HaaT テキスタイル展
梅田の阪急百貨店9F、阪急うめだホールで素晴らしい展覧会が開かれている。2000年にスタートした ISSEY MIYAKEのブランド「HaaT」の15年にわたるアーカイブのなかから、日本で作る独創的なテキスタイルを使った服や小物を厳選して展示。産地の作り手とともに開発したその素材や技法を詳しく説明するというとても興味深い企画です。
このブランドの中心はテキスタイルデザイナーの皆川魔鬼子。もちろんファッションブランドなのでスタイルやフォルムは大切だけれど、このHaaTは素材そのものの美しさやおもしろさが前面に出ている。そしてそれが他のどのブランドにもない独自の美学を生み出している。
皆川さんは三宅一生さんのPLEATSの素材開発のため、北陸の織屋さんに何度も通って伝統技術を持つ職人と対話しながら、イメージ通りの生地の完成を目指していたのが強く印象に残っている。もうずいぶん前のドキュメンタリーTV番組だ。今回のHaaTが「テキスタイルから発想する」ブランドとして立ち上げられたのは、皆川さんの才能あってのことだろう。
織、丸編、横編、絞り、板締め、刺繍、ウール縮絨、レース、先染、泥染・・・もうあらゆる技法を駆使して創りだされる素材そのものが、美しい表情を持つアートだ。それら熟練の手仕事から生まれたモノたちは、たんなるマテリアルではなく魂がこもったあたたかい衣。大量生産では決して生まれない絶大な存在感がある。
あぁ、体を包む衣服って本来はこうなんだ!と納得できる、とても感動的な展覧会。これからファッションの世界で仕事をしようという人は、ぜひ見ていただきたいと思います。
「Heart in Haat」テキスタイル展
阪急うめだホール
2015年8月14日(金)~22日(土)
| 固定リンク
「展覧会情報[2015]」カテゴリの記事
- 横尾忠則、「幻花」の挿絵展(2015.12.26)
- 大英博物館の100のモノ(2015.11.16)
- 篠原奈美子のリスとウサギ(2015.11.09)
- 噴水とベンチ、のような(2015.11.06)
- これが楽器だって!?(2015.10.25)
コメント