斜面を転がり落ちるボール
芝生の斜面を転がり落ちる途中でストップモーションをかけられたような白木と黒塗りの2つの巨大な球体、と見えるアートはスガショウタロウ+SA の作品「Balls」。転がるエネルギーが満ちているのに、無理に止めている、その不安定さが動きを感じる所以でしょう。そしてこの球体の構造はバックミンスター・フラーのジオデシック・ドームを思わせる。作者のスガさんは建築家でもあるらしい。なるほど、そうなんですね。
見る方向を変えると黒いボールは白いボールの影のようにも見える。転がってくる巨大ボールから逃げなきゃ、と妄想していると、バスター・キートンの映画を思い出した。タイトルは覚えてないが、無表情に、でも必死で逃げるキートンのおかしみ、そして観客の大爆笑。 こんな非日常の世界を創造し観客の価値観を揺さぶるのが、優れたアート作品の条件です。平面作品も、立体作品も、映像作品も、サプライズのないものは芸術ではない。ただ美しい、ただおもしろい、だけでは足りないのですね。
六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2015
2015年9月12日(土)~11月23日(月・祝)
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