« 西地中海をクルーズしてました | トップページ | ヨーロッパ地中海文明博物館 »

2015年6月26日 (金)

マルタのカラヴァッジョ

Photo_5
 マルタ共和国の首都ヴァレッタは街全体が堅固な城壁に囲まれている要塞都市だ。聖ヨハネ大聖堂はその中心部、世界遺産に指定されている歴史地区にある。ここにはカラヴァッジョの傑作を見るために、世界中からたくさんの観光客が訪れます。ここの目玉は361×520cmというカラヴァッジョ最大の傑作『洗礼者ヨハネの斬首』と『執筆する聖ヒエロニムス』の2作品。
 『洗礼者ヨハネの斬首』は唯一サインの入った作品としても知られている。なんと首を切られたヨハネの流血で床にサインを描いている。人物を左下に集めた構図、光のあて方でドラマチックに主題を表現するスタイル。これは近代絵画の元祖のようです。

Photo_6
 ローマで名声を博したカラヴァッジョは殺人を犯して逃げていく先々でも多くの傑作を残している。ナポリ、シチリア、そしてこのマルタ。光と影を極端に強調した劇的な表現を作り上げ、レンブラント、ルーベンス、ベルニーニ、ラ・トゥールなど、後のバロック美術の巨匠たちに大きな影響を与えたカラヴァッジョ。天才画家としての評判と天性の乱暴者としての悪名に包まれた波乱の人生、それもわずか38年の生涯でした。神さまはある分野にだけ特別な天才を与えると、それ以外はどうでもよくなって雑な人間をつくり出すのでしょうか。音楽の世界ではモーツァルトがそうであるように。

Photo_7
 マルタのカラヴァッジョは、クルーズに参加する大きな目的でした。でも期待もしていなかったところでカラヴァッジョを観たのです。それはジェノヴァ。これも世界遺産の歴史地区にあるパラッツォ・ロッソ(赤の宮殿)でのことでした。『この人を見よ』。ローマ総督ピラトはキリストを死刑にする気がなく、鞭打ったあとで「(もうこれで十分だろう)この人を見よ」とユダヤ教の祭司や民衆に語りかけた。しかしピラトの思惑は外れ、ユダヤの人々は「磔にしろ」と叫んだ時の瞬間が描かれている。この素晴らしい作品を、予期せず出会えて幸せでした。

|

« 西地中海をクルーズしてました | トップページ | ヨーロッパ地中海文明博物館 »

アート雑記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/180264/61781305

この記事へのトラックバック一覧です: マルタのカラヴァッジョ:

« 西地中海をクルーズしてました | トップページ | ヨーロッパ地中海文明博物館 »