六甲ミーツ・アート 2015
六甲山の山上各所で開催されるアートイベントが今年も始まっている。ポスターやチラシに使われているのは、日野田崇の「世界を肯定する」。オルゴールミュージアムの庭に設置されている作品だ。これが主催者が考える今回の代表作だと考えて、まずこの作品からご紹介しましょう。
まだ幼い少年。何に驚いているのか、何にあきれているのか、何を恐れているのか。ポカンと呆けたように突っ立っている。たぶん世の中には理解できないことが多すぎるのだろう。自分の身の回りから徐々に外界へ。知れば知るほどわからなくなって途方に暮れる。そんな表情に見える。
TVからは殺人やテロ、自然災害や事故のニュースが連日放送される。純粋無垢な子供にとって、物心がつくにつれて見えてくるものはあまりにも過酷な現実社会。こんな世の中に生まれてきて、ここで大人にならなきゃいけないなんて。なぜ?と疑問に思っても、自分ではどうすることもできない。自分の存在に対しての漠然とした不安。
まわりには白と黒の渦巻き文様がいっぱい取り囲んでいる。まるでこの世にあふれる邪悪なものや過酷な災難のシンボルのようで、まがまがしい。子供という視点から見ると、時代の混沌や世界の不条理がよりはっきりと見えてくる。でも生きていかなければならない。そのためには楽観的に「世界を肯定する」しか選択肢はないのだろうか。う~ん、考えてしまいます。
六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2015
2015年9月12日(土)~11月23日(月・祝)
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