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2015年7月 8日 (水)

舟越 桂、永遠を生きる人物

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 静謐で瞑想的、と形容されることが多い舟越 桂の彫刻。穏やかにどこか遠くを眺めているような人物たち。ご覧になって強く印象に残っておられる方も多いと思う。いま兵庫県立美術館で開催中の『舟越 桂 - 私の中のスフィンクス - 』展では、最新作を含めた30点の彫刻作品と、数十点の素描や版画作品を一度に見ることができます。
 ここにはいない、あそこにもいない、もしかしたらどこにもいない。しかしどこにでもいる、そんな人物像の数々。古い聖堂に身を置いたような厳粛で清々しい気分になる作品群を、ぜひご堪能ください。

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 1951年生まれ、現代日本を代表する彫刻家・舟越 桂は、楠を材料にした木彫に彩色し大理石の玉眼をはめた独自のスタイルで有名になった。超リアルだけれどどこか現実離れした不思議な人物像。私にはビザンティン文化の世界観に似ているように思える。東洋でもない。西洋でもない。そして近代主義に侵される以前の世界。科学も、魔法も、哲学も、神学も、すべて同列に論じられていた時代。生と死がもっと近く、この世とあの世がつながっていたころの人間は、きっとこんな顔をしていたのでしょう。永遠を生きることができた時代の人たち。

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 ビザンティンと思ったのは私の無知で、古代エジプト人や古代ギリシャ人も、マヤやインカの人々もこんな世界観を持っていたのだろう。ということは、科学技術が発展し経済学が進歩した近代以降の(つまり私たちの)価値観が、人類の歴史においては極めて少数派で、現代社会は特殊な進化を遂げたガラパゴスなのかもしれない。
 こんな妄想を膨らませるのは、舟越の作品が静かだが強烈な磁力を発散しているからだ。百の言葉よりはるかに強い沈黙。こんな表現もあるのだ。

舟越 桂 私の中のスフィンクス
兵庫県立美術館
2015年6月27日(土)~8月30日(日) 

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