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2015年8月22日 (土)

Y字路で、イメージの宝探し

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  Y字路シリーズに限らず、横尾忠則さんの作品にはいろんなイメージの断片がいっぱい描き込まれている。そして、画面に見える断片の裏から湧き上がってくる観客個々人の記憶、あるいはイマジネーションのゆたかさによって、その作品の評価は大きく変わる。「うまい!」が評価基準からいちばん遠いアーティストなのだ。観た人にとっては「おもしろい!」か、「つまらない」かしかない。それも「おもしろい!」の中身は千差万別。つまり一つの作品が、一万人の観客との共作によって一万点の作品となって世の中に存在する、ということだ。

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 これは映画や音楽の含め、あらゆるアート作品に言えることだが、これだけ恣意的に作品を作っているアーティストはほとんどいないでしょう。作品タイトルを『無題 Untitled』として、作者の意思を押し付けませんから自由に観てください、という作品も多い。「こんなの作りましたけど、よかったら見てください(いい作品かどうか私はわかりませんけれど)」。これではちょっと無責任だと私は思う。横尾作品がこれらと本質的に違うのは、観客が自分自身の記憶や想像の世界へ入り込むスイッチを、そこら中にいっぱい用意している点だ。だから私たちは砂山で宝探しに夢中になる子供のように、スイッチを探し求め自分だけの世界へ浸る。

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 人間の不思議、脳の神秘、物質的な肉体を超越した精神世界を信じている人にしか描けないアート作品だ。右か左かパキッと別れるT字路ではなく、少しの違いに見えた道が、先に行けばまったく異次元の宇宙にまで迷い込んでしまいそうなY字路。
 このシリーズから魔性の闇も日常のすぐ隣り合わせにあることを知る。生と死も隣り合わせ。知らないから、といって恐れることはない。人生は(あるいは死後の世界も)とても興味深くておもしろい。そんな気がしてきました。

開館3周年記念展
横尾忠則 続・Y字路
2015年8月8日(土)~11月23日(月・祝)
Y+T MOCA 横尾忠則現代美術館

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