あっけらかん、瞬間芸アート
現代アートで「瞬間芸アート」とでも呼びたいジャンルがある。六甲ミーツ・アートの、たとえば北川純さんのこの作品。タイトルは「六甲おろし器」です。六甲山麓に住む私たちにとって、夏は涼しく、冬は厳しく、山から吹き降りてくる地域独特の風「六甲おろし」は暮らしや文化の必需品。阪神タイガースの応援歌でもおなじみですね。
これをアーティストは「大根おろし器」によく似た巨大な「六甲おろし器」で創ろうとしたわけです。ま、これ以上の説明は不要でしょう。
ちょうど観に行ったとき、作者の北川さんが脚立に上がって何やら作業中。聞けば強い風で「おろし器」のギザギザが取れてしまったので補修している、とのこと。おろして(削って)風を生み出す部分が、風にやられるとは。これもまた自然の中の野外展示だからこそでおもしろい。
池のそばに立つとぼけた表情のロバ。三宅信太郎の作品、「ドンキー」です。見ているうちにトロイの木馬のように見えてきた。ヨーロッパではバカやのろまの代名詞のロバですが、荷物を運んだり人を乗せたり、ずいぶん役に立ってきた歴史がある。でも、なぜ六甲山に?などと不審に思ったり、意味を考えたりするのはナンセンス。理屈を越えたところに存在するアート、存在そのものがおもしろいアートは、受け手の瞬発力が問われる。一呼吸置いたらつまらなくなりますよね。
六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2015
2015年9月12日(土)~11月23日(月・祝)
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