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2015年9月

2015年9月27日 (日)

君の名は「ツタンカーメン」

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 「君の名は?」・・・栄町のギャラリーPAXREXにて、奥脇孝一氏の「HANA展」を開催した時、その作品のモデルとなったHANA(花)たちの名前にちなんで、こんな題名のブログを書きました。その中の一つに「ツタンカーメン」と言う名のお花がありました。
 ツタンカーメン? はい、まさにかの有名なエジプト王のお墓から、副葬品としてその種は取り出されました。で、撒いたら芽が出て、花が咲いた。だから「ツタンカーメン」。あのブログを書いたのは8年以上も前・・・ でもそんなことを言ったら、それこそ「ツタンカーメン」に「へん!」って言われそう。だって数千年も地下の奥深く眠っていたんですものね。人間社会で言うところの十年一昔を、いったい何度繰り返して、この世に蘇ったのか。
 日頃、目にする花たちに私たちは「かわいい!」とか、「きれい!」とか賛辞を贈る。その花に癒される。時に涙ぐむほどの感銘を受ける。でも花たちの考えていることはただ一つ。精一杯命を長らえて、そして子孫を残す! そのために、美しい色や匂いをまとって虫や蝶をおびき寄せる。風に我が身をなびかせて種を遠くに飛ばす。あの手、この手で一心不乱に使命を全うする。奥脇氏の作品「ツタンカーメン」はまさに、そんな花の強さやしたたかさを伝えていると、久々にこの作品を鑑賞して改めて思いました。
 実はこの「ツタンカーメン」、私に8年前のブログの記憶を思い出させて下さった方の新居に飾られます。私は嬉しくて、思わずそこで繰り広げられるかもしれない、ご家族の会話を想像してしまいます。 「ねえ、これはお花?」 「そうよ、ツタンカーメンって名前なのよ」 「ふ〜ん?」 何気ない会話の中から伝えられていく想い、心に残るワンシーン。
 秋から冬へ・・・ 幾つもの季節を繰り返しながら日々の営みに一喜一憂しながら、それでもぶれる事のない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を、私もまた持ち続けたいと願うばかりです。

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2015年9月24日 (木)

ロボットらしさとはなんだろう

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 「ROBOTINITY」は「HUMANITY」に対応してつくられた造語。「人間性」に対する「ロボット性」という概念だそうです。梅田のグランフロント北館、ナレッジキャピタル2Fで開催中のロボット性を考える展覧会が興味深い。
 遠目では人間そっくりのホームレスロボットが人混みを歩く。それがロボットだと気付いた人たちの反応を記録した映像が流されている。彼(?)はお祭りやイベント会場で自由に歩き回り、まわりの人に反応することができる。あきれる人。苦笑する人。お金を恵んでもらったり、ショッピングセンターで逮捕されたことさえあるそうだ。きわめて「人間的」なエピソードだ。

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 ロボットといえば、工場で働く溶接ロボットや医療用のロボットアーム、そしてネット社会で使われる検索ロボットなどだと思っていた。しかし鉄腕アトムなどSF世界限定の住人が身近に活躍する時代が、ほんのそこまで来ているようだ。自ら学習し「自律的」に動く。人工知能やセンサーやモーターなどの進歩で、さまざまな作業を経験を積み重ねながら能力を高めていくロボット。そんな「人間的」なロボットたちと私たちはどう付き合っていけばいいのでしょうか。『ロボットらしさ』を考えることは、近未来を幸せに生きる倫理を考えることのようです。

The_lab

ROBOTINITYY
ロボットらしさとはなんだろう展

2015年7月30日(木)~10月4日(日)
グランフロント北館 2F
The Lob. みんなで世界一研究所

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2015年9月21日 (月)

もっと鹿肉を食べましょう

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 兵庫県中央部の東寄り、丹波市柏原にその鹿肉料理店はある。『無鹿(むじか)』、知らなかったけれど鹿料理専門店のパイオニアとしてかなり有名なようだ。立派なお庭のある古民家を改装したレストランです。
 前菜から鹿肉のさまざまな部位が使われている。すじ肉のトマト煮やレバーのムース、スネ肉のスライス。そして地元の新鮮なセロリ、レンコン、ゴーヤ、かぼちゃ、豆などが使われている。丹波の野菜は味が濃くてとてもおいしい。スープはピーマンの冷製。うーん、この店のシェフはただ者ではない。

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 メインは鹿ロースの蒸し焼き・赤ワインソースを選ぶ。この皿には骨付きスペアリブの竜田揚げやタン、黒豆入りミートローフが添えられている。もちろんすべて鹿肉。しかもどの料理も洗練されていて素晴らしい。ちょっといい田舎の料理屋さん、と思って訪れた自分が恥ずかしくなりました。今回は食べなかったけれど、鹿モモの山椒焼きや鹿モモの低温ローストなど、そそられるメニューがズラリ。きっとリピーターになるでしょう。

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 いま全国的に鹿が増えすぎて困っているそうだ。とくに林業関係者は大変だ。せっかく植えた木の新芽や樹皮をすっかり食べられて、枯らしてしまうという。いちばんの原因は天敵のニホンオオカミが絶滅したこと、そしてハンターの高齢化(後継者不足)による捕殺数の減少。解決策はもっと鹿肉を食べること。適切に処理された鹿肉は、臭みはまったくなくおいしい。そして低脂質、高タンパク、ミネラル豊富で、美容・健康にいいヘルシーミートだそうですよ。山や畑を守るためという義務感ではなく、単純においしいから食べる。そんな人、そんな店が増えるといいなと思います。(人間って勝手だなぁ)

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丹波の野菜と鹿料理の店
『無鹿(むじか)』 水曜定休
兵庫県丹波市柏原町659
Tel. 0795-73-0200

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2015年9月18日 (金)

ラオスの手作り布展

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 丹波の篠山市で、前川佐知さんの『手作り布展』が開催されている。「ラオス・田舎のお母さんたちと一緒に作った」とサブタイトルにあるように、前川さんがラオスの少数民族の女性たちといっしょに作った布を日本で展覧会を開き、販売もしている。聞けば、ラオスでの生活はもう十年になるそうだ。毎年ラオスが雨季になる6月から10月は日本に帰るという。雨季は農作業が忙しくなり、現地のお母さんたちは布作りをする時間がないからだ。

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 ラオスには大きく分けて四十八の民族がいるそうだ。細かく分けだすと大変な数になるらしい。そのそれぞれが独自の言語や文化を持ち、だから織り方や染め方、刺繍の柄も独特の衣装を身に着けていた。多様性は端的にファッションに現れていたのだ。いまはシャツなどの洋服を着るようになったが、お祭りなどの晴れ着としてはしっかり残っている。
 彼女が教え教えられともに作業をしているのは、高地に住むヤオ族やアカ族、モン族など少数民族の女性たち。こういう人たちの中にこそ、貴重な染織の技術が残っているそうだ。これら手作りの布が日本での展示で売れれば、お母さんたちの収入にもなる。

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 ここに展示されている布は、綿花の種をまくところから始めたものだ。もちろん無農薬。糸を紡ぎ草木の樹液で染め、機械ではなく手で織って布にする。だから工場生産の均質さはない。ひとつひとつが個性的で温かい手触りがある。不揃いが美しい質感を生み出している。私たちが忘れてしまった大切なものがここにはあります。
 前川佐知さんに教えてもらったラオス基礎知識をいろいろご紹介してきました。まぁ、ほとんど受け売り。彼女は、「この人たちもいろんなことを知って生活は便利になってきたが、もともとの良さが失われるのを見るのは悲しい」と語っていた。まったく同感です。でも便利さに慣れてしまった私たちは、どうこう言える立場にはない。彼女はすべて承知の上で、またラオスに通うのだと思います。

ラオス・田舎のお母さんたちと一緒に作った
『手作り布展』
2015年9月12日(土)~23日(水・祝)
10時~18時
兵庫県篠山市大沢147 古杉邸
090-3169-6686

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2015年9月15日 (火)

木曽川源流は太古の森

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 水木沢天然林という森林浴にぴったりの森がある。樹齢200年以上のヒノキ、サワラ、ネズコ、ブナ、トチノキ、ミズナラ、ウラジロモミなど、針葉樹と広葉樹が混ざった美しい天然林。同じ木曽郡にある、かの有名な上松町の赤沢自然休養林より素晴らしい、と個人的には思っています。

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 奈川から峠を越えると木祖村。ここにある水木沢は、長野県から岐阜県、愛知県、三重県を流れ伊勢湾にそそぐ木曽川の源流の一つ。このエリアに「原始の森」と「太古の森」、そして新しく開かれた「源頭の森」という3つのトレッキングコースが整備されている。どのコースも渓流と巨木、倒木の根っこなど、ちょっと他の山では見られない深山幽谷の景観が楽しめる。もちろん空気はスペシャルにおいしい。きっとフィトンチッドやマイナスイオンが充満しているのだろう。(どちらも最近あまり言われなくなったが)

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 ただしこの辺りは熊が多い。入り口の管理棟では熊除けのリンを貸してくれる。またコースには100mおきぐらいに熊除けの鐘が設置してある。そこには『この鐘をならすのは あなた』と書かれた札が。またコース表示板の欠けたところには『熊がかじった跡』とマジックで手書きされていたりする。かじったのか鋭い爪で引っかいたのかはわからないが、生々しい傷跡です。ま、リンの効能か、幸いにしてまだ出会ったことはありませんが。

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 管理棟が標高1,223m、最高地点が1,565m。何度も登り下りを繰り返す少しハードな場所もあるコースですが、3コースをすべて歩いても4~6時間。(脚力によります) ほんとに気軽に四季折々の美しさを楽しめる水木沢天然林。機会があればぜひお出かけください。ただし『源頭の森コース』は、5月中旬から11月中旬まで入林可。単独での入林は禁止。正午以降は入林禁止。ご注意ください。

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2015年9月12日 (土)

小布施といえば北斎でしょ

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 栗だけではありません。小布施は葛飾北斎が晩年に何度も訪れて、素晴らしい肉筆画をたくさん残していることでも有名です。当時の小布施は繁栄をきわめ、文人たちのパトロンになる人も多かったようだ。それにしても80代半ばを過ぎて、はるばる江戸から足を運んだ北斎のエネルギーには驚きます。もちろんクルマも新幹線もない時代。雨の日も風の日も、峠を越え川を渡り、自分の足で歩くしかない道中。大変だったと思います。

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 北斎館では、「シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵 美の競艶」という展覧会が開かれていた。北斎の『美人愛猫図』をはじめ喜多川歌麿や菱川師宣、歌川豊国、河鍋暁斎などが絹や紙に描いた一点物の美人画を、まとめて観るいい機会でした。そして隣りの展示室では、北斎が天井画を描いた祭屋台が二基展示されている。東町祭屋台の「龍」と「鳳凰」は85歳の作、上町祭屋台の「男浪」と「女浪」の怒涛図は86歳の作品だという。

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 街の中心から少し離れた岩松院には、本堂に21畳の大きさの天井画「八方睨み大鳳凰図」が残されている。北斎88歳の大作で、老年とは思えない力強さがみなぎっている。保存環境がよほど良いのか、赤、青、緑などの美しい色が鮮やかに残っていて感動します。
 この岩松院の庭の池で、句会に訪れていた小林一茶が「やせ蛙 まけるな一茶これにあり」と詠んだそうで、石碑が建っている。歴史と文化のお寺だ。いまもこれらの伝統を引き継いで、小布施は文化の香りがする美しい町です。リピーターが多いのはおいしい栗だけではないのですね。 

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2015年9月 9日 (水)

小布施といえば栗ですね

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 信州の北のほう、小布施は奈川からクルマで2時間弱。長野県でリピーターのいちばん多い町だそうです。たしかに、しっとり落ち着いた和風の美しい街並みです。そして小布施といえば栗が有名。とくに小布施堂には季節限定の料理とお菓子を目指して全国から観光客が訪れる。

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 本店レストラン、今月の季節のお料理は、「山海のきのこ」「栗の茶巾絞り」「秋の吹き寄せ」「栗強飯」「無花果のゼリー寄せ」そして今月の栗菓子「雁の山」と抹茶。どれも上品で絶品。なかでもこの季節だけの生栗を生かしたお料理は、世界の最高峰の味覚だと思う。栗のお菓子や料理の店がたくさんありますが、ここ小布施堂は別格だ。

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 今年は9月10日から10月19日の間だけ提供される「朱雀」という栗の点心があるそうだ。これは買って帰ることはできない。この短い期間にここのお店で出来たてを食べるしかない。それほど新鮮さが生命のお菓子のようである。これはなんとしてももう一度訪れて「朱雀」を食べてみなきゃ、と思ってホームページを見ていると、朱雀特別コースは『ご好評につきご予約は終了しました』。 エッ、 ウソでしょ!

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2015年9月 6日 (日)

ペルフェット! ジーノの家

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 こんな面白い本が出ていたなんて! あぁ知らなんだ、あぁ不覚。発行されてから4年、文庫化されてからも2年。たまたま見かけて読んでみたら、完璧にノックアウトされました。内田洋子さん、あなたはスゴイ! ペルフェット、パーフェクト、完璧。何年も時間をムダにしてしまった感じです。
 内田洋子著『ジーノの家』(文春文庫)、サブタイトルに「イタリア10景」とある。それだけ聞くと、淡々としたあまりドラマチックな展開もない、上品なエッセイ集かと思うでしょ。ところがどっこい、これがあっと驚くような展開を見せるのだ。短編小説の名人が数ある自身の傑作から厳選しても、これだけの10作を集めるのは至難の技だろう。しかも、これは小説=フィクションではなく随想なのだ。内田さんが実際に体験したことなのだから。すごいことです。

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 イタリア関連の本はけっこう注意しているのに、今まで気付かなかったのは本当にうかつでした。文章の美しさ、品格では須賀敦子さんに匹敵する。それでいてネタははるかに面白いんだから。すでにいっぱい出版されているので、これから次々と読んでしまいそうです。で、まずは『皿の中に、イタリア』(講談社)を買ってまいりました。

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2015年9月 3日 (木)

同時代、でも他人の時間

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 中之島の国立国際美術館で開催中の「他人の時間 TIME OF OTHERS」展。アジア(出身を含む)・オセアニアの若手アーティスト20人の展覧会だ。ジョナサン・ジョーンズ(オーストラリア)、ホー・ツーニェン(シンガポール)、アン・ミー・レー(アメリカ/ベトナム出身)、プラチャヤ・ピントーン(タイ)などが、写真、映像、立体、インスタレーション・・・それぞれの技法で表現した作品が、現代を生きる私たちが自己と他者との関係性を考えるきっかけを与えてくれる。といっても、そんなめんどくさい理屈は考えず、純真な気持ちで作品に向き合えばいい。とてもおもしろいです。

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 インターネットやSNSなど情報化の進展とグローバリズム。人と人との距離は狭まり世界は急激に狭くなった、同質化した(あるいはそうなるだろう)。と、楽観的に考えていたけれど、どうもそうじゃないみたい。どこまでいっても他人は他人。むしろ奥深いところの小さな差異がよりはっきり見えてきて、それが超えようのない高い壁なのだ、と気づかされる。そんな時代をアーティストはどうとらえ、どう表現するのか。
 個人の資質はもちろん、育った環境、民族、歴史、文化、価値観の違いによって、同じ景色や事象を見てもずいぶん隔たりがあるだろう。でも差異を認めるところから、理解は始まる。ムリして壁を越えなくてもいい。そこに人間の不思議も魅力も凝縮されているのだから。

TIME OF OTHERS 他人の時間
国立国際美術館
2015年7月25日(土)~9月23日(水・祝)

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