ジャン・フォートリエって誰?
中之島の国立国際美術館でいま開催中のジャン・フォートリエ展。やっと行くことができました。サブタイトルに没後50年、戦後のパリを震撼させた抽象表現の先駆者に迫る、とあります。彼は「アンフォルメルの源流」と呼ばれているそうだ。アンフォルメル(非定形という意味)は第二次世界大戦後にフランスを中心にヨーロッパ各地で起こった前衛的な美術運動だ。でもちょっとなつかしい、もっと言えば古臭い感じ。ちょうど日本で具体が活動した時代に聞いた言葉だからかな。現代から見れば、歴史の一場面のよう。ジャン・フォートリエの名も歴史の霧の中に消えかけていたのが実情だ。
戦前のモンドリアンやカンディンスキーなどの幾何学的な抽象とは違って、油絵の具を厚塗りにしたり引っかいたりして、素材感やマチエールを重視。人物や静物、風景など対象があるものを単純化したりデフォルメしたりすることによって抽象的な絵に見える、というジャン・フォートリエの抽象表現主義。厳格に言うと抽象絵画ではない。
悲惨な大戦争による人間不信や存在の不条理を痛感したことによる、不安定な心のありようを表現したのかもしれない。
同じころのアメリカでジャクソン・ポロックやフランク・ステラが描いた抽象的な絵画、あるいは描くという行為の意味を追求した姿勢とは共通するものがあると思いました。また同時に、美術の主流はすでにアメリカに移っていたのだ、と改めて感じた展覧会でもありした。
ジャン・フォートリエ展
2014年9月27日(土)~12月7日(日)
国立国際美術館
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