同時代、でも他人の時間
中之島の国立国際美術館で開催中の「他人の時間 TIME OF OTHERS」展。アジア(出身を含む)・オセアニアの若手アーティスト20人の展覧会だ。ジョナサン・ジョーンズ(オーストラリア)、ホー・ツーニェン(シンガポール)、アン・ミー・レー(アメリカ/ベトナム出身)、プラチャヤ・ピントーン(タイ)などが、写真、映像、立体、インスタレーション・・・それぞれの技法で表現した作品が、現代を生きる私たちが自己と他者との関係性を考えるきっかけを与えてくれる。といっても、そんなめんどくさい理屈は考えず、純真な気持ちで作品に向き合えばいい。とてもおもしろいです。
インターネットやSNSなど情報化の進展とグローバリズム。人と人との距離は狭まり世界は急激に狭くなった、同質化した(あるいはそうなるだろう)。と、楽観的に考えていたけれど、どうもそうじゃないみたい。どこまでいっても他人は他人。むしろ奥深いところの小さな差異がよりはっきり見えてきて、それが超えようのない高い壁なのだ、と気づかされる。そんな時代をアーティストはどうとらえ、どう表現するのか。
個人の資質はもちろん、育った環境、民族、歴史、文化、価値観の違いによって、同じ景色や事象を見てもずいぶん隔たりがあるだろう。でも差異を認めるところから、理解は始まる。ムリして壁を越えなくてもいい。そこに人間の不思議も魅力も凝縮されているのだから。
TIME OF OTHERS 他人の時間
国立国際美術館
2015年7月25日(土)~9月23日(水・祝)
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