フィレンツェの現代アート
街を歩いていたとき、「アレレッ、何だこりゃ」の光景に出合いました。ビルの壁面を登る白いクリーチャーたち! 体は人間だけど、頭はヒツジや鶏、オオカミや猫。空中にぶら下がっているヤツもいる。
場所はベッキオ橋にほど近い路地。シモーネ・ダウリアの作品だ。メインの通りではないけれど、気づいた人がみんなこの路地をのぞき込んで写真を撮っている。
下のベンチにも、同じ仲間が3体、展示されておりました。リアル過ぎてちょっと気味悪い気がするが、なかなかユニークだ。これらの作品は人間のなかの獣性を表しているのか、それとも人間の肉体の無限性を表現しているのか。いずれにしてもスペースをうまく活用して街を別次元の異空間に変えることに成功している。
借りているアパートの近所の広場では、ストリート系のアーティスト5人がカラースプレーでペインティングしている。どこの街でもおなじみの、ワインの瓶やペットボトルを捨てるゴミ箱だ。「どうせアートなんて使い捨てのゴミだ」と言わんばかりの心意気がおもしろい。何百年も前の美術品を大事に修復するだけに陥っているかのようなフィレンツェだから、よけい面白さが際立つ。
このまえピカソ展の記事でご紹介したストロッティ宮の中庭のインスタレーション。完成しておりました。ルネサンスの空間に、現代アートが違和感なくマッチしている。作家の名前はフランコ・メニカーリ。11月中旬まで展示されるらしい。
いままで歴史的な名画や傑作彫刻に囲まれ押しつぶされそうになっていた若いアーティストが、いろんなスタイルで伸びのびと活動できるようになっているのを見て、うれしい思いがしました。過去の栄光だけではカビが生えたつまらないフィレンツェになってしまいますから・・・。
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