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2015年6月

2015年6月29日 (月)

ヨーロッパ地中海文明博物館

Mucem
 マルセイユは列車で通過したことがあるだけで、街を歩くのは初めてだ。ブイヤベースとジネディーヌ・ジダンしか知らなかったが、一緒に旅行した友人が導いてくれたおかげでとてもステキな体験ができた。マルセイユの新名所・ヨーロッパ地中海文明博物館Musee des Civilisation del'Europe et de la Mediterraneeを見てきました。
 略称MuCEM、とてもよくできたネーミングでしょ。中の展示は見なかったけれど、建築が素晴らしい。建築家リュディ・リッチオッティの設計で、サン・ジャン要塞のあたり一帯を再開発したうちの中心施設なのだ。古い石造りと絶妙に調和する現代アートのような建築。まるで黒いレース編みで覆われたような建物が、海に浮かんでいる。世界の街でさまざまな再開発が行われているが、ここはもっとも美しくそして成功している例ではないだろうか。
 

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 サン・ジャン要塞から鈍い鉛色のシンプル・モダンな橋を渡り、MuCEMの屋上テラスへ。外壁の延長がテラスのまわりの屋根になっている。これだけで十分日よけの役割を果たし、爽やかな風が吹き抜けて日向よりずっと涼しい。床には影が美しい模様を描いている。このパターン、地中海の波を表しているのでしょうか。雨の多い日本だと屋根や壁が透けているような構造はあり得ないが、ここは乾燥気候の地中海。そんな心配は要らないのだろう。
 素材は鉄か鉛か、重い金属でできているのだろうと思っていた。橋の手すり&横壁を叩いたら硬いし。でも後で調べると、超高強度繊維補強コンクリートでできているらしい。名前を聞いてもどんなものなのかよくわからないけれど・・・。構造や素材は何であれ、建築がここまで感動を与えてくれるなんて久しぶりの体験。またゆっくり訪れたい場所ができました。
 

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2015年6月26日 (金)

マルタのカラヴァッジョ

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 マルタ共和国の首都ヴァレッタは街全体が堅固な城壁に囲まれている要塞都市だ。聖ヨハネ大聖堂はその中心部、世界遺産に指定されている歴史地区にある。ここにはカラヴァッジョの傑作を見るために、世界中からたくさんの観光客が訪れます。ここの目玉は361×520cmというカラヴァッジョ最大の傑作『洗礼者ヨハネの斬首』と『執筆する聖ヒエロニムス』の2作品。
 『洗礼者ヨハネの斬首』は唯一サインの入った作品としても知られている。なんと首を切られたヨハネの流血で床にサインを描いている。人物を左下に集めた構図、光のあて方でドラマチックに主題を表現するスタイル。これは近代絵画の元祖のようです。

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 ローマで名声を博したカラヴァッジョは殺人を犯して逃げていく先々でも多くの傑作を残している。ナポリ、シチリア、そしてこのマルタ。光と影を極端に強調した劇的な表現を作り上げ、レンブラント、ルーベンス、ベルニーニ、ラ・トゥールなど、後のバロック美術の巨匠たちに大きな影響を与えたカラヴァッジョ。天才画家としての評判と天性の乱暴者としての悪名に包まれた波乱の人生、それもわずか38年の生涯でした。神さまはある分野にだけ特別な天才を与えると、それ以外はどうでもよくなって雑な人間をつくり出すのでしょうか。音楽の世界ではモーツァルトがそうであるように。

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 マルタのカラヴァッジョは、クルーズに参加する大きな目的でした。でも期待もしていなかったところでカラヴァッジョを観たのです。それはジェノヴァ。これも世界遺産の歴史地区にあるパラッツォ・ロッソ(赤の宮殿)でのことでした。『この人を見よ』。ローマ総督ピラトはキリストを死刑にする気がなく、鞭打ったあとで「(もうこれで十分だろう)この人を見よ」とユダヤ教の祭司や民衆に語りかけた。しかしピラトの思惑は外れ、ユダヤの人々は「磔にしろ」と叫んだ時の瞬間が描かれている。この素晴らしい作品を、予期せず出会えて幸せでした。

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2015年6月23日 (火)

西地中海をクルーズしてました

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 西地中海を旅行していたので、しばらくブログを更新しませんでした。Wi-Fiは使えるのですが衛星回線を使用しているため、つながりにくかったり遅かったりで環境があまりよくない。のんびりするのが目的のクルーズ船の旅でイライラするのも嫌なので、ブログはサボることに。(すみません) 船はバルセロナ、マルセイユ、ジェノバ、ナポリ、バレッタ(マルタ)、マヨルカ、バルセロナと地中海の西部を巡ります。そしてどの港でも乗船する人、下船する人がたくさんいてクルーは忙しい。

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 船の旅は寝ている間に別の都市に着いている。荷物の詰め替えが要らない。そんな気軽な理由から、最近お客さまが増えているようだ。劇場でショーを楽しんだり、カジノで稼いだり(?)、いくつもあるカファエやバーで時を過ごしたり。さらにスポーツジムやエステ、図書館で自分を磨いたり。飽きさせない仕掛けが満載です。そして船は海に沈む夕陽を拝む絶景ポイントでもあります。

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 船はおよそ14万トンの巨大客船。バルセロナから乗船です。午後3時過ぎにチェックインして、街をぶらつくために一度船を降ります。買い物したりバルで飲んだり食べたりして船に戻ったのが夜10時前。思ったより遅くなりました。日本より北にあるのとサマータイム実施中で時間が1時間すすんでいることから、驚くほど日が長い。(感覚がまだなれていません) よってこの日は船でのディナーはパス。そして出航は夜11時。いよいよクルーズの始まりです。最後尾のキャビンなのでデッキが広々。船内の探検は明日から、ということにして就寝しました。
 

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2015年6月10日 (水)

播州織を見る、触る、買う

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 ここ数年来、JAPANの伝統技術、製品の良さが見直されてきた。職人の技に若いデザイナーのセンスが加味されて、世界に通用するモノづくりが全国各地で進められているのは素晴らしいことです。そんな新時代のMade in JAPAN、JIMOTO madeの優品が兵庫県西脇市の播州織。肌触りが良くてやさしい色味。三宮の国際会館の地下にも展示コーナーがあって、ちょっと注目していました。もっと詳しく知りたくて、ひとっ走り見に行ってきました。

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 その昔、織物工場だったノコギリ屋根の建物が『播州織 工房館』として再利用されている。この工場で使われていた古い織機が展示されている。今も現役でときどき実演も見られるらしい。Photo_4 地元のいろんな工房が作ったスカーフ、シャツ、帽子、バッグ、手ぬぐい、扇子、財布などの小物が展示販売されるコーナーは、宝探し的なおもしろさで飽きさせません。なかにはトータス松本さんのデザインによる播州織のジーンズなんてものも。松本さんはここ西脇の出身だとか。
 ハギレや糸だけでも買えるので、手作り派の方にもとても喜ばれているそうです。シャツ生地や厚手の帆布、二重ガーゼや柿渋染め。若いセンスでよみがえった播州織のアトリエショップで、歴史と新時代の風を感じてみてはいかがでしょうか。


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播州織 工房館
兵庫県西脇市452-1
10時~17時 月曜定休
 

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2015年6月 7日 (日)

NYマダムのおしゃれスナップ

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 おばあちゃん!カッコいい! 「おばあちゃん」と呼んだら叱り飛ばされそうな、さっそうと現代を生きるご婦人方。年齢相応に、なんて地味に控え目にするなんて馬鹿らしい。オシャレの経験をたっぷり積んだからこそできる、チョー個性的な装いの女性がずらっと登場します。全員60歳以上。80代、90代もいっぱいいらっしゃる。 それがみんなよく似合っている。さすが、ニューヨーク。いま、そごう神戸店でアリ・セス・コーエンの写真約150点を集めた『NYマダムのおしゃれスナップ展 Advanced Style』が開催されています。
 ここには老後とか介護とか、ネガティブな雰囲気はいっさいない。いまを楽しく前向きに生きる輝く瞬間が、コーエンのカメラで見事に切り取られている。

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 「人生の劇場のために毎日着飾るの。永遠に終わらないショーよ」。「着飾ることは癒し、個人的な創造。身体を土台にして作品を作り上げるの」と、それぞれのマダムのファッション観もまた個性的。老齢をたそがれ時ととらえるか、人生の成熟期と考えるか、なんて疑問すら浮かばないぐらいチャーミングなのです。とても可愛いのです。私たちも見習いたいと心底思いました。Photo_2
 自分だけの本当のオシャレが楽しめるのは高齢者ならでは。長い間に培われたセンスとオシャレ知識の蓄積が花開く、自分ファッションの集大成へ。さぁニューヨークのマダムに負けずに、思いっきりおしゃれを楽しみましょう。きっとまわりの人も明るく元気になるはずです。

アリ・セス・コーエン
NYマダムのおしゃれスナップ展

そごう神戸店 本館9階
6月4日(木)~6月10日(水)

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2015年6月 4日 (木)

卯の花と山法師とカッコウ

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 松尾芭蕉が福島県の白河の関を超えたのは、今ぐらいの季節だったのでしょうか。『奥の細道』にこんな記述があります。ちょっと長いですが引用します。ここでは芭蕉ではなく、弟子の曽良の句が載せられている。

 心許なき日かず重るまゝに、白川の関にかゝりて、旅心定りぬ。いかで都へと便求しも断也。中にも此関は三関の一にして、風騒の人、心をとどむ。秋風を耳に残し、紅葉を俤にして、青葉の梢猶あはれ也。卯の花の白妙に、茨の花の咲そひて、雪にもこゆる、心地ぞする。古人冠を正し、衣装を改し事など、清輔の筆にもとどめ置れしぞ。

  卯の花をかざしに関の晴着かな 曽良

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 冠の代わりに頭にかざした「卯の花」はウツギ。いま六甲山のあちこちで咲いている。そばには「茨」(野バラ)もいっぱい白い花をつけている。どちらも白い小さな花が大量につく。山陰を回り込んでこれらが眼に飛び込んでくると、まさに芭蕉が書いたように、雪が積もっているかのようだ。季節感が一瞬どこかへ飛んで行ってしまって、ハッとする。

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 初夏のこの時期は山では白い花が目立つ。もしかすると活動が盛んになる昆虫の視覚に関係があるのかもしれない。ヤマボウシも澄んだ谷川の水が流れ落ちるような清涼な姿を見せている。こんなことを考えながら緑と白の気持ちいい道を歩いていた時、ふいにカッコウの声を聞きました。ほんと、カッコウ時計そのままの声で。「いま何時?」、「カッコー、カッコー、カッコー」。あ、3時なのね、てな感じ。
 もう60年あまり六甲山を歩いているが、カッコウの声を聞いたのはこれが初めてだ。注意力がないのか、歩く時期がずれていたのか、あるいは自然環境が改善してカッコウが住めるようになったのか。いずれにしてもうれしい驚きです。信州奈川では毎年梅雨の前ごろに声を聞いていますが、耳にする期間は短い。夏鳥として日本にやってきても、すぐにどこかへ行ってしまうのか。野鳥の会の人に一度お話を聞いてみましょう。

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2015年6月 1日 (月)

高松次郎、創作の秘密

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 中之島の国立国際美術館で開催中の展覧会、「高松次郎 制作の軌跡」は、予想以上におもしろい。超有名アーティストだから、いくつかの作品はよく知っていた。影のシリーズの大作がここ国立国際美術館のB1F正面ロビーに飾られていたので、みなさまもご覧になっていると思います。もちろん今回の展示でも、これが主要な作品として扱われている。
 代表的な「影」のシリーズ、「遠近法」のシリーズ、「形」のシリーズなどから、彼が1998年に亡くなるまで、現実の世界と視覚的な認識のズレに関心を持ち続けた軌跡が網羅されている。

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 出品作品は絵画、立体作品、版画が約90点。ドローイング約280点。書籍・雑誌・絵本が約40点。高松の全貌がわかるように構成されている。感性ではなく論理で美を創造する高松次郎。だからたくさん展示されているドローイングがとても興味深い。後の完成作品のいわば設計図のような位置づけで、創作の過程やアイデアの誕生の様子がうかがわれておもしろい。レオナルド・ダヴィンチの手稿にあたるものかもしれない。それらは私たちに今なお新たな発見と新鮮な刺激を与えてくれます。

高松次郎 制作の軌跡
国立国際美術館
2015年4月7日(火)~7月5日(日)
10:00~17:00 月曜休館

 

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