土田ヒロミ「砂を数える」展
乙仲通りのTANTOTEMPOで開催中の展覧会、土田ヒロミの「砂を数える」。1976年から1989年にわたって日本各地で撮影された「群衆」の写真。タイトルの通り写っている人々は、いわば砂粒のようです。一人一人はそれぞれ個性も人格も持った砂のはずなのに、総体としては砂浜になっている、そんな感想を抱かせる写真です。たとえばお祭り、たとえば海水浴、たとえばメーデー、たとえば初詣・・・。個々人の違いは消え失せ、目的(?)や方向性(?)に向かって何らかの力が働いたかのような、時代と社会の動きが見て取れる。
時は高度成長期。年々お給料が増え都市化が進み、日本の一番の変わり目だったのかもしれない。この時代の一途なパワーを写真家の感性が無意識のうちに、しかし「群衆」という鋭い切り口で残した貴重なアーカイブ。アートではないけれど、写真ならではの意義がある作品だと思います。土門拳の系譜につながる優れたドキュメンタリー作家と言えるでしょう。
これはTANTOTEMPOさんのギャラリー開設7周年記念の展覧会。7年というのはスゴイことです。ぜひ神戸・元町、乙仲通りまで足をお運びください。
土田ヒロミ 「砂を数える」
TANTOTEMPO
2015年4月25日~6月7日(日)
12時~18時 月・火・祝 休廊
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