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2015年3月

2015年3月31日 (火)

サグラダ・ファミリアに迫る

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 20年前には内部を見学するのに、工事現場のなかをいっぱい置いてある建築資材を避けながら歩いたサグラダ・ファミリア。「完成まであと150年はかかる」とか「本当に完成するのだろうか」といった声をよく聞いたものだ。それが観光客の激増による入場料収入とスペイン経済の発展による寄付の増加で建設資金ができて、工事が急速にスピードアップ。ガウディ没後100年の2026年に完成と公式発表されている。資金面だけではなく、コンピューター技術や建設技術のめざましい進歩もスピードアップに大いに貢献しているようだ。いま兵庫県立美術館で開催中の特別展「ガウディ×井上雄彦」でサグラダ・ファミリアを多面的に楽しめる。

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 2年前に行ったときは、すでにローマ教皇を迎えて聖別され、実際にミサが行われる教会として使われていた。もちろん工事現場のコンクリートむき出しの床や壁ではなく、大理石やモザイク、ステンドグラスできれいに化粧されディテールにいたるまでガウディらしさがあふれていた。この素晴らしい現状のものから、さらに完成へむかう様子が、圧巻のイメージ映像で観ることができる。いま出来ている建物の実写映像に、これからの栄光のファサード、マリアの塔、イエスの塔などがCDアニメでニョキニョキと追加されていく。これを見ると今あるすごい構築物が、規模と迫力においてまだ半分ぐらいかと思うほど。
 井上雄彦さんによってさらに深く知ることになったガウディの象徴、サグラダ・ファミリア。元気で長生きして2026年の完成をぜひこの目で見たいものであります。

特別展 建築家:ガウディ×漫画家:井上雄彦
シンクロする創造の源泉
兵庫県立美術館
2015年3月21日(土)~5月24日(日) 

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2015年3月28日 (土)

井上雄彦、ガウディに迫る

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 なぜ井上雄彦はこんなにガウディに惚れ込んでしまったのか。唯一無二の建築作品を生み出す独創性の源とは? 独創の天才、その人物の核心部は? それが何であったとしても、おかげで私たちはガウディの人と作品を非常に深く理解することができて幸せだ。兵庫県立美術館で開催中のこの魅力的な展覧会は、井上雄彦さんがバルセロナに通い詰めてガウディの世界を描いた43点の作品と、ガウディに関する貴重な資料98点で構成されている。

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 リウマチのため満足に歩けなかった少年時代。野心にあふれた青年期。つぎつぎと意欲作を発表する充実した壮年期。そしてサグラダファミリアにすべてをささげる晩年。バガボンドで宮本武蔵の核心に迫るように、ガウディの原点に肉迫している。絵の強さに圧倒され、ガウディという人物の複雑さと彼がつくり出す表現世界の奥深さに感動を覚える。
井上雄彦という才能が、100年前のガウディに新たな息吹を与え現代によみがえらせた、そんな奇跡のコラボです。

特別展 建築家:ガウディ×漫画家:井上雄彦

シンクロする創造の源泉
兵庫県立美術館
2015年3月21日(土)~5月24日(日)

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2015年3月25日 (水)

椿は盛り、馬酔木これから

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 季節に応じてつぎつぎと目を楽しませてくれる六甲山の花。ヤブツバキが今は盛りです。ツヤツヤした濃い緑の葉のあいだに真っ赤な花が咲き乱れています。Photo_3 ただし咲いているのをいきなり見かけることは少ない。山道を歩いていると、赤い花がいっぱい落ちているので上を見上げる。すると、葉のあいだから真紅の花弁に黄色いしべが目立つヤブツバキの花が見えてくる、という具合。
 日当たりのいい南面には、油コブシ、長嶺山、シェール道など何ヵ所もツバキの名所があります。まもなくスターを迎えるレッドカーペットのように道が赤く染まることでしょう。楽しみです。
 

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 アセビは陽当たりのよいところから咲き始めたところ。アセビは馬酔木と書くように毒がある。だからイノシシやウサギやネズミなどが葉や幹をかじらない。Photo_4つまり ほかの樹のように、柔らかい若木の樹皮や新芽を食べられないから育ちやすい、という記述を読んだことがある。そういえば六甲山でもこの二十年ぐらいで増えたような気がする。
 小さな花がつぎからつぎへと開いていき、五月まで花をつけ続ける。桜が散ったあとぐらいから、山道を雪かと思うほど白い花を降り散らせる。山歩きは足元に注意しているので、つい上を見過ごしがちだが、ヤブツバキやアセビのようにすぐそれとわかるほど落花があるとありがたい。まず花を見逃すことはないでしょうから。
 

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2015年3月21日 (土)

ジュリエットも赤ずきんも

Romeojuliet
 もう一回ティム・バートンの世界展にお付き合いのほどを。
 え~悲しい恋の物語もおとぎばなしも、ティム・バートンの手にかかればこんな具合です。たとえばこれはロミオとジュリエット。全身草や木で覆われた大地のなかから現れた巨大芋虫のようなロミオ。ウロコをまとい長い髪をばさばさにして海から生まれた人魚の化け物のようなジュリエット。積極的に誘いかけるロミオに対して恥じらうジュリエット。愛のささやきが聞こえてきそうな2人です。そっと手をつないでいるところが可愛い。でも口は大きく裂けている。頭に高層ビル群のようなものを載せているのはなぜだろう。
 まぁどう感じようと解釈は自由でしょうが、シェイクスピアとはまた違ったストーリーが展開させそうで刺激的な一枚です。

Ridinghood
 赤ずきんちゃんだってこの通り。おいおい、オオカミが怖がっているじゃないですか。おとぎ話もティム・バートンにとって妄想の格好のネタらしく、いろいろなキャラクターがバートン流に創りかえられている。またキモおもしろいテレビ版「ヘンデルとグレーテル」も会場で観ることができる。いちばん初期の名作アニメーション「ヴィンセント」もすごく見ごたえがあるので、鑑賞時間を十分とって展覧会に行かれることをお勧めします。きっと今までの自分、今までの日常から変化して、この会場を出られることでしょう。サナギが蝶になるように・・・。

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ティム・バートンの世界
2015年2月27日(金)~4月19日(日)
11:00~19:00 金・土は21:00まで

グランフロント大阪 北館
ナレッジキャピタル イベントラボ

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2015年3月18日 (水)

アムリタに、サクラサク

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 北浜の土佐堀通り沿いのY'sピア北浜の6階にあるギャラリー&カフェ アムリタさんで、桜や春をテーマにした企画展「2015' SAKURA vol.1」が始まりました。
 PECHUさんや海原幽山さんをはじめ多彩なアーティストが作品を持ち寄った展覧会。PECHUさんは蛍光のグリーンやピンクを使ったパッと華やかな作品。『冬眠から覚めたい』という作品名がついていますが、PECHUさんはいきなり春のど真ん中に目覚めた感じですね。エンジン全開! これからますますエネルギーが湧いてきそう。

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 海原さんは色ケント紙を重ねてカットした切り絵作品『桜の封筒』。花や蝶が舞う、これまた春真っ盛り。色紙の重なりの美しさと、カットした桜の花びらから下の色紙が対比的に見えたり、蝶が違う色で現れたり。繊細なカッティング技術が複雑な色紙の重ね方にマッチして、十二単のようなあでやかな立体世界をつくり出している。
 一足先に桜満開春爛漫のアムリタへ、あなたもいかがですか。PECHUさん、海原さん以外にもいろんな表現方法で春を生み出したさまざまなアーティストたち。おもしろい作品がいっぱいそろっています。

Sakura
2015' SAKURA vol.1

3月16日(月)~26日(木) 
12時~19時 定休日:日曜・祝日
Gallery Amrita
ギャラリー&カフェ アムリタ

大阪市中央区北浜1-1-12

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2015年3月15日 (日)

ティム・バートンの世界に浸る

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 いま梅田のグランフロントで開かれている「ティム・バートンの世界」展。やはりメチャおもしろい。『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』などジョニー・デップとの名コンビで作った映画やバットマンシリーズなど、ユニークな作品群のアイデアスケッチや絵画がずらりとそろっている。もちろん世に出なかったクリーチャーやキャラクターも数知れず。
 ホラーとユーモア、奇妙でグロテスクな世界をよくもここまで妄想できるもんだ、と感心する。自分だけの世界を創造する、これがクリエイターだ。創造主=神。ティム・バートンという神のイマジネーションから生みだされた世界へ、分け入ってみよう。

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 会場のナレッジキャピタル・イベントラボは満員の盛況ぶりです。しかも観客は若い人ばかり。笑ったり気持ち悪がったり、あれやこれや意見を述べ合って心から楽しんでいる。よくある泰西名画の展覧会とはずいぶん様子が違うのだ。教科書に出ている作品をお勉強しにきたようにかしこまった中高年の観客とは違って、みんな自分が楽しむために面白がるために来ている。。
 ああ、日本人もやっとアートが生活の一部になって来たか、とそんな感慨を抱かせる展覧会。印象派だ、ダヴィンチだ、というカビの生えたような展覧会企画からそろそろ卒業して、こんな生きた企画展をやる美術館が増えればもっと楽しくなるのになあ。日本の美術界の発展のためにも、美術館にはもっとがんばってもらわないと。

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ティム・バートンの世界
2015年2月27日(金)~4月19日(日)
11:00~19:00 金・土は21:00まで

グランフロント大阪 北館
ナレッジキャピタル イベントラボ

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2015年3月13日 (金)

映画で観るヴァチカン美術館

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 ヴァチカン美術館を4K3Dで撮影したドキュメンタリー。実際に行っても見ることのできないはるか上の天井画のディテールまで精密に描写されているのは、新しい映像技術ならでは。素晴らしいです。1時間ちょっとの短い映画ですが、もっともっと長く感じるとても中味が濃い充実の1時間でした。
 映画の監修と作品の解説は美術館長がつとめている。歴代のローマ教皇が集めた、あるいは作らせた膨大なコレクションを簡潔に要領よくまとめている。美術品はどれも人類の宝だと思いますが、なかでもこれらは超一級品。見てまわったら何日もかかる作品群を、わずか1時間で紹介しようという荒業が成功しているのは、構成の力だと思います。

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 古代ギリシャ・ローマからルネッサンス、そして近代のゴッホやダリやシャガールにいたるまでの、コレクションの大きな流れ。そしてその中心をなすラファエッロとミケランジェロの作品の説明。なにせ足を棒にして鑑賞する膨大多岐にわたるコレクションなので、人によって「物足りない」「これを取り上げないと」などなど意見はいろいろあるでしょうが、この短い時間でよくヴァチカン美術館のエッセンスを盛り込んだものだと感心します。
 ローマへ行かないと観ることのできない壁画を、観光客の群れでざわついた雰囲気ではなく鑑賞できるのは、もう至福の時間です。その場の空気感や部屋のニオイなどはムリだけれど、実物とはまた別の鑑賞法の発見でした。館長さんの声(吹き替え)が大きすぎて、ちょっとうるさく耳障りなのは気になりましたが…。

Photo_3 ヴァチカン美術館
~天国への入口

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2015年3月10日 (火)

ある似顔絵キャンペーン

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 先日、グランフロント大阪で似顔絵を描いてもらった。正確には写真を撮られてデジタル加工で劇画風の似顔絵に仕上げてもらった。新しいお酒の発売記念キャンペーン。「ふんわり鏡月」というチューハイの、しそレモン味です。あ、ソーダ割りにしてもらったのでチューハイと書きましたが、正しくはしそレモン味の焼酎。新しい味、新しいおいしさに驚いた顔をしてくれ、というオーダーにお応えして写真を撮ってもらう。そうしたらPCでイラストレーター(オペレーター?)が次々と似顔絵アプリを使って仕上げ、WEBにアップするという仕組み。わずか30分ほどでスマホやパソコンで確認できるから素早い。
 コーヒーでも飲もうかと思って歩いていたら、このキャンペーンが目に入った。カフェインよりもアルコール。ついふらふらと入ってしまったのですが・・・。しそとレモンの取り合わせが斬新で、「うまい!爽やか!」と言ったら、すかさず係りの人が「似顔絵を作らせていただけませんか」と寄ってきた。で、驚き顔をオーダーされたわけ。最近のアプリはスグレモノだから、あっという間にできてしまう。さてさて、似てますでしょうか? サントリーさんの仕業でした。
ふんわりバーWEBサイト

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2015年3月 7日 (土)

横尾忠則の涅槃

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 お釈迦さまが入滅するときの寝姿、それが涅槃像。横尾忠則さんはその涅槃像と人魚が寝転んでいる像がよく似ていると思って以来、肘をついて横たわっている像をコレクションしているそうだ。さまざまな釈迦涅槃像をはじめ、観音菩薩やヴィーナス、人魚からマリリン・モンローにミッキーマウス、カエルやパンダまで、なんとその数700あまり。それがずらっと展示されている。いま横尾忠則現代美術館 Y+T MOCA で開催中の「横尾忠則 大涅槃展」がおもしろい。

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 ポスターにも使われている『誰か故郷を想わざる』をよく見ると、赤と黄色のラインで区切られたマス目に、ほら、いろんな姿でいっぱい寝そべっているでしょ。一部分をアップにしました。なかに火星人らしきものもいますが。
 涅槃=ニルヴァーナは釈迦の死を表すと同時に、あらゆる煩悩から解放された悟りの世界を表す。それは横尾さん流に解釈すれば「生と死」や「聖と俗」が対立するものではなく、一人の人間のなかに表裏一体となって存在する基本的な性質だそうだ。

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 「涅槃」ポーズはただ集めただけではなく、横尾作品にたびたび登場する重要な要素のひとつだ。輪廻転生を繰り返してきた魂が、やがて到達する不生不滅の境地である涅槃。それは生きとし生けるものにとって憧れのユートピアに違いない。このなにげないポーズが、意識してか無意識かは問わず人を瞬間「涅槃」の地へ誘っているのかもしれない。たしかに、肘を立てて寝そべると、なぜかリラックスして安らかな気分になる。え、それは単なるナマケモノだって。そうかもしれません。

横尾忠則 大涅槃展
Y+T MOCA 横尾忠則現代美術館
2015年1月24日(土)~3月29日(日)

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2015年3月 3日 (火)

映画 「もうひとりの息子」

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 2012年のフランス映画 『もうひとりの息子』。公開されたときに見てなかったので、民族学博物館の「みんぱくワールドシネマ」という専門家による解説付きの映画会で鑑賞しました。とても知的で冷静な、しかも希望に満ちた映画でした。メディアに対するテロへの怒り、ISの残虐性への非難。イスラム系市民に対する報復ともいえるような嫌悪と排斥が渦巻く今では、とても制作できなかったのではないでしょうか。わずか2~3年のあいだに、中東を取り巻く状況があまりにも変わってしまったことに愕然とする。
 赤ちゃんの時に産院で取り違えられて成長する物語では、『そして父になる』を思い出す。血か?育ちか? どちらが大切かを考えさせられる。血液鑑定やDNA鑑定が行われるようになってから、このような事件が発覚するようになったのは世界共通だ。いくら病院が謝罪しても、当事者には死ぬまであるいは死後も深い傷を残すことだろう。どちらの映画も彼らの将来をあいまいなままにして終わる。責任を持って結末まで描けないから、そこは観客の想像力に期待するカタチを取らざるを得ないのではないでしょうか。
Photo_2  育つ家庭によって子どもは大きく変わるのは当然だが、『もうひとりの息子』はユダヤ人とパレスチナ人の家庭で育つという、いま考えられうるもっとも深刻な問題を抱えてしまう。親か子かというより、敵か味方か、殺すか殺されるか、の関係。宗教、言語、属する社会のあまりの違い、不寛容と偏見の壁。
 この困難な状況から最初に立ち直ってくるのは、双方の母親。やはり母と子の絆はなによりも深く強い。子を産み育てたお互いへの共感と敬意。そして過酷な運命にとまどいながらも現実を冷静に見つめ受け入れていく高校生の息子たち。そこにパレスチナ問題の解決にむけたかすかな希望を感じる。ぎこちないけれど自分の頭で考え行動していくことができる二人からは、そのように立派に育てられた家庭の環境がうかがえる。そんななかで一番ダメなのが父親たち。頑迷で変革を恐れ、それまでに築き上げた家族の歴史や社会の仕組みから踏み出して、新たな世界をつくっていこうという勇気がないのは大人の男たち。いやぁ確かにそんな側面はあるでしょうね、残念だけれど。ちなみにこの映画の監督は女性です。

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