また光に出会ったY字路
「黒いY字路」シリーズから、また明るい光の世界へ・・・。
それを見たのはヨーロッパに飛ぶ飛行機の中だったそうだ。緑に輝く極光=オーロラ。横尾さんの作品には以前よく滝のイメージが現れていた。滝は自然の美しい景観、というより超自然現象のシンボルとして描かれていたように思う。神秘的なパワー、世界を浄化する霊力。横尾さんにとって自然界からのインスピレーションの素としては、このオーロラが滝に続くたいせつなモチーフになったと思う。今後の作品にも繰り返し現れることでしょう。
オーロラのY字路シリーズの中で興味深い一作がある。自分自身の絵を描く意味を、線路の枕木のあいだに書いている絵だ。
何を描くかではない。 It's not what to paint.
如何に描くかでもない。 It's not how to paint.
如何に生きるかだ。 It's how to live.
横尾さんにとって、描くテーマ、表現の技法、スタイルなどはそんなに大事ではない。その時その瞬間に感じたこと、考えたことを柔軟にカンヴァスに写し取ることがこそ絵画制作なのだ。だから、どう生きるかがとても大切なのだと思う。横尾作品は、まさに彼が生きた痕跡。これから創る作品がどうなっていくか、彼自身もわからないだろう。私たちは現在進行形のアーティストをウオッチする。それこそがアート鑑賞の魅力なのだ。
開館3周年記念展
横尾忠則 続・Y字路
2015年8月8日(土)~11月23日(月・祝)
Y+T MOCA 横尾忠則現代美術館
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