楽が汚く醜くつまらなく見えたら、大失敗ですからね。平安貴族の財力と信仰心と美意識が、ここに凝縮されています。

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 今回行ってみて初めて知ったのですが、ここのライトアップは明るさが変化するのですね。あら、暗くなった、まさか停電じゃぁ、なんて心配したけれど、照明が落ちた夜景がこれまた素晴らしい。最高峰の仏師定朝によって制作された、本尊の阿弥陀如来座像がくっきりと浮かび上がり、とても厳かでありがたく感じる。あ、全体に暗くなるのじゃなくて、堂内はそのまま照明されているんです、もちろん。前の池に映る姿も計算済み。なにげに見えてじつはとても完成度の高いライトアップ技術だと思います。

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 じゃあ明と暗の中くらいなら、どうでしょうか。これはこれで素晴らしい。屋根の上の鳳凰がフォーカスされて見えるんです。黄金色に輝いている様子が、よく目立つ。(この鳳凰は一万円札の裏面にアップで載っていますね) ちょっとした照明の違いによって、ずいぶん印象が変わるものだ。そのへんは照明デザイナーの腕の見せ所か。ただ明るく照らすだけではおもしろくない。ここの場合は極楽浄土を人々に感じさせるのに、1分暗く、5分明るく、といった具合に明るさを変えて単調になるのを防いでいる。
 全体像を鑑賞する、本尊の阿弥陀如来を拝む、建築の輪郭と屋根の鳳凰を愛でる。まさに極楽ゴクラク。

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2015年11月22日 (日)

今年の紅葉は、どうなんだろ

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 紅葉が見ごろを迎えているか、と期待して神戸市立森林植物園までハイキングに行ってきました。家から歩いて長峰山、杣谷峠、穂高湖、シェール道を通って森林植物園へ。お天気にも恵まれて、行き交うハイカーもけっこう多い。
 「早すぎるのかな? 遅すぎるのかな?」 「もっと赤い色が多いと思ったのに」 「赤と黄色と緑が混じってる」 「暖かいからかな、いつもの年と違うやん」 「あんまり色が変わってないのに、落ち葉はいっぱいやねぇ」 まわりから聞こえてくるのはネガティブな話ばかり。

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 例年ならいちばんいい時期なので、人出はすごく多い。でも、皆さんが言うように今年の紅葉はイマイチかな。この一カ月ほど平年よりずいぶん暖かい日が続くから、あまり色づかないのかもしれない。で、色が変わらないうちに枯れて散ってしまう。カエデ、コナラ、クヌギ、カツラ、カラマツ・・・いろいろあるけれど、それぞれの木の本来の美しさとは言いがたい。

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 正門を出たところに植えてあるメタセコイアの大木は、西日を受けて輝いていた。黄金色、とまでは行かないが、まあまあの黄葉。かろうじて合格点というところ。それでも夜はライトアップされているので、夕方になってもどんどん人がやってくる。光に照らし出されたらまた違った魅力があるのかもしれないし、この暖かさはかえって好都合でしょう。紅葉ライトアップは、11月30日(月)まで。

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2015年11月19日 (木)

ミラノの太陽、シチリアの月

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 ミラノの太陽? ミラノって霧じゃなかったの。 シチリアの月? シチリアは太陽ギラギラだよね。そんな引っ掛かりを作るのもうまい、内田洋子さんの著書のタイトル『ミラノの太陽、シチリアの月』(小学館文庫)。もちろん読めばすごく納得のお話が出てまいります。以前ご紹介した『ジーノの家』(文春文庫)ですっかりはまってしまった奇妙で不思議な内田ワールド。現地のイタリア人が読んでも、「こんなイタリア人もいるんだ」、「こんな暮らしがイタリアにはあるんだ」と驚くようなヘンな人たちが繰り広げる、ちょっといい話。
 異文化を書く意味は、知らない価値観や異なる習慣を紹介して、読者の世界を広げることにある。そのためには、読者の知らない世界を見聞することだ。昔マルコポーロがそうしたように。しかし交通網が発達し情報化が進んだ21世紀、よほどの辺境へいかない限り大きなカルチャーショックを受けるような事象には出会えない。イタリアだけじゃなくアメリカでもフランスでも事情は同じ。だからこそ、これほどディープに少数派コミュニティや裏社会に入り込んだ内田さんのノンフィクションは素晴らしいのだ。

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 『皿の中に、イタリア』(講談社)も含めて、内田さんのいろんな著書はそれぞれ10編ぐらいのお話がおさめられている。余分な説明的なところが一切なく、極めて簡潔に、必要十分な言葉だけでつづられた名文だ。それらの中には「あ、あの人だ」と気づく人たちが登場することがある。それはシチュエーションを変え、時間経過を変え、その人の別の側面を垣間見せる。それによって、また人間への理解が深まるのだ。
 これら3冊の著書を読み終わって、こんなことを考えた。珍しい事象、というのはとんでもなく遠いところにしかありえない、という考えは間違いだと。私たちの身の回りには、いっぱい奇妙で不思議な出来事が起こっている。でも何でも分かったつもりになっているだけなのだ。もっと言えば、より深く知ろうという意欲が薄れている=社会の老化現象?とでも呼べそうな時代になってしまっている。丁寧に、真剣に、物事に興味を持って生きないとなぁ、と思うのですが、いかがでしょうか。見るモノ聞くモノすべてが初体験で珍しく面白かった、子供のころのように。

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2015年11月16日 (月)

大英博物館の100のモノ

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 人類の歴史、その文化遺産のなかでも第一級のコレクションを有する大英博物館。今回の展覧会は、約700万点におよぶ収蔵品から選ばれた100点を展示する。それらは200万年の歴史の、ほんの断片にすぎない。しかし、ひとつひとつに込められた創造のエネルギーと偉大な情熱に感動を覚える。
 大英博物館のお宝のひとつが「ロゼッタストーン」。そのレプリカが展示されていた。古代エジプトの神聖文字(ヒエログリフ)と民衆文字(デモティック)、ギリシャ文字で書かれた石碑の一部。まさに知の歴史の金字塔、言語学発展のシンボルです。19世紀半ばにこれが解読され、古代エジプトの文化や歴史が解明される大きな転機になった。まぁ大げさにほめたわりには地味ですが・・・。

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 知らなかったモノですごく感銘を受けたのが、「ウルのスタンダード」。4500年ほど前のメソポタミア文明が生んだ謎の箱です。何に使われたのかはわからないけれど、贅沢なモザイクが施された美しい箱。いまも鮮やかな色が残っているのは驚異的だ。ラピスラズリなどの鉱物が使われているそうだ。
 200万年前の石器から古代文明の名品、中世や近代、現代の希少品にいたるまで、ガラクタの山からよくぞ宝物を見つけ出したものだ、と感心する。博物館というのは、モノを見る目が問われている。40年前に何を見たかまったく思い出せないけれど、今回は世界第一級の目=大英博物館を感じました。収集する。研究する。展示する。博物館のグローバルスタンダードです。

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100のモノが語る世界の歴史
大英博物館展
2015年9月20日(日)~2016年1月11日(月・祝)

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2015年11月12日 (木)

櫻正宗の蔵開き

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 へぇ正宗の元祖、ほぉ宮水の発見、ふ~ん協会一号酵母・・・と、華々しい実績を持つ櫻正宗。寛永二年(1625年)創醸という長い伝統を誇る蔵元なのです。その歴史は灘のみならずまさに日本酒の進化、品質の向上をリードしてきた歴史でもあります。恥ずかしい、知らなかった。その魚崎郷にある工場敷地で、今年も蔵開きが行われました。

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 今年の新酒「しぼりたて原酒」が振る舞われ、酒蔵見学会やピアノ弾き語りコンサート、櫻正宗9種類の有料試飲会、蔵開き限定の「しぼりたて原酒」吟醸生酒やオリジナルTシャツの販売など、多様なお楽しみが。焼きそばやたこ焼き、甘栗やポン菓子の屋台も並び、美酒佳肴の宴とあいなりました。老若男女思い思いに集って、酒ビンを運ぶプラスチックケースをイスとテーブルに飲みかつしゃべる。

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 酒蔵見学では特製の甘酒をごちそうになり、一本2万円という最高級酒も試飲(有料)させてもらって、すっかりほろ酔い、いい気分。おみやげにカッコいいジャパネスクデザインのロゴ入りTシャツと、この時しか買えない「しぼりたて原酒」を買って帰る。まことに結構な一日でございました。
 ワインだのウイスキーだのラムだの、エラそうに言うわりに、日本が世界に誇る清酒のことは何も知らない。これではいかん、と反省した秋の一日でもありました。
 

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2015年11月 9日 (月)

篠原奈美子のリスとウサギ

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 ピンク色のもごもごした物体! 波打つふさふさ! これは篠原奈美子の作品「Rainbow Risu」です。もったいぶった見せ方になりましたが、じつはFRP(繊維強化プラスチック)で作ったリスの彫刻。高さは2mあまりと巨大なリスで、しかも尾っぽを思い切りデフォルメしてデカくしているので、普通イメージするリスとは別物に見える。ピンクという色も、因幡の白うさぎじゃないけれど、皮をはぎ取られたようで妙に生々しい。いや、痛々しいと言ったほうが適切か。

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 尾のデフォルメに対し、顔や毛並はとてもリアル。そのアンバランスさが、可愛さを通り越して不気味な印象を与える。まるで100万年後の哺乳類のようです。つぶらな瞳は青や赤。「まぁ、リスってなんて可愛いの」、などといった類型的なモノの見方を冷たく拒絶しているかのよう。自分の眼でしっかり見なさい!とゲキを飛ばされている感じ。なにものも、なにごとも、固定観念を捨てまっさらな目で見てみると新たな発見や素晴らしい感動がある。いくつになっても教えられることばかりだ。

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 篠原のもう一つの作品がグランドホテル六甲スカイヴィラに展示してある。こちらはウサギ。作品名は「垂れ耳」。これも高さ150cmぐらいの巨大なウサギで、自慢の耳はなぜかダラリと垂れている。物憂げな眼、宇宙のかなたを凝視するかのように天を見上げた姿は、哲学者かそれとも故郷の月を見て悲しんでいる月からの使者か。私たちに身近なリスやウサギをモチーフに、奇妙な世界へ連れて行ってくれる篠原奈美子。新しいアートの可能性を感じました。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2015
2015年9月12日(土)~11月23日(月・祝)

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2015年11月 6日 (金)

噴水とベンチ、のような

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 六甲ガーデンテラスの見晴しスポットに噴水が。え、こんなところに噴水があったっけ? と近づいていくと、それは深尾尚子の作品「Fountain」でした。Photo_2 この鮮やかなブルーの噴水、そばで見るとビニールの散水ホースでできている。水を噴き上げる噴水が、水をまくホースでできている。
 関係ありそうでナンセンスなこのアイデア、どこかとぼけた味わいがある。意味とシンボル。本物とフェイク。クスッと笑えるこのアプローチ、もしかしたら人間の知覚に対する深~い洞察があるのかもしれない。あるいは、笑いの本質を形成する大きなファクターかもしれない。そう考えると、軽く笑い飛ばしてハイ終わり、とはいかなくなってきた。

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 六甲枝垂れの前庭には、ステキな色と質感のベンチが置いてある。いろんな大きさ、いろんな色に塗られた板切れを、たくさん貼り合せてできている。Photo_4 これらは森太三の「関係のベンチ」という作品。よく見ると、それぞれの板は角が取れたり色が剥げたり、長く使いこまれたような味わいがある。それぞれの木片に人間のぬくもりが感じられる。生活の断片、歴史の一コマが立ち上ってくる。そんな気がしてくる。
 これらはアート作品とはいえ、もちろんベンチだから座ることができる。そして座ればよりいっそう人間臭さが感じられる。ぜひゆっくり座って長い時間の流れや暮らしの記憶を、体験してみてください。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2015
2015年9月12日(土)~11月23日(月・祝)

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2015年11月 3日 (火)

阿寺渓谷の神秘の青水

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 信州奈川からの帰り道、木曽郡大桑村の阿寺渓谷(あてらけいこく)に立ち寄った。なんと美しい水! なんと神秘的な色! 村上龍さんじゃないけれど、限りなく透明に近いブルーじゃないか。国有林のレクリエーションの森に指定されている景勝地で、6kmあまりの渓谷に、淵あり滝ありの変化に富んだ景観が続く。そしてこの清流は木曽川にそそぐ。島木赤彦の歌碑も立っていました。
   山深く わけ入るままに 谷川の
   水きわまりて 家一ツあり

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 その随所につけられた名前がおもしろい。たとえば「犬帰りの淵」。その昔、里に住む猟師たちは犬を連れてこの谷に分け入り猟をした。しかしこの淵まで来ると、犬は険しい断崖絶壁を恐れて渡ることができず、仕方なく引き返したと語り継がれることから名付けられたそうだ。「狸ケ淵」はタヌキやキツネが化身の出来ばえを鏡代わりに映してみたからだ、と言われる具合。
 樹齢100年を超えるヒノキの美林に、ブナやカエデ、クヌギなどの広葉樹が混じった豊かな森。大正12年から昭和41年まで、伐った木材を運搬するために森林鉄道が活躍。鉄橋などその当時の遺構がいまも残っている。

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 水がエメラルド色に輝くのは、光の加減によるのだろうが、なんといってもベースは水の透明度が高いことに尽きる。 川底の石はもちろん、天然のイワナが泳いでいるのまでくっきりと見えた。紅葉は期待したほどじゃなかったけれど、この水の美しさは新緑のころや真夏にもまた訪れたいと思わせるインパクトがありました。
 そうそう、上流の湧水は「美顔水」と呼ばれ、この水を使うと見違えるほどの色白美人になるそうですよ。そちらにご興味がある方も、ぜひお出かけください。
 

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