神さまジミヘンの若き日
ジミヘンは神さまだった。45年ほど前。そう大昔ですね。初めてラジオで聞いた衝撃はいまだに忘れられない。この音がギターだなんて! この音を一人で出しているなんて! ビートルズ、ストーンズ、そしてクリーム・・・。英国でロックがすさまじい勢いで進化を遂げていた時、ロックミュージックの進化の道筋とはまったく違って、まるで異星からやって来た宇宙人のような奏法と音の響きであらわれたジミ・ヘンドリックス。唯一無二の音楽を創造しました。「彗星のように現れる」という言葉は、彼のためにあったのかと思わせる。絶頂に駆け上がり、あっという間に死んでしまったジミ。私たちの前から姿を消すのも、「彗星のように」早かった。1942年、米・シアトル生まれ。1970年、27歳で謎の急死をする。(もうひとりの神さま、ジャニス・ジョプリンも早かった) このころ欧米のアーティストはLSDやマリファナをやっていた人が多かったので、いろいろ言われています。
この映画『JIMI : 栄光への軌跡』は、1966年N.Y.でくすぶっていたジミがロンドンに渡り衝撃のデビューを果たした1967年までの2年間だけを描く。だからその後の絶頂期や『ウッドストック』は出てこない。(今聞いてもあの時のアメリカ国歌はスゴスギル!) 死ぬ話も出てこない。普通の伝記映画とはここが違う。でもその思い切った絞り込みのおかげで、新しい音を創造する意欲、世に出るための苦労、認められない苦悩などがよく描けていると思う。
実名で出てくる彼にかかわった人たちもスゴイ。エリック・クラプトン、キース・リチャード、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン。彼の時代を超えたあまりにも進んだスタイルはなかなか支持を得られないが、分かる人にはこの天才が分かったのだ。「まるで異星からやって来た宇宙人のような」と書きましたが、彼の魅力は黒人と白人とか、ロックとR&Bとか、音楽の面でも政治の面でもあれこれ分類することに意味を見出さず、そんな境目は軽々と越境してしまうスケールの大きさにもあることが、この映画を見て改めて感じました。LPを数枚持っていましたが、すべて処分してしまったので、復刻版のCDを探してまた聞き直したいものです。
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